訪問看護と介護 4巻10号 (1999年10月)

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 訪問看護婦に在宅におけるリハビリテーションについてきくと,「患者さんの機能を評価し,プログラムを立て,実施するというすべての段階に不安がある」という.にもかかわらず,訪問看護婦は在宅でリハビリテーションをほとんど1人で(あるいは訪問看護婦一職種のみで)担わされている現状がある.

 となれば,訪問看護婦には在宅でのリハビリテーションを1人でかかえこむのではなく,リハビリテーションの専門家たちと連携するという選択肢があってしかるべきなのだが,しかし現状ではその連携が必ずしもうまくいっているとはいえない.

 それはなぜなのだろうか.そしてもっとうまく連携をしていく方法はないのだろうか.

 在宅リハビリテーションにおける他職種との連携の鍵をさぐるため,神奈川県川崎市で地域リハビリテーションに取り組む専門施設〈れいんぼう川崎〉を訪ねた.施設外の職種との連携を非常にシステマティックに行なっているという評価を聞いたからだ.

 そこで,まずはじめに〈れいんぼう川崎〉の活動をレポートし(取材編その1),次いで訪問看護ステーションが〈れいんぼう川崎〉とどのように連携をとっているかを報告する(取材編その2).

 最後に〈れいんぼう川崎〉の所長に,PT,リハビリテーション専門職との連携のコツをうかがったので報告する(インタビュー編).

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看護婦からみたPT

 利用者と関わるなかで,私たち訪問看護婦がよく感じることは,利用者は病状にも不安を持っているが,それ以上に“疾患の後遺症や老化に伴ってのADLの低下”に対しての悩みや不安の方が大きいということである.特に在宅では,利用者が“実際の生活の場”で暮らしているために,ADLの低下という問題点の比重は病院よりかなり高い.“日常生活動作を支える”ことは,訪問看護婦・理学療法士(以下,PTと略す)の大きな役割といえる.

 当ステーションには訪問看護婦12名,PT・OT2名が働いている.お互いの専門機能を生かした上でうまく連携をとることで,利用者が“実際の生活の場でその人らしい生活が送れるよう”支援することを目指している.

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必要,しかし不得意なリハビリテーション

 看護婦が訪問看護婦になり,ひとりで訪問を開始した時にとまどうことのひとつがリハビリテーションです.

 看護知識や技術は学生時代の実習や臨床の現場で獲得しているため,各家庭を訪問して行なう様々な介護指導や教育,医療処置などはある程度自信を持って行なうことができます.一方,リハビリテーションについては,専門的に運動療法などの教育を受けていないため,経験上の知識と技術で対応しているのが現状です.

連載 訪問看護 時事刻々

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 病院からの訪問看護と訪問看護ステーションからの訪問看護はどのような違いがあるのか.厚生省が医療経済研究機構に委託して行なった「医療機関における訪問看護実態調査」の結果がまとまった.

 まず,対象者の主病名は,病院,ステーションいずれも「循環器系の疾患」が49%ともっとも多い.しかし第2位は,病院が「精神及び行動の障害」(18.7%),ステーションが「神経系の疾患」(10.2%)と分かれ,病院は精神疾患,ステーションは難病という違いがあるようだ.

介護保険 今月の動き

居宅介護支援事業者の指定基準について
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 介護保険で中心的な役割を果たすのがケアマネジャー.すでに2回目の実務研修受講資格試験も終わり,10数万人のケアマネジャーが2000年4月までに誕生する.ケアマネジャーの多くが看護職や介護職の資格をもつ人々で,中には今後どのような働き方をするか悩んでいる人もいるであろう.

 ケアマネジャーの行なう中心的な仕事であるケアマネジメントは,指定居宅介護支援事業者によって提供される.指定居宅介護支援事業者になるためには「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」を満たしていなければならないが,7月29日にこの基準に関する解釈通知が厚生省からだされた.基準は,人員・設備・運営に関して定めているが,人員に関しては7月号で解説したので,今回は主に運営について解説する.

心起こし身体起こし・8

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 ドロドロロ~,ドアを開けるとポツンとひとり,台所の蛍光灯の補助電球,薄ら明かりの中に女性がうつむき座っていた.部屋のカーテンはすべて閉ざされ,日の光りを遮断.ドロドロロ~,怪談ばなしの序奏になりそうな,尋常ではない環境.脳血管障害後遺症,左片麻痺,ウツ傾向の初老の女性,「これは手ごわいだろう」と思ったのが,N代さんとの出会いだった.ところが意外に,簡単にこの環境は変化していった.

 障害を患っての一人暮らし,気分が落ち込むのも当然,寝たきりになったらおしまいと思ったのか.いや,ベットに寝ていてもだれかが世話をしてくれる訳でない,そんな厳しい現実がトイレに近く食事に便利な台所の椅子に一日中座るという,合理的な判断をN代さんにさせたのだと思われる.寝たきりを妨ごうと単にベットから起こし,車椅子に座らせただけで,一日ボンヤリさせ,寝たきりゼロだと豪語するトンチンカンな施設病院もあるけれど,台所で一日中座っているのは同じ状況だとN代さんに理屈を言っても仕方がない.それにしても全てが暗い,「部屋」「表情」…明るいものを探したかった,何でもいい,何かの賞状や趣味のもの,ほめれるような,気分を明るくしてくれるような話題がほしかった.しかし特に目に付くものもなく,ひとまずマッサージをはじめることにした.

介護保険にむけて訪問看護ステーションが考えておくべきこと・7

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訪問看護と医師の指示書

 訪問看護を行なうためには,現在も介護保険下でも患者の主治医からの指示書が必須条件です.介護保険開始以降,訪問看護が開始される流れを追う中で,医師の指示書がどのように関連してくるかを整理してみましょう.

 パターン1:患者さんの状況を把握している主治医が病状をみて訪問看護を導入するという判断をし,要介護認定の意見書に訪問看護の必要性を記載するパターンです.それによって,介護認定審査会で留意事項として付記される,という方法です.

寝たきり起こし―そのメカニズムとモノ選び・10

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 ベッドから離れた生活支援のために,安定した座位姿勢について基本から考え,負担の少ない移乗方法を検討し,そこで拾い出した条件をベッドから離れて過ごす場として車いすに落とし込む……というのが前回までのあらすじでした.

  今回と次回は少し視点を変え,これまで学んできた姿勢や動作を複合・応用したものである生活行為,特に在宅ケアにおいて重要な入浴と排泄,食事について,身体のメカニズムとモノ選びから考えてみることにします.

訪問看護ステーション管理月誌・10

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 この8月でさいわい訪問看護ステーションがオープンして6年が過ぎました.神奈川県で初めての訪問看護ステーションだったため,はじめは苦労の連続だったと当時が懐かしく思い出されます.

 地域の開業医へ挨拶まわりをした時に「僕はあんたのところは使わないから…」と追い返されたり,大病院の勤務医に「書いても僕の給料が上がるわけではないから」と言われ,指示書をもらえないまま肩を落としてステーションに帰った日もありました.逆に,比較的高齢の医師が「すぐに僕がお世話になるかもしれないから」と熱心にステーションの制度について聞いてくださったり,保健所や地域の自助グループから説明をして欲しいと頼まれてルンルンで出かけたこともありました.

フィジカルアセスメントを学ぼう・20

介護ニーズの評価 箕輪 良行
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 どのくらい自立して生活できるか,どういう介護が必要になるか,という評価を行なおうとすれば,それは在宅高齢者の機能をみることになります.医学的な視点とは別のものの見方が求められます.従って医療関係者には最も苦手で,しばしば手抜きをしてしまうところです.在宅ケアの現場で簡便に使える方法を知って慣れることから始めましょう.病的な状態をさけて長く機能を保ちながら健康な人生を送れるようにと誰もが願っています.

 社会に出て役割や職業を遂行するレベルの機能から,車の運転や電車,バスの利用といった毎日の生活に必要な機能,電話をかけるあるいは銀行キャッシュサービスを使うという現代生活に必須の活動,身仕度,入浴,排泄などの個人的ケアまで様々な段階の機能が日常生活を支えています.老人にみられる機能の喪失は,必ずしも病気や疾病でおかされた部位と関係しないこともあります.今回もHさんの機能と介護ニーズをまず初めに考えてみて下さい.

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はじめに

 ディホームやグループホーム,宅老所,託老所などさまざまな名称の小規模ホームは,1980年代半ばにその実践がはじまり,この数年で急速に増加した.手元の資料によれば,91年に66か所だったのが,98年には660か所となっている.

 98年5月には「全国痴呆性高齢者グループホーム連絡協議会」が設立された(事務局電話033-232-9272).また「全国痴呆症高齢者グループホーム研究交流フォーラム」が,98年2月に800名(松島),99年2月に1300名(仙台)の参加を得て開催され,同フォーラムの実行委員を中心として,99年1月には「宅老所・グループホーム全国ネットワーク」も結成された(事務局電話022-719-0588).ネットワークの代表世話人である「ことぶき園」の槻谷さんは,ニュースレター創刊号にグループホームをつぎのように表現している.

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調査実施の背景と目的

 介護保険に向けて,在宅ケアの担い手である訪問看護ステーション(以下ステーション)は,より質の高いケアの提供が求められるようになる.しかし,その業務内容は,個々のステーション毎にかなり異なり,質の向上の対策も,共通なスタンダードな方法のみでは不十分で,個々のステーションの状況に応じた個別の対策も必要である.

 一般に業務の質の評価としては,第三者評価が望ましいとされ,すでにいくつかの試みがなされている.しかし,主なケアの提供の場が在宅という閉じた場である訪問看護婦においては,第三者評価がむずかしい.米国のRice1)も述べているように,訪問看護婦は,常に自身のサービスを評価し向上させる方法を自身で持っている必要がある.また,訪問看護を実践している当事者による評価・対策が,質の向上の上では最も効果的であるとされ2),我が国で開発された訪問看護の自己評価法3)4)も,この考えに基づいている.

生命輝かせて―臨床医としての真髄を求めて・9

人生の的 有働 尚子
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仏学事始め

 サンタンヌ病院の玄関前にあるフランス語会話教室(FIAP)に入学でき,時間的にはかなりの余裕が出てきた.体中を耳にしてアンテルヌたちと入院患者を診て回る毎朝の回診で,すでに昼近くには私の両足は棒になっていたが,Shalle de gardeでの小一時間のゆったりとしたフランス的昼食の後には心身のリフレッシュも多少でき,午後は患者さんの入院カルテに目を通す気力が湧いてきた.しかしながら,ここにも大きな関門が控えていた.タイプ打ちの印字された病歴,紹介状は難なく読破できたが,手書きのカルテとなると日本の医療界の常識に漏れず,フランスでも医者の筆跡の解読は難解さを極めていた.

 特に,小文字のa,e,oは手書きになると,その前後の文字の関係で崩れており,全くといって良いほど見分けが付かなかった.〈象形文字〉的に,ぱっと見て単語の一塊りが1つのフランス語に見えないとすると,個々のスペルを解読していく作業はほとんど不可能に近かった.できるだけ筆跡の読みやすい文字で記載されている医学生のカルテの記述から読み始め,徐々に慣れていった.

今月の119番

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 住宅からの火災を防ぐ,火災が万が一発生した場合でも被害を最小限度に防ぐ,そのために必要な様々な方法をお知らせしてきました.今回は特に,住宅用火災警報器にスポットを当ててみたいと思います.

 火災による被害を防ぐ最適な力法は,火災を起こさないことです.しかし,「絶対に火災を起こさない」のは非常に難しいことです.火災が小さいうちに消したり,早く逃げることを考えておく必要があります.また,いち早く火災を発見し周囲に知らせることも必要で,そのために有効なのが火災警報器です.

宮崎和加子の映画でおしゃべり・10

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 最近,某病院のケースワーカーから電話でエイズ患者の訪問看護についての問い合わせがあった.「50歳の男性の患者さんなのですが,エイズではあるのですがそれは落ち着いています.けれど,癌を併発しその終末期の状態です.本人もそのことを承知していて,退院して家で暮らしたいと望んでいます.その受け入れは可能でしょうか」と.

 以前はエイズの患者さんは訪問看護の対象にはあまりなっていないが,だんだん増えてくるのではないだろうかと予測していた.最近さまざまな地域でエイズの患者さんが対象になっていると聞いている.みなさんの地域ではどうでしょうか.将来的に多数の患者が対象になるかどうかはわからないが,もし自分の現場に依頼があったらどのように受け入れるのか考えておくことが必要かも知れない.

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 『アディクションアプローチ』を読んで,まるでこの数年わたし自身に起きた出来事を見透かされているように感じた.

 わたしがこの職業を選んだ本当の理由は何だったのか.それを問うことは自分の存在理由を明らかにすることだった.この本に出会う以前の,予期せぬときにその問いは訪れ,本当の自分自身を見つめ,探り,出会う旅となった.もし同じように“勇気ある冒険旅行”に出掛けようとしている人がいて,以下わたしの文章が少しでもお役に立てれば,わたしの旅もまんざらではなかったなと思う.

多文化ヘルシークッキング

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 アメリカでは,6月中旬からの2か月半に渡る夏休みを思い切り遊んだ後で,9月から新しい学年がスタートする.

 マサチューセッツでは,これから長い冬が終わって暖かくなる翌年の5月まで,恐怖の「風邪とインフルエンザの季節」に突入する.子供は学校で感染してくるし,アイススケート場や映画館,ショッピングモールなど,どこに行ってもウィルスが空気中に漂っている.1度もインフルエンザにかからず冬を終えるのは,なかなか難しいものである.2年前の冬,私はインフルエンザに3度も感染し,3度とも重度の気管支炎を併発した.

基本情報

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訪問看護と介護
4巻10号 (1999年10月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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