連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・7
正しく理解し,よさを認め,ありがたく思う—“appreciate”という言葉をめぐって
中野 民夫
1
1東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院
pp.146-148
発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200646
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アプリシエイティブ・インクワイアリー
“appreciate”という英語は,「感謝する」などの意だが,それだけにとどまらない深い含蓄がある。前号で,カリフォルニアの大学院に留学して組織変革について学んでいた頃,「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry:AI)」という問いかけの手法について学んだ話を紹介した。
組織がうまくいっていないときに,「問題は何か?」と「問題」に焦点を当てて問うていく問題解決型のアプローチではなく,「最高の瞬間」や「満ち足りたとき」について問い,そこへの道筋を探求していくポジティブな問いかけの方法だ。それも都合のよいものだけを見ようとする単なるポジティブ・アプローチではなく,私の理解では,人間の身体や心が生き生きと躍動する瞬間,いのちの力(life force)が発動する瞬間に焦点を当て,1人ひとりの内側からの「活性化」を引き出すアプローチだった。その後,国際協力の現場などにも広がったが,医療などさまざまな組織に応用できるアプローチだと思う。
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