保健師ジャーナル 76巻1号 (2020年1月)

特集 健康づくり戦略を磨く—誰も置いてきぼりにしない

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健康寿命を伸ばすためには,SDGsの「誰も置き去りにしない」という理念にもあるように,ポピュレーションアプローチとして健康無関心層に届く健康づくり戦略が求められる。そこで,本特集では健康無関心層に向けた企業や自治体の取り組みを紹介し,これからのポピュレーションアプローチや健康づくりのあり方を考える。

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これからの健康づくりには,健康意識の高い住民の力を活用した,「人から人への連鎖」を起こす必要がある。ここでは厚生労働省老健局長の大島氏に,高齢者の健康を推進する立場から見た,今後の健康づくり戦略の方向性や,保健師に求める役割について聞いた。

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ポピュレーションアプローチとはいったい何か。これまで市町村保健師や公衆衛生看護の研究者として,ポピュレーションアプローチの実施や支援に取り組む中で考察してきたポピュレーションアプローチの意義と成功要因について,福井県美浜町の取り組みとともに述べる。

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自治体等の健康づくり事業を支援する立場から,健康づくり無関心層への取り組みに有効と考えられる「口コミ」の効果と,それを機能させるための鍵について解説する。また,保健指導を担う専門職に必要な資質や,それらを培うためのリカレント教育の重要性について述べる。

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フィットネスクラブを展開するカーブスジャパンでは,会員に対する健幸アンバサダーの育成事業に力を入れている。その背景や健康アンバサダーが健康無関心層を動かした事例とともに,健康無関心層を動かすために大切なことを紹介する。

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大塚製薬は,地域,学校,職域,自治体等での健康と運動・栄養・休息等に関するヘルスプロモーション施策を支援している。そのうち,熱中症対策アドバイザーと健康アンバサダーの養成事例を紹介し,企業と行政がともに健康づくり活動に取り組む際の視座と課題を述べる。

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新潟県見附市では,住んでいるだけで,健やかで幸せに暮せるまち「スマートウエルネスみつけ」の実現を目指し,「健幸」をまちづくりの中核に据えた施策に取り組んでいる。その取り組みを,市長の立場から紹介する。

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秋田県仙北市では,市町村の抱える健康課題を克服し,健康寿命の延伸に資することを目的として,「せんぼく元気はつらつ隊」の研修・認定による地域に適した健康志向の高い人材の育成を行っている。その取り組みと広がりを紹介する。

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はじめに

 筆者は,大学卒業後に急性期と療養型の一般病棟で看護師として勤務した後,2015(平成27)年9月に第2育秀苑地域包括支援センター(以下,当センター)へ入職した。病棟で勤務していた頃には,地域包括ケアや医療と介護の連携という概念がまだ一般的でなく,自宅に帰りたくても帰れない高齢の患者さんを数多く目にした。ベッドの上で,日に日に意識があいまいになっていく患者さんに対し,無力感を感じたことが現在の職に就くきっかけの1つとなった。

 当センターは,東京都練馬区(図1)の最も東に所在し,板橋区,豊島区,中野区との区境の地域を担当している。昔から少し高級な住宅街であった小竹町や,昭和の時代は賑わった商店街がある栄町,小さな古アパートが多い旭丘,幹線道路があり高齢化率が低い羽沢といった地域がある。

 当センターでは高齢者の相談支援や地域づくりを行っているが,保健師は医療的な視点のもと,介護予防・疾病予防活動を推進する役割を担っている。医療と介護の連携においては,支援者の自己満足とならないよう「活動が地域のプラスになるか」という視点を意識している。具体的には,「在宅療養や認知症に関する情報を発信する」「認知症の理解と支援のネットワーク作りを進める」「介護予防に取り組める地域資源を創出する」の3点を柱として取り組んできた。

 本稿では,この3点のうち「介護予防に取り組める地域資源を創出する」について,取り組みの中で感じた課題やキーポイントなどをお伝えできればと思う。

 

東京都練馬区にある第2育秀苑地域包括支援センター(以下,当センター)では,「介護予防に取り組める地域資源を創出する」を活動の柱の1つとし,地域住民の声を拾って介護予防・交流の場の立ち上げ支援を行っている。地域の「やりたい」の声をもとに実現した「旭丘しあわせ食堂」と「街かどケアカフェ」の取り組みを紹介する。

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緒言

 定年退職は,人生後期における大きな生活の転換をもたらすライフイベントである。特に労働を重要な役割としている男性にとっては,それまでの企業・職域指向型の生活から,家族・地域指向型の生活へと,生活構造を大きく変容させることになる。

 高齢者人口が増加の一途をたどるわが国において,高齢者,特に男性高齢者の社会的孤立の問題が現在大きな社会問題となってきている1)。同時に,元気な退職者が長い退職後の日々をいかに自立して健康に過ごしていくか,また地域での生活と疎遠であった彼らを地域がどのように受け止めていくかということは,地方自治体にとって大きな課題となっている2)

連載 公衆衛生看護学の体系を事例で学ぶ・10

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「公衆衛生看護学の体系」とは,保健師が公衆衛生看護活動を実践していく上で必要な学問を体系的に整理したものです。現場の保健師もその内容を理解し,自身のスキルアップや人材育成に活用できます。今回は,産業保健分野の事例から,保健師活動と体系との関連を学びます。

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 熊本市は人口約74万人で,2008(平成20)年度に政令指定都市に移行しています。5つの区役所を設置し,健康福祉局を含め26局(区)で,課は約200課(室)あり,全職員数は約6000人です。そのうち保健師は140人おり,本庁機能である「政策局」と主に「健康福祉局」の企画部門に複数の保健師を配置しており,健康づくり推進課の保健師で最も職位の高い保健師を「統括的保健師」と位置付け,保健師等の連絡調整等を実施しているところです。

 保健師活動は,地区担当制と業務担当制の混合型です。地区担当保健師は主に区役所の保健子ども課(児童福祉部門と保健部門を担う課)に所属しており,人数は合計約70人です。つまり,全保健師数の半数は地区担当保健師ということになります。熊本市では,特に「小学校区単位の健康まちづくり活動」を重視しており,新規採用職員はまずは母子から高齢者までの保健活動や地区活動を担う,地区担当保健師を経験するようにしています。

連載 数式不要!はめ込み統計学 保健師のための統計これだけ・13【最終回】

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 まず最初に,前回(2019年12月号)の復習をします。

 人の健康に影響する因子は単一であることは少なく,ほとんどの場合,複数の因子がいろいろな程度で影響します。そのような場合の解析には多変量解析が必要になります。多変量解析の中では,ロジスティック回帰分析と重回帰分析が保健医療の分野ではよく用いられています。この2つの解析法の使い分けで重要な点は,目的変数が名義変数(二値変数:例えば,疾患の〈ある〉〈なし〉など)であるのか,あるいは連続変数であるのか,という点です。目的変数が名義変数(二値変数)であればロジスティック回帰分析を用いますが,目的変数が連続変数であれば重回帰分析を用います(図1)。

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 2010年4月に帝京科学大学が東京都足立区に千住キャンパスを開設し,2012年4月に医療科学部看護学科を設置しました。その後,2017年4月に保健師教育課程をスタートすることになり,2021年3月には初めて保健師を送り出すこととなります。

 最寄り駅の北千住駅は,JR常磐線や東武スカイツリー線,地下鉄千代田線・日比谷線,つくばエクスプレスが乗り入れ,交通のアクセスも良く,日光街道・奥州街道の宿場町として栄えた風情と下町の人情が息づく街の中に,校舎があります。

連載 ニュースウォーク・260

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 朝刊が待ち遠しくて,眠りも浅かったようだ。2019年10月31日の未明,確か深夜3時すぎに「沖縄の首里城から煙が上がっている」という第一報をラジオで聴いたような気がする。早朝,配達されたばかりの朝日新聞を広げて愕然とした。

 当てにしていた記事がどこにも見当たらない。日本の終末期医療を巡る議論のエポック的なニュースのはずなのに,どうしたのか。駅売りの新聞を何紙か買った。その記事は読売新聞にだけ社会面の片隅に載っていた。16行の豆ニュース。「尊厳死協会訴訟 国の控訴を棄却 東京高裁」の見出しでは訴訟の中身すら分からない。

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基本情報

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保健師ジャーナル
76巻1号 (2020年1月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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