連載 [小説]ナースマン訪問看護編 あと、どれくらい?・第3回
口から食べる支援—徹、姉の一言を思い出す
小林 光恵
pp.866-869
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201317
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夕方のアミカの事務所—。キンモクセイの香りが、全開にした窓から入ってきている。
草森徹は一人机上に両肘を乗せ、左手の生命線のあたりに刻まれた長さ5cmほどの古傷をながめている。小3のとき、夏休み子どもキャンプの初日に、ぬかるみで転びそうになった徹は、隣にいた楠田准一が手にしていた小刀の刃を掴んでしまったのだ。その切創が化膿したため、存在感のある傷跡となった。
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