- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
COPD診断に伴い,血糖コントロールが悪化した一例
患者:67歳,男性.現喫煙者(30本/日×47年).
主訴:労作時呼吸困難.
既往歴:糖尿病(60歳〜).COPD(65歳〜.最近2年間で,急性増悪のために5回の入院歴あり).
現病歴:現在も禁煙できておらず入退院を繰り返しており,外来受診もやや不規則.糖尿病に関しては,COPDと診断され入院を繰り返すようになってから,HbA1c 6.5〜7.0%で推移していたのが,7.5%前後から低下しなくなってきた.
今回は,3日前から息切れの程度が普段より悪化して,自宅のトイレに行くにも休息が必要となり,喀痰の膿性化もみられ,食事の摂取量低下もあり,当院救急室を受診した.
身体所見:脈拍数90回/分,呼吸数32回/分,体温37.8℃,SpO2 87%(室内気).
起座呼吸で,胸部聴診で両側に喘鳴があった.心音はS3・S4は聴取せず.腹満および四肢に浮腫なし.
血液検査:WBC 12,000/μl,CRP 5.6mg/dlと,炎症反応の上昇がみられた.血糖値は220mg/dlで,HbA1cは7.6%であった.心電図は洞調律で,STの変化なし.
胸部単純X線:過膨張があって横隔膜の平低下がみられたが,新しい陰影はなし.
喀痰塗抹:膿性な喀痰で,グラム染色でグラム陰性球桿菌が多数あり,貪色像もみられた.
診断:インフルエンザ桿菌の感染によるCOPDの急性増悪.
退院時の対応:肺炎球菌ワクチンの接種.禁煙外来への案内.家族とともにCOPDと糖尿病の状態が不安定であることを再確認し,チームで治療に取り組むことと,かかりつけ医をもって専門医との2人主治医制とすることを理解してもらった.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.