徹底分析シリーズ こんな時どうする? 腹部コンパートメント症候群の周術期管理
ケーススタディー:急性膵炎—重症急性膵炎は「開けたら負け」
益子 一樹
1
Kazuki MASHIKO
1
1日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター/ショック・外傷センター
pp.1188-1191
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201251
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かつて,重症急性膵炎は重症腹部外傷,腹部大動脈瘤破裂と並んで,腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)の原因として代表的な病態であった(表1)。しかし,筆者の施設で直近8年間に急性膵炎からACSを併発し,開腹減圧術を必要とした患者は存在しない。また,以前は急性期に開腹下に外科的ドレナージやnecrosectomyを施行した患者も散見されたが,感染性膵壊死に対しても保存的治療が第一選択となった現在では,重症急性膵炎の急性期に「外科手術」を行うことはほとんどなくなった。
かと言って,急性膵炎の重症度が下がっているわけではなく,一定頻度で患者は搬入されている。何かが変わったのだろうか。
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