徹底分析シリーズ 麻酔科からの「お・も・て・な・し」—ラグビーワールドカップ,そしてTOKYO2020
巻頭言
末盛 泰彦
1
1福岡リハビリテーション病院 麻酔科
pp.645
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201416
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本年9月のラグビーワールドカップ,そして2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(TOKYO2020)を前に,興奮と期待も高まってきた。こうした大規模スポーツイベントが文化や人種を超えた貴重な交流の機会となり,それらが国益につながることはいうまでもない。その一方で,安全の確保など,多くの課題も指摘されている。
TOKYO2020に向けて医療界では,日本麻酔科学会など24団体(2019年4月時点)が加盟する「救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)」が結成され,まさに既存の枠組みを超えた体制構築が進められている。なかでも喫緊の課題がテロ対策だ。近年は大規模イベントがテロの標的となり,銃器や爆発物による多数傷病者が発生する傾向にある。同時に,酷暑が予想され,選手や観客,そして主催者側にも熱中症の多数発生が懸念される。
今回の徹底分析では,過去のスポーツイベントやテロの事案における医療救護のあり方,特に外傷や薬物,そして熱中症(労作性熱射病)に対する初期治療や,情報通信と指揮系統について,総合的な対応のあり方を考えてみた。多くの事案で,手術室を核として縦横に連携のとれた急性期治療が「対応の軸」となっていることは注目に値する。
最新の知識と情報を共有し,実効性のある体制を整えることこそ,世界の客人たちに向けた私たち医療者からの「おもてなし」となるだろう。
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