保健師ジャーナル 76巻7号 (2020年7月)

特集 LGBTとは—多様な性と向き合うために理解しておきたいこと

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セクシャルマイノリティであるLGBT当事者が抱える問題に対して,支援の動きが広がっている。その一方で,LGBT当事者と接する際に配慮すべきことや,制度・倫理面での課題などを知らずに戸惑いながら対応している現状がうかがえる。そこで本特集では,LGBTの現状や課題,支援の取り組みなどを紹介し,LGBT当事者と向き合う上で,保健師として理解しておくべきことを考える。

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性的指向や性自認に関する国や自治体のこれまでの取り組みや,全国LGBTs調査の結果から,LGBTs当事者のいじめ被害・不登校・自傷行為・性暴力・DV被害の経験について示す。それらを踏まえ,LGBTsの存在を認識した公衆衛生活動の在り方を述べる。

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マイノリティに対する向き合い方や性に関する用語,LGBTと精神医学・医療との関連性など,LGBTを理解するために押さえておくべき知識を解説するとともに,LGBT当事者を支援する上で留意すべきことを示す。

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NPO法人「LGBTとアライのための法律家ネットワーク」において性的指向や性自認を理由とする差別を解消するための理解促進・法的支援に取り組む弁護士の立場から,保健師がLGBTに寄り添った活動を行う上で知っておきたい法的課題や留意すべき点を解説する。

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宝塚市では,2015年に「ありのままに自分らしく生きられるまち宝塚」を策定し,これを基本方針として性的マイノリティへの支援に取り組んできた。その具体的な取り組みを紹介する。

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横須賀市では,「性的マイノリティの人権」を人権課題の1つとして位置付け,市立うわまち病院で病状や治療の説明と同意の対象に同性パートナーを含めることを明記して勉強会や周知を行うなど,性的マイノリティ当事者の人権を守るさまざまな取り組みを進めてきた。それらについて紹介する。

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LGBTの人たちが集う街,新宿二丁目(東京都新宿区)に開設した「コミュニティセンターakta」を基点に,地域でHIVに関わる人たちと協働してその予防啓発と支援につながる活動を行ってきた「特定非営利活動法人akta」。その取り組みと思いを紹介する。

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10〜23歳までの若年層のLGBTや「そうかもしれない」人を対象とした居場所づくりに取り組んでいる「にじーず」。支援において重視していることや,支援者が心掛けたいことを紹介する。

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東京都北区の概要

 北区は,その名のとおり東京の北部に位置し(図1),荒川を挟んで埼玉県と接する,人口35万人を超える東京都の特別区です。

 区内には,桜の名所「飛鳥山公園」や荒川の水辺空間をはじめとした,緑豊かな公園や美しい自然があります。この飛鳥山公園は,2024(令和6)年に1万円札の顔となり,大河ドラマの主人公として描かれることも決まっている渋沢栄一翁が,晩年を過ごした邸宅があるなど,今注目のスポットです。まさに今が,北区の魅力を発信する絶好の機会と捉え,シティプロモーションに一層力を入れるとともに,北区の新たな魅力や価値を創造する施策に積極的に取り組んでいます。

 

東京都北区は,2019(令和元)年度から受動喫煙防止対策担当課を設置して,2020(令和2)年4月の健康増進法と東京都条例の全面施行に向け,制度の普及啓発や受動喫煙防止対策の取り組みを行ってきた。受動喫煙防止対策の専管組織を立ち上げて業務にあたるのは,東京都内でも北区だけ。そんな北区の2019年度の取り組みの一部を紹介したい。

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未知ゆえの苦難

 2019年12月に中国武漢市で流行が始まったとされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19:coronavirus disease 2019)。原因が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2:severe acute respiratory syndrome coronavirus)2)であることが明らかになる中で,保健医療福祉の現場の皆様は未知ゆえの苦難に疲弊しつつも,対応に奔走し続けられているのではないでしょうか。新型コロナウイルスが流行し始めてから数か月,この原稿を入稿してから1カ月半,状況は刻々と変わっていることでしょう。

 今回,筆者は公衆衛生医,臨床医として,HIV/AIDSをはじめさまざまな感染症に関わってきた経験から,新型コロナウイルスとどう向き合えばいいのかを考え続け,ホームページ*1やSNS*2で発信し続けてきました。

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はじめに

 「ナッジ」(nudge)という言葉をご存じでしょうか。「人間の行動を変える仕掛け」として紹介されることが多く,まるで魔法のようなアプローチとイメージされている方も多いかもしれません。しかし,ナッジは魔法でも何でもなく,多くの行動科学や社会科学の研究で裏打ちされた科学的な理論です。本稿では,ナッジとは何か,ナッジを巡る世界と日本の動き,そして最後に横浜市行動デザインチーム(YBiT:ワイビット)の取り組みを紹介し,公衆衛生分野におけるナッジの活用と可能性について考えていきたいと思います。

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緒言

 高齢化が急速に進展する中で健康寿命の延伸が必要とされており,自治体では健康日本21(第二次)1)に基づく健康増進計画の策定が進められ,多様な保健事業が実施されている2)。生活習慣病の一次予防を目的とした保健事業では,食生活,運動,休養,喫煙,飲酒等の生活習慣の改善に向けた幅広い活動が行われている。

 保健活動の効用の可視化は効果的な事業を継続的に行うために重要であり,指標やマニュアルなどによる評価の在り方が示されている3)。例えば,健康診断や生活習慣病予防教室等では,活動の中で測定される体重や血圧等の検査値などのデータ収集および分析により,比較的容易に評価が可能である。一方,健康無関心層4)を含む不特定多数の住民の健康意識の向上を目的としてリーフレット等の配布を行う啓発活動の場合,活動とは別に評価のためのデータ収集および分析作業が生じるため,評価まで至っていないことが多い。

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はじめに

 保健師の活動場所である地域とは,物理的・社会的・地理的環境や文化や制度など,一定の環境を共有する人々が暮らす場所である。また,生活とは人が生きていく営みであり,地域で一緒に暮らす人々の関わりや地域環境の影響の中で,多様な価値観が存在する。地域での生活は,その環境を享受し,そこにいる人々と折り合いを付けながら生きていくことであるが,折り合いを付ける場面では,その人の価値観や主体性が発揮される1)

 こうした地域生活の特性により,暮らしの中には価値の対立が生じやすいことが推察される。価値の対立の背景には,制度に関する情報不足,社会的孤立,貧困,家族に頼らざるを得ない状態などの個々人の事情や2),多様な専門職・機関との関係に生じる問題がある2,3)

 そのため保健師には,価値の対立の背景にある事情と人々の関係性を十分把握し理解すること,そして課題の本質は倫理的課題であることを関係機関に説明し,倫理的視点に立ったアプローチが求められる2)

 一方,看護職の倫理教育の現状について,保健師と訪問看護師の70〜80%は日常的に倫理的課題に遭遇しているものの,倫理教育を受けた者は6〜20%にとどまり3),公衆衛生看護の倫理に関する独立科目はない4)。暮らしの中で生じる課題を倫理的視点に立って取り組むことは保健師の活動において非常に重要であるが,体系的に学ぶ機会や仕組みが整っているとは言えない。

 このような中,公衆衛生看護における倫理的課題に気付く力と倫理的課題のある事例を支援する力を培うことを目的に,筆者を含めた関西地区を中心に活動する専門看護師(Certified Nurse Specialist:CNS)らが中心となって勉強会を定期的に開催する自主組織を立ち上げた。現任の保健師として行政機関や地域包括支援センターなどで活動する専門看護師(地域看護分野)や専門看護師を目指す学生が参加し,支援困難事例をテーマにした事例検討や看護倫理など専門看護師に関する実践の勉強を行っている。勉強会では何が倫理的課題なのか,自分のアセスメントや支援方法が正しかったのか,いつも問い掛けている。

 本報告は,勉強会を通じて公衆衛生看護における倫理的課題に気付く力と支援する力を高めるために取り組んだことについて報告し,困難事例の支援力向上の示唆を得ることを目的とする。

連載 研究室からのメッセージ・174

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 茨城キリスト教学園は,二度と戦争のない平和な世界を願った米国と日本のクリスチャンによって,1947年に設立されました。

 スクールモットーは,「Peace Truth LOVE」(平和と真理と,愛)。キリスト教の隣人愛の精神に包まれて,平和を求め,真理を希求し,愛に生きる人材を生みだすという創立者の志と夢は,認定こども園,中学校,高校,大学,大学院を抱える総合学園として,今日まで引き継がれています。

連載 「おも★けん!」新任期でもできる!おもしろ健康教育のつくり方・4

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緊張は突然に

 小林君には,苦い経験があります。保健師実習で健康教育をした際,緊張で思考がフリーズして何も話せなくなってしまったことがありました。対象は乳幼児健診のため来所したママたちです。事前に十分に練習したのですが,当日の会場は子どもが走り回って落ち着かない雰囲気だった上に,それをイライラとたしなめるママたちの姿を見たとたん,突然,頭の中が真っ白になってしまいました。その場は指導保健師のフォローで,なんとか最後までやり遂げることができたのですが,それ以来,乳幼児健診での健康教育に苦手意識を持ってしまったのです。

 「今は学生ではないのだから,プロとしてしっかりしなくてはいけない」と思うのですが,期日が近づくにつれてだんだんと気が重くなっていく小林君。冴えない表情の小林君を見て,長原さんが声を掛けました。

連載 ネウボラから学ぶ日本の母子保健再構築・4

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旭区の概況

 大阪市旭区は当市の北東に位置し,北は淀川に面し東は守口市と隣接している(図1)。面積は6.32km2を有する。JR,京阪電車が縦横に走り交通の便は良く,大阪駅にも近いが高層ビルや大規模マンションは少なく,静かで生活しやすい住宅地である。

 人口は9万1072人(2018〔平成30〕年大阪市推計人口年報)。1960(昭和35)年の14万人をピークに,減少の一途をたどっている。1世帯当たりの人員2.05人と,市平均1.93人よりやや多い。転出入は比較的少なく,転入率57.4‰(市平均73.3‰),転出率50.7‰(市平均64.7‰)であった。出生数661人(月平均55.1人),出生率7.3と市内24区中18位と低率である。一方,高齢化率30.0%と高率で市内5位であり,少子高齢化が急速に進んでいる(全て2018年)。

連載 ポジティブな地域づくりを考える ポジティブ心理学×公共哲学から見る公衆衛生活動・4

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 第4回は,まず島井氏がポジティブ感情に関するポジティブ心理学の研究の発展と健康との関連を解説します。後半は,それを踏まえ新型コロナウイルス感染症問題におけるポジティブ感情の働きや,ポジティブな方向から健康を捉える意義や方法を小林氏が紹介します。

連載 ニュースウォーク・266

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 「年寄りであることを自覚して,日々刻々,検温にこれ努めています」。時候の挨拶にこう書いたら,「実は,私も……」と返事が届き,思わずほくそ笑んだ。新型コロナの禍中で巣ごもりの身には,「検温」は欠かせない日課になった。

 わが家で朝と夜の検温を始めたのは3月17日からである。発熱等の風邪症状はなくても,厚生労働大臣の言いつけを守って細君が記録を取っている。私の平熱は36.5℃らしい。それが測るたびに,上がった,下がったの騒ぎである。一喜一憂するのは体温と「37.5℃」との遠近である。

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目次

次号予告・編集後記

基本情報

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保健師ジャーナル
76巻7号 (2020年7月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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