訪問看護と介護 24巻11号 (2019年11月)

特集 特定行為研修修了者がいる在宅現場が見たい—「行為の実施」にとどまらない看護の意義に迫る

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医師が常にそばにいるわけではない在宅医療の現場においても、療養者にタイムリーな医療サービスを提供することで安心・安全な療養生活を支えることができると期待された「特定行為に係る看護師の研修制度」。

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こんな経験はありませんか?

馴染みの医師からの口頭指示

 「今年の夏も猛暑らしいから、きっと、高齢のAさんは熱中症になりそうだね。昨年の夏は救急車で運ぶほどになっちゃって、大事だったよね。いつもの補液用薬剤を自宅に預けておくから、具合悪そうだと思ったら、点滴しといてね。熱中症になって救急車で運ぶのは大変だから」

 同じ病棟で働いたことのある旧知の医師や、多くの利用者さんへの医療提供で連携し信頼関係が深まっている医師から、利用者さんの枕元でこんな指示を受けると、「はい、わかりました。点摘したらすぐご報告します」と返してしまう。

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2017年度に特定行為研修を修了した橋口倫宏さん。

特定行為を行なうことができる訪問看護師として、滋賀・京都の県境を中心に活躍しています。

特定行為研修修了者のいる在宅現場は、どう違うのでしょうか。

研修修了者は、どのような思いで訪問看護をしているのでしょうか。

ある日の訪問を取材させていただき、お話を伺いました。

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地域ニーズに応えたい

 訪問看護ステーション愛美園(以下愛美園)では、2016年10月から特定行為修了看護師による特定行為「ろう孔管理関連」「呼吸器関連(長期呼吸療法)」を実践しています。

 訪問地域における医師不足、医師の高齢化による現在及び将来的な地域ニーズ、そして利用者の医療ケアに関するニーズを考えた結果、特定行為は訪問看護師の地域役割の1つであると判断し、まずは木下真里看護師(以下木下)に研修に行ってもらいました。

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特別養護老人ホームでの看護師の役割

 超高齢社会を迎えたわが国にとって、「高齢者が安心して過ごせる住まい」として介護施設が担う役割は重要である。これらの施設で生活する高齢者の多くは何らかの医療的ニーズを有しており、そのうえで、安心で安全な暮らしを求めている。介護施設は病院のように治療を提供する場所ではなく、あくまで生活の場である。今回、特別養護老人ホームで働く特定行為研修修了者として、その人らしい穏やかな生活を送るための日々の支援を紹介したい。

 当施設「くやはら」(82床)は特別養護老人ホーム(特養)で、入所対象となるのは65歳以上、要介護度3以上の人である。実際には表❶のように、高齢で複雑な健康状態の方が多く入居している。特養は医師が常駐しない施設なので、私たち看護師は介護職員らと協力し、主たる疾患や既往歴から治療の必要な状態かを見極めたり、新たな疾病の予防や健康の維持、安楽に生活するための医療とケアを提供することを心がけている。

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 10年前、在宅医療を中心としたクリニックと、自らが理事長を務める特別養護老人ホーム(以下、特養)を開業したばかりの私は、たった1人で在宅や特養の約100人を24時間体制で診ていた。学会へ出かけても、会議へ出かけても携帯電話を持ち歩き、当時、幼稚園生の娘と添い寝しているベッドの枕元にさえ、今にも鳴り出しそうな雰囲気の携帯電話を常に置いていた。

 特養を開設した当初の、真夜中の緊急電話の様子を再現してみる。

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どんな制度?

●医師または歯科医師の判断を待たずに、手順書により看護師が一定の診療の補助行為を行なうために、このような行為を特定行為として位置づけました(図1)。

●2014年に看護師の特定行為に係る研修制度が創設され、特定行為を手順書により行なう看護師は、特定行為研修を受けなければならない、とされました。

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訪問看護ステーションが「哲学カフェ」に関わる意義

 勝眞久美子

「生きる」を「活きる」に導く看護

 ななーる訪問看護ステーション(以下、当ステーション)は2016年4月に大阪府箕面市でスタートしました。2017年には隣接する豊中市にサテライトを、翌2018年には吹田市に2つ目のサテライトをオープンし、少しずつ訪問エリアを拡大しているところです。

 当ステーションがめざすのは「生きる」を「活きる」に導く看護。「時々病院、ほぼ在宅」という現代の医療制度において、病院と地域の看護師が一体となって看護にあたることが必要だという認識をもち、病院看護師に「生きる」ことを支えられた患者さんが在宅に戻ったら、病院で救われた生命を「活かして」、その人が望む暮らしへと導くことが、当ステーションの看護師の役割だと考えています。

連載 生き場所と死に場所をさがしてる。・第11回

恵子さんは最後まで 幡野 広志
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「これから鎮静を受けます、これが私の最後のメッセージになります」

強い日差しが少しやさしくなってきた夕方に、恵子さんからメッセージが届いた。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・122

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 先日、東京都渋谷区で「社会福祉法人パール」を長らく運営している新谷弘子さんから、『認知症なぜ? なぜならば—親のため自分のために介護の現場から』(ドメス出版、2019年4月)というご著書をいただきました。弘子さんのご主人で、特別養護老人ホーム(以下、特養)パール代官山の常勤医師でもある新谷冨士雄先生との共著となっています。

 そのなかで、新谷先生はBMI(Body Mass Index)の数値の「12」が「生と死の狭間」にあたるとし、「毎月見ていると、ゆっくりと数値『12』、つまり『死』の時点に近づいて行く人が見えてくる」と、特養での看取り事例と合わせて論述されています。

連載 訪問看護を伝える 在宅看護実習キーポイント・第7回

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 今回は、在宅看護の実習のなかでも、病院での退院支援カンファレンスに参加した場面を取り上げました。

 在宅看護の実習は、訪問看護ステーションの中だけでなく、入退院支援を担う病院の地域連携室で行なわれる場合もあります。退院支援カンファレンスは、療養者と家族が退院後、どのような場所でどのような生活をしたいと思っているのかを表明する大事な意思決定の場であり、その後の生活においてもその人たちに関わる多職種が揃って話し合う場であり、学生にとっても大切な学びの機会です。

連載 シンソツきらきら・第35回

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 新卒から訪問看護を始めた人たちも、何年か経てば、リーダー業務や管理業務に携わり始めます。今回は、かつての新卒訪問看護師がリーダーに挑戦する様子について、ケアプロの黒堀さんに執筆してもらいました。(小瀬)

連載 ふんばる患者が楽になる まいにちの手帖・第14回

忘れられない患者さん たむらあやこ
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入院中出会った忘れられない同室の患者さんがいる

脳神経内科の何という病気だったのかは知らないが、寝たきりで5年以上長期入院していた

連載 [小説]ナースマン訪問看護編 あと、どれくらい?・第3回

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 夕方のアミカの事務所—。キンモクセイの香りが、全開にした窓から入ってきている。

 草森徹は一人机上に両肘を乗せ、左手の生命線のあたりに刻まれた長さ5cmほどの古傷をながめている。小3のとき、夏休み子どもキャンプの初日に、ぬかるみで転びそうになった徹は、隣にいた楠田准一が手にしていた小刀の刃を掴んでしまったのだ。その切創が化膿したため、存在感のある傷跡となった。

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 もともと地域看護が好きであった身として病院看護管理から在宅看護を追究しようとした時期に、国は「地域包括ケアシステム」の構築に向けて進み出した。そして、筆者は現在、看護小規模多機能型居宅介護事業(看多機)を設立し4年目となる。このタイミングで本書『ケアするまちのデザイン』に出会い、著者である山崎亮氏のまちづくりに対する斬新な取り組みと発想に驚嘆した。

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 第50回日本看護学会—在宅看護—学術集会が、9月13〜14日、渡邉カヨ子会長(栃木県看護協会会長)のもと、「創造と実践力で支える在宅看護—あらゆる世代・あらゆる場所で、あらゆる機会に」をテーマに、宇都宮市文化会館(栃木県宇都宮市)で開催された。

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 第3回日本在宅救急医学会学術集会が、9月7日(土)、吉田雅博会長(国際医療福祉大学教授)のもと、日本医科大学武蔵境校舎講堂(東京都武蔵野市)で開催された。今学会のテーマは「在宅救急診療ガイドライン作成に向けて」だ。

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目次

今月の5冊

Information 学会・研究会情報

おすすめ映画情報

バックナンバー・年間購読のご案内

FAX購読申込書

次号予告・編集後記 小池 , 米沢
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訪問看護ステーションで働く特定行為研修修了者は現在50人弱とのことでした。決して多いとは言えません。ただ、医療依存度が高い方が地域に移行してくると見込まれるなか、特定行為のできる看護師の存在は今後もっと大きなものになるのではないか、と想像しながら読みました。今はまだ働き方のモデルさえもきちんと共有されていない段階なのかもしれません。こんなふうに働いているよっていう方、ぜひ編集室にお声がけください。まだまだ知りたいことばかりです。…小池

特定行為研修修了者がいる現場を見せていただきました(p807)。受講中の髙関さんの原稿(p803)にも「実際にお仕事されている方にお会いすることができ、大きな刺激を受けました」とあったため、できるだけ橋口さんの看護の姿勢や現場感が伝わるように!と滋賀へ向かいました。タイミングが難しく取材が締め切り間近だったこともあり、見聞きしたことを帰りの新幹線でとにかくスマホに向かって文字にしました。橋口さんとステーションの皆さん、そして療養者さんとご家族に感謝申し上げます。…米沢

基本情報

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訪問看護と介護
24巻11号 (2019年11月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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