徹底分析シリーズ こんな時どうする? 腹部コンパートメント症候群の周術期管理
ACSの病態生理・定義—どんなときに,なぜ起こるのか
窪田 忠夫
1
Tadao KUBOTA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 外科
pp.1158-1161
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201245
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20年も前の話である。腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)は日本ではあまり認知されておらず,急性膵炎でACSとなった患者の腹部を減圧するための手術を申し込むと,こんな会話が常だった。
医師A:膵炎の手術って,何するんですか?
筆 者:開腹するのです。
医師A:開腹して,何するんですか?
筆 者:開腹するだけです。腹腔内の操作は何もしません。
医師A:……??
急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)にはまったくかなわないものの,現在,腹部コンパートメント症候群は医療界でも市民権(?)を得て,用語としてはどこでも通じるようになった。本稿ではACSの基本的な病態を再確認し,麻酔科医・集中治療医・外科医らが共通認識をもつための一助になればと思う。
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