保健師ジャーナル 75巻11号 (2019年11月)

特集 中核市の保健活動から考える—より効果的な地域活動への展開

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1996年に施行され,現在も増加傾向にある中核市。本特集では,中核市への移行や,それに伴う保健所設置に向けた展開,また,そのスケールメリットを生かした地域に根差した保健活動を紹介する。そこから中核市へ移行する際のポイントや中核市での保健活動のあり方とともに,他自治体にも通じる地域活動を効果的に展開するための視点を探る。

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2018(平成30)年4月に中核市移行に伴い新設された福島市保健所。その所長としての経験を踏まえて中核市保健所の現状と課題を解説するとともに,中核市のメリットを生かした活動に向けた保健師への期待を述べる。

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2019(平成31)年度に厚生労働省の保健指導室が実施した「統括的な役割を担う保健師に関する調査結果」等を基に,中核市の保健活動の特徴と課題を解説する。また,中核市の保健活動および統括保健師に期待されることを取り組み事例とともに述べる。

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2019年4月1日に中核市に移行した山梨県甲府市。中核市への移行や甲府市保健所の設置に伴う移譲事務等に関する諸整備や保健師活動の体制整備の過程を紹介するとともに,移行後の課題と今後の展望について述べる。

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2019年現在,中核市が全国最多の6市ある大阪府。中核市への移行にあたっては,大阪府と中核市移行予定の市の間で人事交流を行い,業務の円滑な移行に努めてきた。それら移行にあたってのプロセスや課題を紹介するとともに,移行後の連携や支援について述べる。

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1996(平成8)年に中核市となった富山市では,コンパクトシティ政策と地域共生社会の推進に取り組んできた。その背景や過程とともに,地域共生社会推進における保健師の活動や役割,活動体制を紹介する。

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愛知県豊田市では,2013(平成25)年度から業務分担制に地区担当制を取り入れた重層型の組織体制へ移行した。その背景や地区担当保健師による「きらきらウエルネス地域推進事業」の成果について解説し,地域住民や組織との連携のポイントについても述べる。

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江戸川区の概要と歯科保健活動

 江戸川区は,東京23区(特別区)の東端に位置する,人口69万8031人の区である(図1)。平均年齢43.61歳で,23区の中で5番目に若く,高齢化率21.03%は13番目に低い(2019〔平成31〕年1月現在)。名産品である小松菜の収穫量は東京都1位,公園面積は23区で1位。東に江戸川,西に荒川と,水と緑に囲まれた自然豊かで暮らしやすい地域である。

 江戸川区では,町会・自治会・各種団体のコミュニティ活動が活発であり,この「地域力」を活かし,「誰もが安心して自分らしく暮らせるまち」の実現を目指している。その施策として,地域住民をつなぐ拠点「なごみの家」や,子どもの成長支援の一環として行う学習支援「e-りびんぐ」などの事業を実現している。さらに,こうした取り組みの一環として,区の歯科専門職*1が,関係団体および住民ボランティア等と協働し,地域や住民へ情報提供や技術支援を行うなどの取り組みを行っている。

 

江戸川区(東京都)では,住民への歯科保健活動を行う際に,親しみやすいキャラクターを用いると,より効果的となると考え,2015(平成27)年度から,江戸川区8020応援キャラクター「リッパー」を作成・活用している。江戸川区における,地域と協働したキャラクター制作と,これを用いた活動や地域での展開について紹介する。

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保健師リーダーの“資質能力”を育てる挑戦

 ここ数年,全国各地で保健師基礎教育課程の大学院化が進み,助産師に続き,保健師も高度専門職業人養成の変革期に入った。保健師を志す学生は,大学院博士前期課程(修士課程)でその国家資格の取得を目指す選択ができるようになった。大学院博士前期課程では,保健師国家試験受験資格を得ると同時に,修士の学位を取得できる。このことは,保健師は保健医療の協働職種である医師や歯科医師,薬剤師と同じ教育年限をもって,社会の多様なニーズに応える実践力を備えた職種となったことを意味する。

 東北大学大学院医学系研究科では,東日本大震災の経験に基づき,地域社会の状況に応じてリーダーシップを発揮できる保健師を育成するため,2014(平成26)年4月から修士課程で,保健師養成コース(国家試験受験資格取得コース,リカレント〔保健師免許保有者向〕コース)を開始した。国家試験資格取得コースには,2016(平成28)年4月から毎年5〜6名を迎え,2019(平成31)年度は4期生が入学した。

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はじめに

 子ども虐待については,痛ましい事件がたびたびニュースとなります。このような時,必ず児童相談所の動きが注目されますが,「児童相談所の保健師」がどのような活動をしているのかは,あまり知られていません。筆者は2018年に,全国の児童相談所に働く保健師を対象に,担当する業務や課題等について実態調査を行いました。その結果,児童相談所の保健師は,担当業務や専門性など,さまざまな悩みを抱えていることが分かりました。

 そこで,全国の児童相談所に働く保健師に呼び掛け,さる2019年8月17日に情報交換を目的に,「令和からはじめよう!全国児童相談所に働く保健師のつどい」(以下,つどい)を静岡市で開催しました。当日は43名の方が参加し,講演やグループワークで学びや交流を深めました。その経緯や概要を報告します。

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はじめに

 プラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi syndrome:以下,PWS)は,臨床症状が年齢とともに変化する遺伝子疾患である。乳児期早期には,外見的特徴として色素低下や外性器低形成等があり,著しい筋緊張低下や哺乳障害がある。こうした所見からPWSが疑われ,遺伝子検査で診断される。その後,次第に精神運動発達遅延が露見し,幼児期には,過食や知的障害や低身長,学童期には,過食による肥満,知的障害や行動上の問題,思春期・成人期には,肥満に伴う糖尿病や呼吸不全,性腺機能不全等の多様な症状を呈する。発生頻度は,出生児の約1万5000人に1人と推測されている。現在,PWSは小児慢性特定疾病94,指定難病193となっている。

 PWSがある患者(以下,患者)の医療について,わが国では,永井ら1)が書籍を出版し,適切な情報が入手できるようになった。また,1991(平成3)年には,患者・家族の会である「竹の子の会」2)が設立,2005(平成17)年には,「日本プラダー・ウィリー症候群協会」3)が国際PWS協会の日本支部として設立された。しかし,支援の具体的情報は未だ乏しい。

 諸外国では,1975(昭和50)年に,PWS協会(米国)4)が患者・家族と支援者で設立され,1991年には,国際PWS協会5)が設立され,PWSの医療から教育・支援・福祉まで広範な情報をウェブで発信している。しかし,患者・家族の地域支援に関する情報は見当たらない。

 筆者が本稿執筆時に所属する宇和島保健所では,1989年(平成元)年に複数の患者を把握した。個々に支援していく中で,親たちが,肥満に配慮した育児や,将来の合併症の予防,学校生活等について悩んでいたことから,親子の交流や情報交換の場として,1990(平成2)年に全国で初めて「PWS親子の集い」(以下,「親子の集い」)を開催した。その後,関係者の協力のもと毎年開催してきた。

 今回,患者の成長とともに変わる課題等について,保健所が中心となり,「親子の集い」等を通して実施した地域支援の取り組みを振り返り,その意義について検討した。本稿は,保健所保健師が患者の生活に密着した支援モデルを示し,他の保健所での実践の参考となる情報を提供することが目的である。

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 2005(平成17)年の市町村合併後,統括する保健師の業務には多くの課題がありました。保健師の集中化に伴う業務の見直しや合併庁舎の人数配分など,今も継続課題が山積みです。その中でとても苦労した先輩保健師が退職し,2014(平成26)年に自分が統括保健師になりました。そこで,「統括保健師としてやりたいことは何か」と思いを巡らしていた時,タイミングよく日本看護協会の初回の「統括保健師人材育成プログラム」研修に参加することができました。

 この研修は,前期・後期の集合研修と「自組織における実践」が特徴で,1年間通して研修を受けている感がありました。人口が同規模の自治体の保健師と一緒のグループ構成で,毎回課題を持っての参加なので気が抜けませんでしたが,たくさん喋り合い,聴き合いました。その分,さまざまな課題があることや,自分自身が持っていなかった視点に気付かされ,大いに刺激になったことは言うまでもありません。今でも,そのグループメンバーは,何か聞きたいときに気軽に聞ける存在です。これを機会に,他の自治体の保健師との交流がある研修には,新任期の保健師にも積極的に参加してもらうようにしています。全国レベルの研修会参加への予算確保も頑張っています。

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「公衆衛生看護学の体系」とは,保健師が公衆衛生看護活動を実践していく上で必要な学問を体系的に整理したものです。現場の保健師もその内容を理解し,自身のスキルアップや人材育成に活用できます。今回は,保健事業の評価と健康づくり事業への展開事例から,保健師活動と体系との関連を学びます。

連載 研究室からのメッセージ・169

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学は,2020(令和2)年に開催されるオリンピック・パラリンピック開催の中心地となる東京湾ベイエリアに所在し,研究室からは日々建設が進んでいく競技場が見えます。また,大学周辺には豊洲市場などもあり,今後とも大きく発展することが見込まれる地域と言えます。

 本学は,戦後日本の東洋医学の世界に多くの人材を輩出し,その発展に貢献した花田学園を母体とし,2009(平成21)年4月に開学した保健医療学部(鍼灸学科,柔道整復学科)と看護学部(看護学科)の2学部3学科からなる医療系の大学です。2013(平成25)年4月には保健医療学研究科保健医療学専攻(鍼灸学分野,柔道整復学分野),看護学研究科看護学専攻の2修士課程が,2014(平成26)年10月には保健医療学研究科保健医療学専攻(鍼灸学分野,柔道整復学分野)博士後期課程が開設されました。

連載 数式不要!はめ込み統計学 保健師のための統計これだけ・11

3群以上の比較 加藤 丈夫
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「2群の比較」ができれば「3群以上の比較」もカンタン

 これまでの連載で,p値の意味(連載第1回),変数の種類(連載第2回),カテゴリー変数の解析(連載第3〜5回),2群間の連続変数の解析(連載第6〜8回)を学びました。これだけでも,保健統計に必要な解析の大部分を行うことが可能です。

 連載第1回の「はじめに」に,「本シリーズが終わるころには,あなたが統計ソフトを使って統計解析を行っている姿を想像してみてください。きっと,うれしいと思います。私もそのような保健師さんの姿を拝見したいと切望しています」と述べました。現在のあなたの状況はいかがでしょうか? おそらく,R/EZR*1を用いて「2群の比較」を行っているものと思います。さらに言えば,「2群の比較」の方法を学んだ人にとっては,「3群以上の比較」も容易に理解できます。

連載 ニュースウォーク・258

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 高さ296mの「横浜ランドマークタワー」に代表される横浜市の「みなとみらい21地区」は観光スポットである。玄関口のJR桜木町駅を出た人並みは超高層ビルを背にした広場に流れ,駅からすぐ横にそれる小さな人並みに気付く人は少ない。その先に公設「喫煙所」がある(写真)。

 横浜市に「空き缶等及び吸い殻等の散乱防止等に関する条例」がある。「ポイ捨て・喫煙禁止条例」と呼ばれる。1995年4月施行と古く,全国の自治体に広まった路上禁煙条例のモデルとなった。「喫煙所」は条例による公設施設である。

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保健師ジャーナル
75巻11号 (2019年11月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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