連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・128
じじ,ばばが体現する元気な生き方
柳田 邦男
pp.160-161
発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200651
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おじいちゃんやおばあちゃんが絵本に登場することは多い。人が生きるうえで大切なことはすべて絵本に描かれていると,よく言われるが,そうした心の持ち方や生き方を語るうえで,人生経験の豊かなお年寄りはふさわしい存在なのだろう。元気な中年の人物が人生訓などを語ると,お説教じみたり道徳の訓話じみたりして,子どもが楽しく読むという雰囲気になりにくい。やはりお年寄りの優しい語り口やおだやかな動きには,読んでいて安心感がある。
とりわけ最近のように,核家族化が進んで,親も子も祖父母と毎日一緒に暮らすことのない家族が圧倒的に多くなると,かつては地域や家族の日常生活の中で伝えられ覚えこまされた料理の作り方や衣類の縫い方などの暮らしの知恵が途切れてしまいがちだ。そういう暮らしの文化の伝承とか元気に生きる心得といったものを子どもたちに伝えるには,絵本が恰好のメディアになっていると言えよう。実際,その手の絵本の出版が,最近は多くなっている。3作を紹介しよう。
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