訪問看護と介護 24巻10号 (2019年10月)

特集 在宅褥瘡ケア、ここを意識するとこう変わる—皮膚・排泄ケア認定看護師に聞いた! 現場で効く知恵と技

  • 文献概要を表示

訪問看護の現場において、褥瘡はよく出会う身近なものです。しかし、褥瘡のケアに関する知識や技術に「自信アリ!」という人は、決して多くないのでは?

褥瘡ケアの難しさの背景には、発生要因の多様さと複雑さがあります。動けなくなった、食べられなくなったといった要因に、療養環境、介護力の質・多寡、金銭的な問題といった「生活」に関する要因が重なり合うことで、治癒への道のりが困難になります。根本的な要因を解消していないために、再発してしまうケースも少なくありません。

  • 文献概要を表示

褥瘡を自分事として考える

 褥瘡とは皮膚に穴が開く疾患であり、その発生時には激しい痛みを伴うものです。

 褥瘡は寝たきりの方に頻発する外傷ですが、なぜか医療者は他人事のように考えている面もあります。しかし人が生き、死んでいくまでの過程で、ほとんどの人が寝たきりになります。つまり、すべての人が褥瘡を抱える可能性があり、褥瘡は決して他人事ではなく、「自分事」として受け止められる必要があります。

  • 文献概要を表示

在宅褥瘡ケアの大前提

 褥瘡は「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と、『褥瘡予防・管理ガイドライン』にて定義されています。

  • 文献概要を表示

 在宅において褥瘡発生は、療養者および家族のQOLに大きく影響を及ぼします。日本褥瘡学会での疫学調査*1によれば、訪問看護ステーションにおける褥瘡発生率は、2013年の2.08%から2016年の0.91%へと激減しています。しかし筆者の訪問看護の経験からは、終末期と診断され、骨突出や浮腫、疼痛や呼吸困難による得手体位などリスク因子を抱えていても、さまざまな事情により、適切な体圧分散寝具が選択されず、褥瘡が発生しているというケースはいまだ多いと感じています。

 また、緩和ケアを必要とする人の3人に2人は非がん疾患です*2。高齢化の進行で、老衰を含む非がん終末期患者は増加すると予想されます。がん末期患者であれば医療保険での訪問看護となり、十分なケアの提供が可能ですが、非がん終末期患者は限度額が決まっている介護保険での訪問看護です。そのため、医療依存度の高くなった末期心不全などの非がん終末期患者には、褥瘡の予防的な関わりなどを含む十分な緩和ケアを提供することが難しい実態もあります。

  • 文献概要を表示

 けやき通り訪問看護ステーションは、東京都清瀬市にある訪問看護ステーションです。清瀬市でも高齢化が進み、老老世帯や独居利用者が増加しています。

 本稿では、筆者らが取り組んだ老老介護家族および独居療養者事例を紹介し、介護力に乏しい状況下での褥瘡ケアについて訪問看護師が押さえるべきポイントを考えます。

  • 文献概要を表示

 私は、1995年より訪問看護に従事し、2007年に皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、WOCN)資格を取得しました。WOCN資格取得をめざすきっかけの1つが、終末期における治らない褥瘡と、再発をくり返す褥瘡への関わりにありました。

  • 文献概要を表示

 当院は、2012年に開業した日帰り外科手術、WOCクリニック、在宅訪問栄養センター、在宅、爪外来の5部門からなるクリニックです。筆者は東日本大震災をきっかけに長年勤務した大学病院を退職し、2014年4月より活動場所を在宅に移行しました。当院ではWOCクリニックを担当し、WOC領域に特化したWOC外来と訪問看護を行なっています。

 2018年度のWOCクリニックの受診者数は、のべ1331名であり、うち、のべ943名(実患者数82名)が褥瘡患者でした。また、実患者数82名の治療場所の内訳では、外来19名、自宅31名、施設32名であり、施設で褥瘡ケアを受ける患者は約39%に及びます。

連載 マグネットステーション インタビュー・54

  • 文献概要を表示

椎名美恵子さんはプロフィールにもあるように、訪問看護ステーション以外にも多くの役割を担っています。もちろん仕事の軸は訪問看護にあり、「いまだかつて新規利用者を獲得するための営業活動をしたことがない」そうです。長い間、誰からも信頼されるのはなぜなのでしょうか。その秘訣を探るため、椎名さんに話を聞きました。

連載 生き場所と死に場所をさがしてる。・第10回

しあわせになりなさい 幡野 広志
  • 文献概要を表示

おごと温泉駅のホームに立つと遠くに琵琶湖が見える。

うだるような気温だけど、高台にあるため風が吹き抜けて気持ちがいい。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・121

  • 文献概要を表示

 腰痛がひどくなった友人に、どうやったら腰に負担なくお布団から起き上がれるかを尋ねられました。ジェスチャーつきで伝授しているときにふと、以前、1人暮らしのKさんのお家の鍵が開かない状況に出くわしたときのことが思い出されました。

連載 訪問看護を伝える 在宅看護実習キーポイント・第6回

  • 文献概要を表示

 排泄ケア、清潔ケア、バイタルサインに続き、今回は「転倒」をテーマに取り上げました。

 在宅療養者がどのような暮らしをしているのか、病院とは違う環境の中で訪問看護師がどのように転倒予防の支援をしているのか、考えることができる場面からの学びです。

連載 シンソツきらきら・第34回

  • 文献概要を表示

 2020年卒業予定の学生には、就職先が決まった方も多い頃かと思います。一方でこの時期、「新卒訪問看護師になりたいけど、まだ就職先が見つからない」といった学生の不安も耳にします。訪問看護ステーションの採用は個別対応になることが多く、病院の採用スケジュールと比較するとどうしても遅くなってしまうため、こうした声が生まれるようです。

 さて、今回は、たくさんの学生や、新卒で訪問看護師になった方、新卒採用をした管理者の声を聞いてきた立場から、新卒訪問看護師の就職・採用をめぐる課題について考えます。

連載 ふんばる患者が楽になる まいにちの手帖・第13回

褥瘡のこと たむらあやこ
  • 文献概要を表示

私は全身の感覚麻痺が強いので、褥瘡が体中にできた

入院中はスタッフさんたちのおかげで大丈夫だったが退院後はうっかりよく作った

連載 [小説]ナースマン訪問看護編 あと、どれくらい?・第2回

困難事例ってなんですか? 小林 光恵
  • 文献概要を表示

 訪問看護ステーション・アミカの訪問エリア内に、肩を寄せ合うように店舗が小さくまとまったオーロラ商店街があり、その裏手に「BARもり子」がある。

 夜、止まり木が5席のみのその店内で、草森徹と三木蓮司が並んでハイボールを飲んでいる。T大学病院の救急外来で出会って以来、このひと月、2人は頻繁に会っている。三木は妻から「付き合いはじめのカップルみたい」と言われた。

レポート こちら現場からお届けします!・第6回

  • 文献概要を表示

 訪問看護ステーションで仕事をして、20年を超えた。それまでも、地域という分野に身を置く作業療法士だったが、上司も同僚も看護師という職場に入ったとき、まったくの異文化社会に来たと思った。たった1人のリハビリテーション職だったわけではない。すでに常勤の作業療法士と理学療法士が奮闘していたが、圧倒的な看護言語が飛び交うなかで、リハ職は違和感を共有する言葉をみつけることができなかった。介護保険もICF(国際生活機能分類)もない1990年代後半の話だ。

 看護計画書にも困った。「安楽に安全に在宅生活を送る」という目標に、「車いすでバスに乗る」という話を重ね合わせる技と論を当時はもっていなかった。それに看護師の肝の座り方、看護チームの伝達力の前には、リハ職の言葉は陳腐に響く気がした。皮膚の破れに目を凝らし、ウンコとか平気で言う人たち。命の前線にいる人たちは、その仕事自体が有無を言わせないようなところがある。

このARTが気になる!

  • 文献概要を表示

 「人生をしまう時間」と聞いて、思い浮かべるのはどのようなシーンでしょうか。

 私は現在、集中治療室で勤務をしています。その前は救命救急センターで、外科病棟での経験もあります。

--------------------

目次

Information 学会・研究会情報

今月の5冊

バックナンバー・年間購読のご案内

FAX購読申込書

次号予告・編集後記 米沢 , 小池
  • 文献概要を表示

今月号の特集で思わずうなって(実際には会社の席で「これすごい!」と騒いで)しまったのが、療養者さんが体重計に“乗る様子”から褥瘡のリスクを予測するアセスメントスキルです(p736)。栄養不足が体重に影響する前段階から動作のちょっとした変化を見ているなんて、訪問看護師はどんな名探偵なんだ!と。一緒にしてほしくないかもしれませんが、5歳男児の尿意については名探偵として自信アリの母です(涙)。しかし、そろそろ自ら行ってほしい。…米沢

驚きました。褥瘡に関する知識ってとても整理されているのですね。評価スケールの細やかさに、専門家たちが地道に知見を積み重ねてきた歩みが垣間見えます。もっと驚きだったのは、創を見ながら、創をもつ人の暮らしぶりまでイメージしていく実践者たちです。ポケットの方向から、この人はどんなふうに身体を動かしているのかを考える。褥瘡が悪化するタイミングから、1週間のうちのどのイベントがトリガーとなっているのかを見極める。想像力にしびれっぱなしの号でした。…小池

基本情報

13417045.24.10.jpg
訪問看護と介護
24巻10号 (2019年10月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月14日~9月20日
)