特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア
【併存疾患のある慢性疾患管理】
精神疾患(統合失調症および双極性障害)と併存疾患—精神疾患に併存しやすい身体疾患,向精神薬が身体疾患に与える影響
今村 弥生
1
1杏林大学医学部 精神神経科
キーワード:
統合失調症
,
うつ病
,
双極性障害
,
向精神薬の副作用
,
睡眠薬
Keyword:
統合失調症
,
うつ病
,
双極性障害
,
向精神薬の副作用
,
睡眠薬
pp.1123-1126
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200413
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Case
未治療の精神疾患が身体疾患の内服コンプライアンスに影響していた一例
患者:51歳,男性.独居.生活保護受給.
現病歴:1カ月前,「脳梗塞」を発症し,救急病院に搬送.血栓溶解療法を施行され,軽度の顔面麻痺以外は目立った症状もなく退院.フォローアップは,自宅近くの診療所に紹介された.
「糖尿病」「高血圧」も合併していた.外来診療を開始すると,どちらもコントロールは不良.退院後に導入された訪問看護からの情報では,食事は不規則かつ偏食で1日1〜2食.食事をとらない時は処方薬を内服していないことが判明した.
内服治療について本人への説明を試みたところ,初診時は無口・無表情で「はい」と返答するのみであったのに,「薬の説明の仕方が悪い」「なぜ訪問看護を導入した?」などと一方的に訴え,会話がかみ合わなかった.受付でも妄想的なまでの一方的な苦情が続いたため,生活保護担当者も交えて本人を説得し精神科へ紹介したところ,治療中断中の「統合失調症」または「アスペルガー症候群」と判明し,向精神薬の治療が開始された.
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