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はじめに
現代の若年者を取り巻く性の問題と言われて,何を思い浮かべるであろうか。性感染症,人工妊娠中絶,SNS,出会い系サイト,DV,性被害・加害等,さまざまなことがあげられる。
10〜20代の若年者は生殖に関わるホルモン値が高く,性欲が高まり性行為への欲求も高い時期である。また,「今の若者は性経験が早いから」などの思い込みとともに,性感染症は若年者の病気と思われがちである。
しかしながら,前述のような性問題がマスコミでも取り上げられる一方,近年の若年者の性経験率は減少している。東京都幼・小・中・高・心性教育研究会の調査によると,高校3年生の性経験率は,2008年に男子47.3%,女子46.5%であったのが,2014年には男子27.6%,女子18.1%に減る1)など,性経験の傾向に変化が表れている。
その背景には,さまざまな要因から,コミュニケーション能力が乏しく人との付き合いを面倒に考える子どもたちが増えたことがあり,そのため成人期に入っても性経験に至らない者が多いと考えられる。一方で,家庭環境や貧困の影響もあり,淋しい・誰かに認めてほしい等の理由から性経験に至り,性問題を繰り返している若年者がいるというように,二極化してきているとも言われている2)。このような中,現代の若者に向けた性感染症予防活動は,どのように展開すべきであろうか。
2015年に発足した東京医療保健大学医療保健学部看護学科の学生が組織する「青少年の性と健康を考え活動する会」(以下,2SK会)では,東京都エイズ・ピア・エデュケーター(以下,APE)認定資格を取得した学生らによる性感染症予防に関する講演活動など,現代の若年者に合った性問題予防教育活動を推進しています。その取り組みを紹介します。
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