保健師ジャーナル 75巻12号 (2019年12月)

特集 災害対策・対応の最前線を探る—受援に必要な視点とは何か

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災害の多発する昨今,とくに被災自治体では多岐にわたる支援を統率する受援体制の構築が喫緊の課題となっている。保健師活動と多くの保健医療支援チーム活動との関係,組織内の指揮命令調整,資源需給のマッチングなどは,本来,支援チームの課題というより,被災した受援自治体の課題である。本特集では,先進的な取り組みから受援に必要な具体的な視点とは何かを探る。

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近年,多発する災害では,支援チームとの関係,組織内の指揮命令調整,資源需給のマッチングなど,そのたびに繰り返し指摘される問題があり,受援自治体の体制整備が喫緊の課題となっている。自治体に求められる危機管理とは何か,本特集の位置付けについて述べるとともに,甲府市保健所の取り組みについて紹介する。

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高知県では,東日本大震災を機に市町村における災害時保健活動マニュアルを作成しており,その後の災害支援の経験を教訓に,マニュアルの改定や人材育成などに取り組んできた。平成30年7月豪雨における岡山県での保健活動チームの活動報告とともに,受援体制構築の取り組みを紹介する。

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長崎県ではDHEAT人材育成の取り組みを推進するために具体的な目標数値を設定し,研修・訓練のプログラムを整備してきた。また,DHEAT隊員は登録制とするなど,質の維持・向上と派遣者調整の円滑化を図っている。それらの取り組みと,災害発生時の保健医療福祉活動の体制構築について述べる。

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神戸市では,1995(平成7)年の阪神・淡路大震災の経験を活かし,その後の被災地への職員派遣を行ってきた。これらの経験を基に,災害発生時から応急対策期における避難所支援,DHEATなど受援準備の上で心得ておくことについて,今後被災した場合を想定し,保健師の活動を中心に検討する。

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北海道むかわ町は平成30年北海道胆振東部地震を経験し,外部からの災害派遣や支援団体を受け入れた。この際の保健師の活動を振り返るとともに,受援の対応の中で感じたことや,この経験を踏まえた今後の受援体制構築について述べる。

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災害時における保健医療活動が有機的に実動されるためには,都道府県や保健所のみならず,最も住民に近い存在の市町村における活動が非常に重要である。大阪府富田林保健所では,管内6市町村と共にマニュアル作成に取り組んでいる。その経緯やワーキング会議の内容,今後の展望について報告する。

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中核市である大阪府枚方市は,枚方市保健所の開設の以前から市内医療機関などとの連携や,市災害医療対策会議への参画を図ってきた。2018(平成30)年6月の大阪府北部地震における保健所および市の対応と,その経験を踏まえた総合防災訓練など危機管理体制の強化について報告する。

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大阪府寝屋川市は,2019(平成31)年度から中核市に移行し,保健所が設置された。これに伴う災害対策の体制整備について紹介するとともに,筆者のこれまでの経験を踏まえ,地方自治体,特に市町村の保健部局が取り組むべき災害対策の展望について述べる。

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はじめに

 現代の若年者を取り巻く性の問題と言われて,何を思い浮かべるであろうか。性感染症,人工妊娠中絶,SNS,出会い系サイト,DV,性被害・加害等,さまざまなことがあげられる。

 10〜20代の若年者は生殖に関わるホルモン値が高く,性欲が高まり性行為への欲求も高い時期である。また,「今の若者は性経験が早いから」などの思い込みとともに,性感染症は若年者の病気と思われがちである。

 しかしながら,前述のような性問題がマスコミでも取り上げられる一方,近年の若年者の性経験率は減少している。東京都幼・小・中・高・心性教育研究会の調査によると,高校3年生の性経験率は,2008年に男子47.3%,女子46.5%であったのが,2014年には男子27.6%,女子18.1%に減る1)など,性経験の傾向に変化が表れている。

 その背景には,さまざまな要因から,コミュニケーション能力が乏しく人との付き合いを面倒に考える子どもたちが増えたことがあり,そのため成人期に入っても性経験に至らない者が多いと考えられる。一方で,家庭環境や貧困の影響もあり,淋しい・誰かに認めてほしい等の理由から性経験に至り,性問題を繰り返している若年者がいるというように,二極化してきているとも言われている2)。このような中,現代の若者に向けた性感染症予防活動は,どのように展開すべきであろうか。

 

2015年に発足した東京医療保健大学医療保健学部看護学科の学生が組織する「青少年の性と健康を考え活動する会」(以下,2SK会)では,東京都エイズ・ピア・エデュケーター(以下,APE)認定資格を取得した学生らによる性感染症予防に関する講演活動など,現代の若年者に合った性問題予防教育活動を推進しています。その取り組みを紹介します。

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はじめに

 「全国ひとり親世帯等調査」1,2)によると,父子世帯数は1993(平成5)年度には15万7300世帯であったが,2016(平成28)年度には18万7000世帯に増加している。

 父子のみで生活する世帯が年々増加するのに伴い,父子家庭への支援の必要性が認識され3),2010(平成22)年には,児童扶養手当法の改正により,これまで母子家庭のみを対象とした児童扶養手当が父子家庭も受給対象となった。2013(平成25)年には,自立支援教育訓練給付,高等技術訓練,母子家庭就業・自立支援が父子家庭にも適応となり,2014(平成26)年には「母子及び寡婦福祉法」が「母子及び父子並びに寡婦福祉法」へと改称され,「父子福祉資金」制度が創設された。加えて,同年には国民年金法の改正により父子家庭も遺族基礎年金の支給対象となり,母子家庭への支援と同等の施策が講じられている。

 このように施策は充実してきているが,父子家庭へは経済的支援だけではなく,育児や家庭生活全般に対する支援が必要3,4)とされている。父子家庭の父親は,母子家庭の母親と比べて正規で雇用されている者が多いが,その分,長時間労働をせざるを得ない3)場合や,子どものことを理由に出張を断れない5)時もあり,必然的に育児参加時間が少なくなる3)。一方,遅刻や早退が多くなるなどの仕事への支障が生じる場合や,仕事への制限が減収につながる4)など,子育てと仕事の狭間での悩みが生じやすい5)。また,子どもの病気の時の対応や,異性である子どもの成長発達に関する知識がないことで生じる悩みもある5)

 このような悩みを抱えているにもかかわらず,「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」2)によれば相談相手がいない父子家庭の父親は44.3%であり,悩みを一人で抱えている父親は少なくない。こういった孤立のしやすさから,父子家庭の場合は虐待リスクが高い6)ことが明らかにされているが,父子家庭への支援内容を明らかにした研究はない。

 そこで本調査は,母子保健事業の中で子育て支援を担う7)市町村保健師に焦点を当て,市町村保健師が行う養育支援が必要な父子家庭への支援について明らかにすることを目的とした。

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「公衆衛生看護学の体系」とは,保健師が公衆衛生看護活動を実践していく上で必要な学問を体系的に整理したものです。現場の保健師もその内容を理解し,自身のスキルアップや人材育成に活用できます。今回は,精神保健福祉活動における支援体制づくりの事例から,保健師活動と体系との関連を学びます。

連載 数式不要!はめ込み統計学 保健師のための統計これだけ・12

多変量解析に挑戦しよう! 加藤 丈夫
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 病気は大別すると,単一遺伝子病と多因子疾患に分けることができます。

 単一遺伝子病とは単一の遺伝子の異常によって発症する病気です。例えば,X染色体上にある血液凝固第8因子遺伝子の異常により血友病Aが男児に発症します。また,第4染色体上にあるハンチンチン遺伝子の異常により男女にハンチントン病が発症します。つまり,特定の遺伝子異常と病気の発症には1:1の対応関係があります。いわゆる,「遺伝病」と呼ばれる疾患の多くは単一遺伝子病です。

連載 ニュースウォーク・259

424病院再編要請のショック 白井 正夫
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 肩や腰,脚の痛み取りに使う「湿布薬」が公的医療保険の対象から外される—こんな噂が今夏も高齢者の間に広まったという。「湿布薬を貼るなら全額自費でどうぞ」という話だから,保険診療の1〜3割負担で済む今のうちにと医療機関に走る高齢者が出てくる。

 湿布薬の噂話は数年前から時々ぶり返す。“震源”の1つは健康保険組合連合会(健保連)の提言である。健保連は2013年以前から「病院処方薬のうちいくつかは同じ有効成分を持つ市販薬で代用できる」ことに着目,「代用可能薬剤は保険適用から外すべき」と訴えてきた。湿布薬,皮膚保湿剤,花粉症治療薬などである。

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 人生100歳時代を迎えんばかりの日本は世界に類を見ない長寿先進国である。しかし一方で経済格差と健康との関連は明らかであり,人々の価値観も多様化する中で“生きづらさ”を抱えて生活している人も多くいると言われている。このような中で,精神疾患を抱え地域で生活している人々に対し,訪問看護は大きな役割を担っている。

 本書は,精神科訪問看護ステーションの管理者の視点で,地域で精神疾患を持つ人を支える支援者のために分かりやすく書かれた実用書である。

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基本情報

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保健師ジャーナル
75巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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