看護管理 27巻2号 (2017年2月)

特集 病院と訪問看護 「退院直後」を連携で支える

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地域包括ケアシステムの推進により,「時々入院ほぼ在宅」が現実のものとして視野に入りつつある。治療を目的とした病院看護と,在宅生活の支援を目的とした訪問看護との間をつなぐのも,看護の力である。実際に,同行訪問や退院後訪問などさまざまな形で訪問看護と協働している病院が増えている一方で,「訪問看護との連携が進まない」「退院直後の再入院が減らない」と悩む看護管理者の声も聞く。

本特集では,特に医療依存度の高い患者の在宅移行期支援に焦点を当て,訪問看護との連携の重要性や活用できる制度を解説するとともに,地域あるいは併設の訪問看護ステーションと病院との連携で在宅移行を実現させている取り組みを紹介する。

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地域包括ケアシステムの推進のためには,病院と在宅の双方の支援者が,患者の在宅生活を支える上で必要なそれぞれの役割を発揮していくことが必要である。ここでは病院と訪問看護との連携による在宅移行支援の観点から,特に病院の看護に期待される役割について,退院支援加算や退院後訪問指導料など,2016年度診療報酬改定で新設された評価を踏まえて解説する。

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佐久総合病院の地域ケア科において,訪問看護を活用した在宅移行支援を推進している医師の立場から,医療依存度の高い患者の在宅移行期における「訪問看護」利用の意義や効果について述べる。また,その際に活用したい各種の制度(特別訪問看護指示書,退院後訪問指導料,定期巡回訪問介護など)や医師への依頼の仕方など,在宅移行をスムーズに進める手順やコツも紹介する。

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大和高田市立病院では,地域医療連携センターの設置や,訪問看護ステーションとの連携などにより,医療依存度の高い患者の在宅移行を実現させている。本稿では特に,病棟看護師の退院後訪問と,認定看護師による同行訪問を中心に,看護師に必要な視点や成果を事例を含めて紹介する。

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大阪府済生会吹田病院では,院内のリソースナースや多職種が,関連訪問看護ステーションの訪問看護師と連携して,医療依存度や重症度の高い患者の在宅移行を実現させている。双方の人材育成にもつながるその取り組みを,皮膚・排泄ケア認定看護師の立場から,多発・重症褥瘡患者の在宅移行支援の事例とともに紹介する。

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医療依存度の高い新規患者が多い長野赤十字訪問看護ステーションでは,退院直後の再入院を防ぐため,再入院した利用者の状況を調査した。その結果から得られた在宅移行期の看護マネジメントのあり方や,病院看護師との連携のポイントを,事例とともに紹介する。

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地域包括ケアシステムの整備が進む中,病院においては在宅移行支援能力の強化が急務となっている。そのための人材育成策などとして,病院の看護師が訪問看護に従事しながら知識・技術を学ぶ訪問看護出向システムの検討がなされてきた。本稿では,約3か月間の出向を受け入れた訪問看護ステーションの所長の立場から,システムの概要と人材育成面・経営面を両立した成果について報告していただく。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために ・2

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大学院および研究室の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

「看護管理学」17年の歴史

 青森県立保健大学(以下,本学)は,「幅広い領域で人々の健康及び福祉の向上に貢献できる優れた人材を育てること」を設置の目的として,1学部3学科の保健医療福祉に特化したユニークな大学として1999年に開学しました。2003年に大学院健康科学研究科修士課程(後に博士前期課程),2005年に博士後期課程を開設し,現在に至っています。

 本学は開学当初から看護学科に看護管理領域を設け,学部,大学院ともに当研究室が「看護管理学」の科目を担当して,人材の育成に努めてきました。看護管理学領域では,本学大学院開設以来の13年間で博士前期課程修了者27名,博士後期課程修了者9名に学位が授与されています。

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臨床現場では多職種が連携した医療の提供が求められ,看護基礎教育においてもそれを意識した教育が進みつつある。しかし病院の現任教育においては必要性が認識されつつも,そのための研修が充実していない現状がある。諏訪中央病院では多職種連携教育を推進するため,2010年に人材育成センターを整備し,ワークショップ形式を基本とした研修プログラムを開始した。そのプロセスと研修の実際・成果を紹介するとともに,評価に用いた「医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー日本版」についてコラムで紹介する。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・7

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アプリシエイティブ・インクワイアリー

 “appreciate”という英語は,「感謝する」などの意だが,それだけにとどまらない深い含蓄がある。前号で,カリフォルニアの大学院に留学して組織変革について学んでいた頃,「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry:AI)」という問いかけの手法について学んだ話を紹介した。

 組織がうまくいっていないときに,「問題は何か?」と「問題」に焦点を当てて問うていく問題解決型のアプローチではなく,「最高の瞬間」や「満ち足りたとき」について問い,そこへの道筋を探求していくポジティブな問いかけの方法だ。それも都合のよいものだけを見ようとする単なるポジティブ・アプローチではなく,私の理解では,人間の身体や心が生き生きと躍動する瞬間,いのちの力(life force)が発動する瞬間に焦点を当て,1人ひとりの内側からの「活性化」を引き出すアプローチだった。その後,国際協力の現場などにも広がったが,医療などさまざまな組織に応用できるアプローチだと思う。

連載 病棟運営上の意思決定に活かす! ケースで学ぶロジカルシンキング・4

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 「相手の立場に立って考える」。よく言われることですが,実際にはなかなか難しいものです。これは,「相手の果たす『役割』を自分が果たすとしたらどうするか」という視点で考えることです。そこには「自分だったら…」という自分の背景からの視点ではなく,「自分が同じ思考になるとしたら…」という視点も必要になってきます。

連載 Happy Nurses=Happy Patients 看護力の高い組織を育む・7

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 医療現場において,チーム医療の重要性が言われるようになってからかなりの時間が経過しました。しかしながら,チーム医療に対するイメージや概念を現場の医療者に聞いてみると,その内容には個々人によってかなり幅があるように感じます。また,臨床現場におけるチーム医療の実践は必ずしも簡単なことではなく,それは日本においても,米国においても同じだと実感します。

 今回は,「多職種協働によるチームアプローチで患者や家族を中心したケアを」というテーマを,緩和ケアチームの実践例を通じて皆さんと共に考えていきたいと思います。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・128

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 おじいちゃんやおばあちゃんが絵本に登場することは多い。人が生きるうえで大切なことはすべて絵本に描かれていると,よく言われるが,そうした心の持ち方や生き方を語るうえで,人生経験の豊かなお年寄りはふさわしい存在なのだろう。元気な中年の人物が人生訓などを語ると,お説教じみたり道徳の訓話じみたりして,子どもが楽しく読むという雰囲気になりにくい。やはりお年寄りの優しい語り口やおだやかな動きには,読んでいて安心感がある。

 とりわけ最近のように,核家族化が進んで,親も子も祖父母と毎日一緒に暮らすことのない家族が圧倒的に多くなると,かつては地域や家族の日常生活の中で伝えられ覚えこまされた料理の作り方や衣類の縫い方などの暮らしの知恵が途切れてしまいがちだ。そういう暮らしの文化の伝承とか元気に生きる心得といったものを子どもたちに伝えるには,絵本が恰好のメディアになっていると言えよう。実際,その手の絵本の出版が,最近は多くなっている。3作を紹介しよう。

BOOK GUIDE

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腕一本で地域を渡り歩く“流しの公務員”が医療者と共に病院を再生

 愛知県の常滑市民病院は6年前,窮地に陥っていた。赤字をたれ流し,それを補てんする市財政も厳しい。築50年で,あまり働かない医師や看護師がいる。病床稼働率など基本的なデータもスタッフの間で共有されていない。市民は「死人病院」と陰口をたたく。県医療界はさじを投げ,医師派遣もままならない。その劇的な再生の話が本書の中心だ。

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地域における医療・介護システムを考察する絶好の書

2025年問題—社会問題の大変革期

 わが国は年齢階層別人口で突出した数を占める第1次ベビーブーム世代が,75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に直面している。現在でも,2025年以降起きるであろうさまざまな社会問題の先駆けとして,医療・介護サービスの提供力の弱い地方や,貧困が拡大している地域などで,医療崩壊や個人・家庭の孤立という問題が現れている。

 著者である高山義浩氏は,厚生労働省から二度にわたって招聘を受け勤務した経験を持つ,沖縄県立中部病院に勤務する医師である。医学書院の月刊誌『病院』における連載「地域医療構想と〈くらし〉のゆくえ」や,朝日新聞デジタル「アピタル」での連載記事,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通じて独自の情報発信をされてきた。

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基本情報

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看護管理
27巻2号 (2017年2月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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