訪問看護と介護 24巻12号 (2019年12月)

特集 どうすりゃいいんだ、横綱級困難ケース—何が、誰が「困難」にしていたのか

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医学書院から発行された書籍『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本——“横綱級”困難ケースにしないための技と型』(小瀬古伸幸著)が反響を呼んでいます。

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支援者は何を「横綱級困難ケース」として捉えているか

 「横綱級困難ケース」。このように聞くと、支援者の多くはどうにもこうにも打つ手がない困難な事例をイメージするのではないでしょうか。しかし、「その具体像は?」というと、働くフィールドや立場、役割、経験などにより異なってくると考えます。そこで、まずは「そもそも、横綱級困難ケースとはどのようなケースか」について考えていきましょう。

 これまで私が支援者から「困難ケースだ」という旨の相談を受けた数々のケースをふり返ると、いくつか共通点が見えます(図1)。「家族背景が複雑」「複数の精神疾患が合併(アルコール依存症など)」「虐待が存在する、もしくはその可能性がある」「家族も精神疾患を患っている」「クレームを含む攻撃性が高い」といった、利用者側の背景が共通して存在しているのです。

私が出会った横綱級困難ケース

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「横綱級困難ケース」という投げかけで想起された事例やエピソードをご紹介いただきました。小瀬古伸幸さんの「ここがスゴイ」「私ならこうする」という視点からのコメントも!

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 株式会社Hopemillionを2013年に設立し、2014年に希望や訪問看護ステーションとして、地域で生活する精神に病をお持ちになっている方の役に立ちたいという思いから開所しました。大阪府の地図を足の形と見立てたとき、踵の部分にあたる富田林市を中心に南河内地域を訪問圏域として活動しています。2015年からは泉州地域である泉南市にサテライトも開所しました。

 本稿で紹介するのは、開所して半年経過した頃に出会った事例です。新規で依頼をいただき、看護師として、作業療法士として、そして地域で働く医療職として、地域で生活する利用者をどこまで支援すればよいのかと、さまざまな葛藤をした道のりを紹介します。

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 本稿で紹介するケースは、50代男性で統合失調症のA氏の訪問看護についてです。A氏は、アルコール依存症の妻B氏と二人暮らしをしています。退院後、主治医の勧めにて訪問看護導入。1年間、M訪問看護ステーションにより訪問看護が行なわれていましたが、訪問エリア変更に伴って当ステーションへの変更依頼があり、7月より当ステーションが訪問看護を行なうことになりました。事業所変更に際し、M訪問看護ステーションの職員と、当ステーションからは私吉永と男性スタッフCが同行訪問しました。その際、A氏、妻B氏ともに拒否はなく、スムーズにA氏の訪問看護を引き継ぐことが決まりました。

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 これは私が訪問看護師になって半年が経った頃に出会ったケースです。私が当時所属していた訪問看護ステーションの所長より相談がありました。

「今、新規として相談を受けているケースなんだけど、訪問看護やいろんなヘルパーさんを自ら断ったり、逆に事業所から断られたりしている人なの。うちには市役所から相談がきたんだけど、受けてみようと思う。私と一緒に市の担当課まで一緒に行ってくれない?」

❹家庭内暴力がある 原子 英樹
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 私がこのケースと出会ったのは2013年8月の終わりです。息子が両親に暴力を振るう事例と聞いていました。

 私が契約のために初回訪問すると、迎えてくれた母親は、私をいきなり父親の待つ部屋に案内しました。居間に訪問看護の対象となる息子さんがいるのにも関わらず、です。結果的に、息子さんの前に案内されることなく、まずは両親と話す形となりました。

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 「今まで別の訪問看護ステーションの看護師が訪問していたけど、息子さんが怒って訪問看護を切ってしまったの。でも訪問看護は必要なケースなので、あらためて訪問看護を開始してもらいたい。看護師さんはまったく悪くないのよ。なかなか難しい家なの」

 ある日、ケアマネジャーからそうした依頼を受けました。利用者さんは90歳の女性(以下Aさん)で認知症です。「難しい家」とされた要因は、同居する息子さん(以下Bさん)にありました。

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病棟緩和ケアと訪問診療の類似点——“多職種で”“患者・家族ファースト”文化

 筆者は、総合病院の緩和ケア部門(とくに緩和ケア病棟)で、終末期のがん患者さんを中心に診ている医師です。緩和ケア病棟と訪問診療は、共通している部分が多いのではないか、と考えています。

 1つは、多職種で看る文化です。病院では医師がリーダーになることが多いですが、緩和ケアでは看護師がリーダーになることもあり、職種間は水平関係です。専門性とともに、患者さん・ご家族へのスタッフ個々の想いがケアに生かされることも大切にしています。

連載 訪問看護の夢を叶えるICT・第1回【新連載】

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誰もが課題解決に使うことができるICT

 ICTとは、「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」と訳されます。IT(Information Technology)はコンピューターやデータ通信による技術のことを指しますが、ITに「Communication」をプラスしたICTは、「人」が介在し、その技術を使って情報や知識を共有したり、伝達したりすることに重きを置いた言葉です。つまりICTは、「IT技術をどのように活用するか」に着眼点を置いています。

 ICTはすでにさまざまな分野で活用されています。身近な例では、スマートフォン、タブレット端末といったデバイス機器、電車やバスに乗るときに使うICカード、銀行のATM、ネットショッピングやレストランの予約サイトなどがあります。また、小学校に導入されている電子黒板もICTを活用した機器であり、平成の30年間はまさにICTサービスが大きな発展と普及を遂げた時代であったといえます。

連載 生き場所と死に場所をさがしてる。・第12回【最終回】

生き方を奪われない 幡野 広志
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これまでに医療に関わる人にたくさん会ってきた。

患者さんやその家族、幅広い職種の医療従事者など、さまざまな立場の人に話を伺ってきた。それぞれ立場や置かれている環境は違うので、みんな意見はバラバラなのだけど1つの共通点がある。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・123

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 入院している30代後半の乳がんの皮膚転移・自壊状態のAさんのことで、訪問看護ステーションに電話が入りました。もともと入院前の少しの間だけ訪問看護に入っていて、主治医が病院所属の医師だったこともあって入院となった方です。電話口に立ったのはAさんの夫でした。

 「訪問看護では傷への手当てもさまざまな工夫が身体に優しく、自分で換える際には易しいものだった。そのときとは傷の痛みが違うと妻が言っている。病院でもその方法で手当てしてもらえないだろうか」

連載 訪問看護を伝える 在宅看護実習キーポイント・第8回

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 今回は、療養者と家族の療養生活を支えるうえで、「療養者と家族の大切なもの」をテーマに取り上げました。まずは、左の学生の実習記録を読んでください。

 学生が感じた「病院と在宅のイメージの差」や、「ルールに従う必要がある」という単純な発想を転換させ、訪問看護の学びに変えるポイントを読み解いていきましょう!

連載 シンソツきらきら・第36回

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 自ら新卒訪問看護師として働くうえで、または新卒訪問看護師を育てるうえで不安になることの1つに、「イレギュラー(急変を含む変則的な事態)の発生とその対応」があるかと思います。新卒に限らずトラブルには遭遇するものですが、本人にイレギュラーな事態の対応経験が少ないうちは、とくに訪問前の準備やフォローアップ体制が必要です。今回は、そのようなイレギュラーの発生に対する準備や対応に関するポイントをまとめます。

連載 ふんばる患者が楽になる まいにちの手帖・第15回【最終回】

訪問看護への思い たむらあやこ
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病気になる前准看護師として働いていたころ患者さん一人ひとりとじっくり関わりたくて

准看護師ではなく正看護師の資格を取っていつか訪問看護の仕事に就きたいと思っていた

連載 [小説]ナースマン訪問看護編 あと、どれくらい?・第4回

徹、所長を解任される 小林 光恵
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 金曜日の遅い午後、草森徹はアミカの事務所の自身の席でスマホを操作し、出先の岡崎とメッセージのやりとりをしている。

〈あと、どれくらい?〉

HOUMONホットライン

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 「暮らしの保健室九州フォーラム」が、7月27日(土)に、福岡県北九州市にて開催された。主催は、同市内にある「暮らしの保健室in若松 こみねこハウス」(杉本みぎわ代表)。基調講演では、「暮らしの保健室」創設者であるケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長・秋山正子さんが、開設から現在に至るまでの活動を報告した。

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目次

今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバー・年間購読のご案内

FAX購読申込書

次号予告・編集後記 小池 , 米沢 , 伊藤
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横綱級困難ケース。「おぉ……」と息を漏らしながら読みました。困難性を支援対象に押し付けるのではなく、自らの対応や関係性に意識を向け直すと見え方が変わってくることがよくわかりました(私生活にも活かせそう)。▶看護師と利用者の1対1の関係性で見てしまいがちですが、どんな同僚がいて、どういう雰囲気の職場で、組織はどういった理念に貫かれているのかといった、支援する看護師を取り巻く環境的な要素が、その関係性に与える影響は小さくないだろうと感じます。そう考えると、小瀬古さんの組織はきっと素晴らしいところなのだろうと想像します。…小池

約10年前、雑誌『精神看護』を担当しており小瀬古さんにはお世話になっていました。その頃から、本をよく読まれ、それを正しく捉えたうえで療養者に対する自分の実践を真摯に重ね、振り返る——論理性と感性を兼ね備えた丁寧な方だなと思っていました(メダルを取ったら急に「遠い親戚です」みたいな感じですいません)。困難と混乱を切り分け、看護の道筋をつける技と型は「丁寧さ」からこそ編み出されて来られたのだろうと。あらためてこの度の出版をお祝い申し上げます!…米沢

本号で、幡野広志さんのフォトエッセイと、たむらあやこさんの漫画が最終回を迎えました。素敵なページをありがとうございました! …伊藤。

基本情報

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訪問看護と介護
24巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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