LiSA 25巻11号 (2018年11月)

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今回は,麻酔とICUの立場からARDS,周術期肺傷害,そしてフレイルについての臨床研究を精力的に行っているローランド・フランシス先生に来ていただきました。フランシス先生はドイツの首都ベルリンで最大の医学部をもつシャリテ医科大学麻酔・集中治療科の教授で,わずか40歳でVice Chairに抜擢されたドイツの麻酔界きっての若きリーダーです。

 高齢化社会を迎えた日本で,患者が手術という人生の一大イベントを乗り越え,元気に退院することを目標とするならば,周術期を患者と共に渡る案内役の麻酔科医に求められているものは何でしょうか。

 今回は築地の料理店に場を移し,夜更けまで深く話を掘り下げていきます。

症例カンファレンス

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CSEA後神経障害の既往のある妊婦

次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPlanをお楽しみに!

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はじめに

筆者らは,これまで人工赤血球〔ヘモグロビンベシクル(Hb-V)〕の研究開発を進めてきた1,2)。厚生労働科学研究(創薬基盤推進研究事業)や,日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究治験推進研究事業(2015〜2017年)などとして推進され,研究班では,動物モデルを用いた酸素運搬機能の有効性,安全性について多角的に検討してきた3)。その結果から,赤血球輸血の代替物として臨床応用の段階にきていると考えている。本稿では,これまでに明らかになっている人工赤血球の有効性のほか,赤血球輸血では対処できない疾患の治療への応用の可能性について概説する。

徹底分析シリーズ こんな時どうする? 腹部コンパートメント症候群の周術期管理

巻頭言 森下 幸治
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重症外傷,腹部大動脈瘤破裂,急性膵炎など,重症病態の患者の治療中,短時間のうちに腹部が膨満・緊満し,それに伴い血圧・尿量低下,呼吸状態の悪化,アシドーシスの進行が起こり,治療に苦渋する。集中治療にかかわる医師であれば誰しも覚えがあるだろう。原因精査のために腹部CTを撮影しようとCT室に移動中,心肺停止したりバイタルサインが悪化したりすることもある。腹部膨満・緊満を何科に相談したらよいかと悩み,もはや手の打ちようがない,と判断してしまうことさえあるかもしれない。「すみやかにどう対応すればいいの?」「防ぎ得る死を防ぐための実践的なマニュアルはありますか?」との現場の声をもとに,腹部コンパートメント症候群(ACS)を今回の徹底分析のテーマとした。

 本徹底分析は,World Society of the Abdominal Compartment Syndrome(WSACS)のガイドラインを参考にしつつ,この領域において臨床現場の第一線で活躍している執筆陣による,最新のエビデンスにもとづいた実践的な内容となっている。わかっているようでわかりづらい,ACSの病態生理,病因,圧測定方法,治療などを,単なる知識の羅列にならないように構成・解説した。実践的な対応については,ケーススタディーを通して理解していただけるだろう。腹部大動脈瘤破裂を取り上げているのは,近年,ステント留置術が多く行われており,ステント留置後のACSへの進展にはすみやかな対応が必要だからである。また,「開けるが勝ち」のコンセプトのみならず,急性膵炎などでは適切な初期診療や集中治療により,開けない(開腹しない)マネージメントも重要となるため,「開けたら負け」のコンセプトも取り上げた。

 本徹底分析でACSに対する理解を深めていただき,防ぎ得る死を回避できたら,このうえない喜びである。

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腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)は内因性,外因性疾患により引き起こされる致死率の高い症候群であり,集中治療の現場では緊急の対応が迫られことが多いため,普段からの知識の整理や緊急時の対応について理解しておく必要がある。

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20年も前の話である。腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)は日本ではあまり認知されておらず,急性膵炎でACSとなった患者の腹部を減圧するための手術を申し込むと,こんな会話が常だった。

 医師A:膵炎の手術って,何するんですか?

 筆 者:開腹するのです。

 医師A:開腹して,何するんですか?

 筆 者:開腹するだけです。腹腔内の操作は何もしません。

 医師A:……??

 急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)にはまったくかなわないものの,現在,腹部コンパートメント症候群は医療界でも市民権(?)を得て,用語としてはどこでも通じるようになった。本稿ではACSの基本的な病態を再確認し,麻酔科医・集中治療医・外科医らが共通認識をもつための一助になればと思う。

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基本となる膀胱内圧測定

準備するもの

頻度は高くないものの集中治療室で膀胱内圧を測定しなくてはならないケースがある。準備する物品に不足がないよう,この機会に確認しておきたい。

●動脈圧ライン一式

●クランプ鉗子

●ガーゼ(滅菌でなくても大丈夫)

●25mL注入可能なロック付きシリンジ

●マーキング用マジック

●紙テープ

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周術期や救急,集中治療に従事する医師にとって,「腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome (ACS)」という病態は耳慣れたものになったと思われる。高リスク予定手術や緊急手術に際して,起こり得るACSを回避するために,術中から麻酔科医にできることはある。

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治療の遅れが致命的となる,集中治療室で起こり得る最も恐ろしい外科的緊急の一つが腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)です。いったんACSが完成してしまうと,開腹減圧術以外に有効な治療法はありません。

 本稿では,腹腔内圧亢進intra-abdominal hypertension(IAH)からACSへ発展することを回避するための非観血的治療についてまとめます。さらに,集中治療医が非観血的治療の限界を見極めて外科医を呼ぶべきタイミングに関しても言及します。

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非観血的治療法に抵抗性の腹腔内圧亢進intra-abdominal hypertension(IAH)や腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)に対しては,観血的な治療法である開腹減圧術が選択される。本稿では,麻酔科医や集中治療医にとって最も重要かつ実践的な知識であると思われる,①観血的治療法の適応,②観血的治療法後のopen abdomen管理,さらには,③最終的な腹壁閉鎖までのステップ,について図表を交えながら紹介する。

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重症外傷患者における腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)は突然やって来る。その発症は来院後24時間以内,場合によっては数時間以内と超早期であることが多い。重症外傷患者には,ダメージコントロール手術,大量輸液・輸血など,ACSのリスクとなる要素が多くあり,周術期およびICUでの管理でアンテナを張り巡らせる必要がある。

 本稿では実際の重症外傷患者で発症したACSのケースを解説する。

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かつて,重症急性膵炎は重症腹部外傷,腹部大動脈瘤破裂と並んで,腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)の原因として代表的な病態であった(表1)。しかし,筆者の施設で直近8年間に急性膵炎からACSを併発し,開腹減圧術を必要とした患者は存在しない。また,以前は急性期に開腹下に外科的ドレナージやnecrosectomyを施行した患者も散見されたが,感染性膵壊死に対しても保存的治療が第一選択となった現在では,重症急性膵炎の急性期に「外科手術」を行うことはほとんどなくなった。

 かと言って,急性膵炎の重症度が下がっているわけではなく,一定頻度で患者は搬入されている。何かが変わったのだろうか。

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破裂性腹部大動脈瘤ruptured abdominal aortic aneurysm(RAAA)に対する緊急ステントグラフト内挿術では,腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)の発症がその予後に大きな影響を及ぼします。ACSを認知し,早期に診断し介入をすることで予後改善が期待できます。換気が悪くなってきた,状況の割には血圧が出ない,などのときは,ACSの可能性を認識し,救急医,外科医,麻酔科医,看護師で認識を共有することが必要です。外科医としては緊急事態に動じずに,常に多くのコメントに耳を傾け,手術室全体の雰囲気を良くして,良好なコミュニケーションを取れる環境を心がけたいところです。術後管理においても開腹減圧術の適応や閉腹のタイミングなど,救命の達成のために緊密な連携が必要です。

連載 ふぁ〜まこKD 第11話

TIVAにまつわるトラブル 小原 伸樹
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これまでのあらすじ:

ちょっと(かなり)おっちょこちょいの若手麻酔科医の「大先生」が麻酔を担当したケンタ君の手術から時は経ち,ケンタママの店でバイトしていた医学生Aは,麻酔科専攻医になりました。大先生は成長しているでしょうか。今日はホテルの会議場に地域の麻酔科医が集結して,MM会です。

連載

THE Editorials
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Anesthesiology

Editorial:

Devinney MJ, Mathew JP, Berger M. Postoperative delirium and postoperative cognitive dysfunction:two sides of the same coin? Anesthesiology 2018;129:389-91.

Articles:

・Brown CH 4th, Probert J, Healy R, et al. Cognitive decline after delirium in patients undergoing cardiac surgery. Anesthesiology 2018;129:406-16.

・MacKenzie KK, Britt-Spells AM, Sands LP, et al. Processed electroencephalogram monitoring and postoperative delirium:a systematic review and meta-analysis. Anesthesiology 2018;129:417-27.

■術後せん妄と術後認知機能障害の類似点と相違点は?

術後せん妄と術後認知機能障害(POCD)には多くの類似点があり,同じ病態の中に含まれるという考え方がある一方で,病態としては異なったものであるという考え方もある。両者の差異としては以下のようなものがある。術後せん妄とPOCDは評価法も異なること,術後せん妄では注意力低下,意識状態の変化,まとまりのない思考などが特徴であるのに対して,POCDでは,記憶や高次脳機能といった障害があるが,注意力低下は伴わない。一方で,術前の認知機能や教育レベルの低さ,うつ病といった共通の危険因子があること,術後せん妄もPOCDも術後3〜5年が経過してからの認知機能悪化を伴うことや,1年後死亡率が上昇するなどといった共通点がある。両者とも,神経炎症とAlzheimer病の病理など共通した病態生理をもつことも想定されているが,メカニズムは不明である。術後せん妄が単にPOCDのマーカーの一つである可能性もある。

連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第31回【最終回】

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矢:前回は「黄」の字がついた,消化器症状を起こしやすい三つの生薬についてお話しました。

福:地黄,麻黄,大黄ですね。

荒:わりと日常でも遭遇する頻度の高い副作用を勉強しました。

矢:今回は,それらに比べたらまれではあるものの,見逃してしまうと重篤になる副作用についてです。

荒:「地雷」みたいなものですね。

矢:うまいこと言いますね。その通りです。地雷となり得る生薬は二つあります。

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Enjoy! ワイン

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こんにちは!ワイン安部です。

いよいよ11月23日に浜松で開催される「第122回日本産科麻酔学会学術集会」にて,ワイン販売を行います。当日は,限定品を含む選りすぐりのワインをお持ちします。試飲後に購入できますので,ご来場の際は「Enjoy!ワインショップ」を探してみてください。試飲開始は午後からの予定です。

※当日は受注のみ承ります。ワインのお届けは後日となります。

Tomochen風独記

㊼ ハロウィン 山本 知裕
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■ハロウィンの始まり

最近は日本でもお馴染みとなっているハロウィンです。米国からやってきたイベントと思っている人もいるかもしれませんが,もともとのハロウィンの起源は古代ケルト人の風習とされています。古代ケルト人とは,中央アジアの草原地帯を起源とする民族で,馬と馬車型戦車を武器にヨーロッパ地方へ渡ってきた人たちのようです。

 古代ケルト人を起源とする風習が,どういうわけかアイルランドのカトリック教徒によって継承され,発展し,アメリカ大陸へ渡ったアイルランド系移民が,故郷をしのび行った秋の祭りが,現在のハロウィンとなったようです。いわば“逆輸入”されたハロウィンですが,現在はドイツでも「米国の祭り」というイメージが定着しています。そして,職場の同僚や自宅の隣人の中には,あまり好ましくないアメリカナイズの象徴,ととらえている人たちもいました。それもそのはず,10月31日の夕方から夜21時くらいにかけて,幾度となくピンポーンとやって来るのですから。

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基本情報

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LiSA
25巻11号 (2018年11月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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