保健師ジャーナル 76巻8号 (2020年8月)

特集 新型コロナウイルス感染症—保健師の活動を記録する

  • 文献概要を表示

世界中に深刻な影響をもたらした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。国内でも2020年1月に感染者が確認されてから現在まで,対策の最前線である保健師は厳しい状況下で活動を続けてきた。保健師に何が起き,どう動き,何を感じたかを「共有」し「記録」するために,本号では対応初期から5月末までの状況を中心に,現場の保健師や関係団体からの報告をお届けする。

  • 文献概要を表示

新型コロナウイルス感染症の発生初期から5月までの状況を踏まえ,最前線でさまざまな対応に当たった保健師の経験を「記録」することの意義について述べる。また,次のパンデミックに備えた検証の方法や,ウイルスと共存する新時代の保健活動に向けた課題も示す。

  • 文献概要を表示

全国保健所長会の立場から,新型コロナウイルス感染症対応の最前線となった保健所の状況について,2月上旬および4月中旬をそれぞれピークとする2つの波に分けて振り返る。また,保健所における保健師の役割と,次の流行に備えた課題についても述べる。

  • 文献概要を表示

新型コロナウイルス感染症への対応で重要な役割を担う保健師を支援するために,厚生労働省保健指導室では保健所の体制強化や人材確保の支援,人材派遣等を実施してきた。その概要や今後について報告する。

  • 文献概要を表示

大阪府は1月末から独自の新型コロナウイルス感染症対策を進め,感染が拡大する中,対策の最前線である保健所を含む健康医療部では,班体制を敷いて増大する業務に対応してきた。5月末までの活動を振り返るとともに,保健師の支援も含めた今後の課題について述べる。

  • 文献概要を表示

新宿区保健所は,その管内に,特定感染症指定医療機関と,国内有数の繁華街を有している。新型コロナウイルス感染症に対しては,当初はチャーター便を含む渡航者を中心に,さらに3月以降は急増する国内発生患者への対応に,保健師が部署を越えた応援体制の下で従事してきた。第一線に立つ保健予防課の保健師に,5月末までの経験を伺った。

  • 文献概要を表示

三重県では5月末までに45名の新型コロナウイルス感染症患者が発生。津保健所では,積極的疫学調査や相談対応等に追われる中でも,一人一人の対象に寄り添い関わった。この間の対応と,その経験を踏まえ今後に備えるために必要な対策について述べる。

  • 文献概要を表示

大津市保健所では感染症対応で増大する保健予防課の業務に,保健師等の異動や退職保健師の活用で対応。また外出自粛等の長期化に伴い増加する市民の相談にも,不安に寄り添い支援を継続した。統括保健師および健康推進課の視点から,その経験や今後の人材育成の課題を報告する。

  • 文献概要を表示

文京保健所(東京都文京区)の統括保健師の立場から,5月末までの新型コロナウイルス感染症への対応を振り返り,情報収集や課題の明確化,応援人員の配置など,保健師活動体制の調整における役割や,今後に向けた課題を述べる。

  • 文献概要を表示

勤労者の健診や健康相談等の健康支援,および職員の健康管理を行う立場から,新型コロナウイルス感染症による保健師活動への影響について報告し,また保健師としてのあるべき姿について述べる。

  • 文献概要を表示

東京大学大学院の教員や大学院生が行った保健所支援のボランティアについて,中心となった地域看護学分野から報告するとともに,新型コロナウイルス感染症に対応する保健師の活動を知った学生の声も紹介する。

  • 文献概要を表示

社会にとっての人的資源

 看護系大学の教員は,もちろん学生教育と研究に第一の責任を持っているが,教員の保健師・看護師としての技能は社会にとっての1つの人的資源と捉えることもできるのではないか。いざという時の人的資源のリザーブ(予備)として,自然災害など非常事態には役割を持つべきではと,以前から考えていた。今回,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い,日ごろから保健師教育でお世話になっている文京保健所の様子を聞き,これは何とか応援できないだろうか,と考えた。

 幸い,東京大学は以前から文京区と相互協力に関する協定を結んでおり,多様な形での協力体制を最小限の手続きで進められる状況が整っていた。文京保健所には学生教育で大変お世話になっており,教員とざっくばらんにコミュニケーションできる保健師の方々がいた。

  • 文献概要を表示

保健師等の教育機関では,新型コロナウイルス感染症の影響下で学生の学びを保障するために,オンライン授業の準備・実施や,演習・実習方法の検討,学生のフォローなどに取り組んだ。愛知県立大学看護学部におけるそれらの対応を報告する。

  • 文献概要を表示

日本地域看護学会は,厚生労働省からの協力要請を受けて北海道での専門的支援やサーベイランス班への支援を実施。また,今後の支援システムを検討するワーキンググループを立ち上げた。その報告とともに,学術団体としての今後の方向性や保健師へのメッセージを述べる。

  • 文献概要を表示

日本公衆衛生看護学会では,今回の事態を受けて,第一線で対応する保健師や養護教諭等に向けて情報提供やメッセージ発信を行った。さらに,感染症に関する公衆衛生看護実践および保健師等の役割の明確化・体系化に向けた今後の活動についても述べる。

  • 文献概要を表示

日本看護協会では新型コロナウイルス感染症に対応する医療・保健等の現場を支援するため,保健師を含めた看護職の人材確保を実施。さらに,看護職への相談活動や情報提供,広報活動や国への要望を展開している。それらの取り組みについて報告する。

  • 文献概要を表示

 弊誌では読者を対象に,またインターネットを通じて,記述式のアンケートを実施しました(募集期間:5月28日〜6月10日)。限定された時期の意見ではありますが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19:以下,新型コロナ)が国内で発生してから非常事態宣言が解除された5月末まで,保健師がどのような影響を受け,どのように行動し,何を考えたのか,その回答から紹介します。

 (回答末尾のカッコ内は回答者の所属)

  • 文献概要を表示

日之影町の概況

 宮崎県日之影町(以下,本町)は,県の最北山間部に位置し(図1),人口約3800人,65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は,2019(令和元)年10月時点で44.0%に達し,2024(令和6)年には47.1%を超えると推計されています。県庁所在地からは車で約2時間,距離にして約120kmと離れており,東西約9km,南北約30km,総面積277.67km2の自治体です。町土の約91%が山林となっていて,町の東西を河川が貫流して深いV字形の渓谷を形成し,それを境界として河川の南側と北側で環境の異なる2つの地区が形成されています。河川の南側では人口のまとまった集落が点在し,北側は隣接市町を結ぶ国道が横断しており,国道周辺部に商店や医療機関等もあり,路線バスも運行しています。そのため,北側は町外出身も含めた若い世帯が増加傾向にあり,交通の便が良いことから隣接する市や町が生活圏である者も多くいます。

 

あらゆる世代の生活習慣改善に向け,高血圧予防を最重要課題とする宮崎県日之影町。自宅でできる運動の普及方法として,ケーブルテレビで放映する高血圧予防を目的とした健康番組の制作に取り組んだ。町の文化として根付いている神楽の動きを取り入れた神楽エクササイズの開発と紹介映像の放映など,その取り組みを紹介する。

  • 文献概要を表示

はじめに

 私たち「保健師のスキルアップを目指す会」がクレームへの対応に関する研究に取り組み始めたきっかけは,保健師となった卒業生の一言でした。「乳幼児健診時の保健師の対応が悪いと言って父親が電話をかけてきたのですが,私はパニックになり,ひたすら謝って電話を切りました。その後,所内での報告もできていません」と。

 保健師は,基礎教育でカウンセリングや相談対応技術の基本を学びます。しかし,突発的に起こる住民からの訴えに対しては,基礎的な相談技術では対応が難しいのではないかと感じ,保健師のクレーム対応に関する研究を始めました。

 まず,2009(平成21)年に実態調査を実施しました。その結果,静岡県内の市町村保健センターで母子保健に従事する保健師193人中,6割の保健師がこの1年以内に「クレームを受けた」と回答しました1)。なお,筆者らは,クレームを「住民が提供されるサービスに納得できずに起こす陰性感情を伴う申立て」と定義しました。

 一般的にクレームは,「いやなもの」「避けたいもの」と否定的な捉え方をしがちですが,クレームは自身では気付きにくい課題を改善するためのヒントとなり,サービスの質を向上させる貴重な声でもあります。また,保健分野で起こるクレームは,申立者の抱える何らかのSOSのサインである場合も多いと考えます。それを「単なる苦情」と処理してしまうか,「支援・介入の契機」と捉えて対応できるかによって,住民に必要な支援につながるかどうかが分かれます。そのため,クレームへの対応は保健師としての力量が試されるところです。

 そこで筆者らは,クレームを教材とした保健師の援助技術の向上と業務改善を図るための研修が必要であると考え,研究グループ(保健師のスキルアップを目指す会)を組織し,2011(平成23)年より研修を実施しながら研修プログラムの開発を続けてきました。

 本稿では,クレームへの対応術とともに,保健師のスキルアップ,業務改善に生かしていくためのポイントや,クレームに強い組織づくりについてご紹介します。

  • 文献概要を表示

はじめに

 群馬県渋川市(図1)は,日本そして群馬県のほぼ中央部,雄大な関東平野が始まる所に位置する。2006(平成18)年2月に1市1町4村が合併し,現在の市となった。人口は7万7477人(2019〔平成31〕年3月末現在),出生数は421人(2018〔平成30〕年度)である。

 当市では,母子保健事業を実施する中で発達に心配のある児の増加が問題となり,2015(平成27)年に,有識者をアドバイザーとして迎えた「発達障害の早期発見と支援体制づくり検討会議」を立ち上げた。

 そこでの協議を経て,2016(平成28)年度から,10か月児以降の乳幼児健康診査において,行動観察による発達障害のスクリーニング「SACS-J」を取り入れた1)。同年度に,スクリーニングで経過観察が必要であると判断された児に対し,事後フォロー教室の拡充を行った。また,新規事業として3歳以上の就園児(年少児から年長児)対象の事後フォロー相談(心理士,言語聴覚士,作業療法士による月1回の相談)および同対象児への事後フォロー教室を立ち上げた。

 ここでは,就園児の事後フォロー教室「のびのび教室」(以下,教室)における,年長児を対象とした実践について報告する。

連載 ニュースウォーク・267【最終回】

地球温暖化と新コロナ禍 白井 正夫
  • 文献概要を表示

 薫風の候,わが家はプレゼントラッシュである。5月30日,いわゆる布製“アベノマスク”2枚がようやく郵便ポストに入っていた。そして6月8日,待ちわびていた「横浜市特別定額給付金のご案内」が届いた。例の「10万円」である。必要添付書類は用意済み。申請書を即日,ポストに投函した。

 マスクはすでに街にあふれ,春先に比べありがたみは薄い。「10万円」も制度自体の良し悪しや,手続き不備の多さなど論議がやまない。が,四の五の言わずに頂戴する。給付金はまだ入金しないが,使い道はもう決めてある。

連載 「おも★けん!」新任期でもできる!おもしろ健康教育のつくり方・5

  • 文献概要を表示

 長原さんの言う“ライブ感”とは,対象者との「一体感」を指しているようです。アーティストのライブでは,数百人,数千人の観客が「足を運んでよかった」という満足感を持ち帰ります。ヒントはそこにありそうです。今回はおもしろい健康教育のコツを“ライブ感”から考えてみましょう!

連載 ネウボラから学ぶ日本の母子保健再構築・5

  • 文献概要を表示

中頓別町の概要

 中頓別町(図1)は,北海道の北部,北緯45度線上に位置する,人口1700人の町である。日本最北端の稚内市から南に100km程の位置にあり,現在は酪農と林業を基幹産業としている。かつては多くの砂金を産出し,一時は人口1万人を超えたが,現在は人口減が進み,高齢化率約40%と少子高齢化が進む過疎の町である。

 ここ数年の年間出生数10人前後,就学前の子どもの数60人弱,妊娠期の世帯の9割が核家族である。町内に産婦人科・小児科医療機関はなく,専門医のいる中核病院までは約90kmである。

連載 ポジティブな地域づくりを考える ポジティブ心理学×公共哲学から見る公衆衛生活動・5

  • 文献概要を表示

 第5回は,まず小林氏が「幸福の種類と質」の問題について,快楽と深い喜びという観点から論じ,ギリシャ哲学でアリストテレスが主張し,近代哲学やポジティブ心理学で展開されてきた「エウダイモニア」の概念について解説します。後半は,それを踏まえ島井氏が豊かさと幸福,「エウダイモニア」との関連について,考察します。

  • 文献概要を表示

History and Now

どのような機関なのでしょう?

 2007年4月,瀬戸内海を臨む姫路市大塩町に近大姫路大学看護学部看護学科が開学し,2016年4月,大学名が姫路大学に変更され現在に至ります。2017年4月に姫路大学大学院看護学研究科博士前期課程,続いて2019年4月には博士後期課程が開設されました。

--------------------

目次

バックナンバー一覧

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

13488333.76.8.jpg
保健師ジャーナル
76巻8号 (2020年8月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

前身誌

文献閲覧数ランキング(
7月27日~8月2日
)