徹底分析シリーズ 麻酔科からの「お・も・て・な・し」—ラグビーワールドカップ,そしてTOKYO2020
労作性熱射病—深部体温測定と急速冷却が命を救う
谷口 淳一郎
1
,
細川 由梨
2
Junichiro TANIGUCHI
1
,
Yuri HOSOKAWA
2
1米盛病院 麻酔科
2早稲田大学 スポーツ科学学術院
pp.680-682
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201424
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トライアスロンをはじめ,夏季は多くのスポーツイベントが日本各地で行われ,参加者や主催する団体,そして開催する地域にとって非常に盛り上がる機会となる。しかし,1名でも重度の労作性熱中症または労作性熱射病(日本救急医学会の熱中症分類Ⅲ度に相当)が発生し,ファーストエイド,救急搬送が遅れ,アスリートが死亡に至ると,本人やその家族をはじめ,多くの関係者にとって不幸なことになる。労作性熱射病による死亡は,適切な準備を行えば100%防ぐことが可能であり,アスリートのみならず,主催者,医療関係者は,すべての労作性熱射病を救命することを目指して最大限の努力をすることが求められる1)。
本稿では,架空の労作性熱射病死亡例を提示し,現場でのファーストエイド,救急搬送体制,そして集中治療のあり方について検討したい。
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