特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア
【併存疾患のある慢性疾患管理】
慢性心不全および冠動脈疾患と併存疾患—症状の奥にひそむ原因に思いをはせる
遠藤 貴士
1
1石巻市立病院 開成仮診療所
キーワード:
心不全
,
冠動脈疾患
,
高血圧症
,
腎不全
,
脂質異常症
,
糖尿病
Keyword:
心不全
,
冠動脈疾患
,
高血圧症
,
腎不全
,
脂質異常症
,
糖尿病
pp.1108-1111
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200410
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慢性心不全の併存疾患
Case
眠れないことを主訴に受診した陳旧性心筋梗塞の既往がある高齢女性
患者:82歳,女性. 主訴:夜間に眠れない.
既往歴:認知症,高血圧,糖尿病,陳旧性心筋梗塞.
現病歴:2年前に前壁中隔心筋梗塞を発症し,急性期病院にて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された.退院後は,近医である当診療所に通院中であった.
1カ月に1度の定期外来で,「ここ数日,夜間に眠れない」と訴えた.同居する嫁の話では,「最近,トイレ歩行時に呼吸が苦しそうにしており,食欲も低下している」とのことであった.身体所見では,SpO2 89%(室内気.普段は95〜97%),呼吸音で湿性ラ音,下腿浮腫を認めた.「うっ血性心不全」の疑いで急性期病院に搬送し,入院となった.
入院後の追加問診では,最近「労作時に胸部の重い感じ」は認めていたが休むと楽になったため放置していたことと,近所の人と一緒に漬けた「漬物」がおいしく,毎回食卓に出すようにしていたとのことであった.
心不全の急性期治療のあと,経皮的冠動脈造影検査を施行したところ,右冠動脈にも新たな狭窄を認めたため,同部位に冠動脈ステント挿入術を行った.
内服薬:
●バイアスピリンⓇ100mg
1錠・分1・朝食後
●ネキシウムⓇ20mg 1錠・分1・朝食後
●ブロプレスⓇ4mg 1錠・分1・朝食後
●メトグルコⓇ250mg 3錠・分3・毎食後
●リピトールⓇ10mg 1錠・分1・夕食後
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