理学療法ジャーナル 44巻6号 (2010年6月)

特集 呼吸機能障害とチーム医療

EOI(essences of the issue)
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 呼吸器の疾患・障害においては,人工呼吸器の進歩とそれに付随する問題点への対応,栄養療法との関わり,慢性疾患としてのフォローアップ体制の確立など,多職種で取り組むべき課題が多いのが現状である.近年では,呼吸サポートチーム,呼吸ケアチームなどの名称で多職種が協働する取り組みが進められている.今回の特集では,チーム医療として呼吸機能障害に取り組んでいる実践の報告を通して,その注意点・留意点,今後のあり方について提示していただいた.

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はじめに

 急性の呼吸機能障害は,進行するとたちまち生命を脅かす重大な病態に至るため,機能障害の原因となった疾病の回復に至る期間,生体を維持すべく酸素療法や人工呼吸器療法などの治療法が存在している.人工呼吸管理中のケアについては,全身管理の面からも医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士(以下,PT)などチーム医療での対応が不可欠である.その急性期には多くの情報とそれに対する適切な判断が迅速に行われねばならず,PTの関わるべき事柄も増加する.

 今春,診療報酬改定で「呼吸ケアチーム(RST)での加算」が認定され,その適用の条件として「PTも加わり呼吸ケアに当たること」が必須とされている(表1).

 チーム医療の関わり方は人工呼吸管理に至る病態の違い,疾患ごとに異なる.本稿では,なかでも代表的疾患である急性呼吸窮迫症候群(ARDS),慢性閉塞性肺疾患(COPD),および神経筋疾患への理学療法を主とした関わり,さらにweaningから在宅までの回復期の流れなどについて具体的に解説する.

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はじめに

 平成22(2010)年度の診療報酬の改定では,チーム医療の評価がされており,その中に人工呼吸器装着患者に対して多職種から構成されるチームによる計画的な治療への取り組みに対する診療報酬が新設される状況となった.このチームの一員として理学療法士が必須とされている.対象は一般病棟で人工呼吸療法が必要な患者であるが,Scheinhornらによると,ICU退室後も人工呼吸器装着が必要な症例のうち,約85%は理学療法を継続し呼吸器離脱や身体機能回復を図っている状況が報告されており1),今後はこの分野の充実と発展に期待と責任が生じると考える.

 チームの名称として呼吸ケアチームの呼称が一般的であるようだが,施設により「呼吸療法サポートチーム」など名称は様々である2).チームの定義付けとして,多職種で構成され,施設内で横断的に呼吸ケアを行うチーム3)とされ,活動内容は施設内職員教育,人工呼吸器装着患者の回診,マニュアルやチェックリストの作成など,診療支援から教育,安全管理などに関する内容と多岐にわたっている4).呼吸ケアチームの構成職種では,医師,看護師,理学療法士,臨床工学技士が中心となっている施設が多く,これらに続いて歯科衛生士,薬剤師,栄養士という職種となっている3,5,6).しかし,チーム体制は,その施設ごとで対象とする疾患の特徴やヒューマンリソースの違いがあり,形式や介入程度が異なっている現状がある.

 ここでは,当院での活動経験や他施設の報告などからの情報を踏まえ,呼吸ケアチームと理学療法士の役割などについて述べる.

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はじめに

 近年,慢性呼吸器疾患,特に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)に対する呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)のエビデンスの蓄積が進み,薬物療法や酸素療法と並ぶ治療法として位置づけられるようになった1,2).2009年に刊行された日本呼吸器学会によるCOPDガイドライン第3版ではさらにその効果を再認識し,従来COPDの中等症から推奨していた呼吸リハの開始時期を軽症からとより早期化しており3),日常診療における治療戦略上呼吸リハは欠かすことのできない地位を占めるようになっている.

 しかし,呼吸リハは継続できないと半年間程度で効果が減弱または消失することが明らかになっており4,5),入院治療終了後,いかに呼吸リハを継続実施していくかが現在の課題のひとつとなってきている.

 本稿では,近年蓄積された外来呼吸リハに関する報告を概説するとともに,当院で行われている呼吸器疾患の入院から外来診療への連携の実際,そして実際の症例の提示を行う.

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はじめに

 近年,日本における医療の場は,診療報酬改定に伴い,病院を中心とした入院による医療から在宅医療へと次第に変遷しつつある.また,包括的診療報酬制度(diagnosis procedure combination:DPC)の導入により,入院患者は入院期間の短縮を迫られ,早期退院,転院を余儀なくされる情勢となった.リハビリテーションにおいても,疾病の時期(急性期・回復期・維持期)によって最適な医療提供が行えるよう医療機関の機能分化が求められている.すでに脳血管障害や大腿骨頸部骨折に関しては,多施設で作成した地域連携パスの導入・運用による診療報酬が認められている.これは,日本において医療機関の連携が重要視されている結果である.

 筆者らは,呼吸機能障害を有する方が在宅で安心な生活が過ごせるように,2005年より地域プロジェクトチームを結成し,地域包括的呼吸リハビリテーションの提供を模索してきた.その最初のプロジェクトとして,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪後の呼吸リハビリテーション地域連携クリニカルパスを作成・運用した.本稿ではこのチーム医療展開の経緯とチーム医療の中における理学療法士の役割について紹介する.

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呼吸不全患者の在宅生活

1.訪問リハビリテーションの対象となる呼吸不全の病態

 呼吸不全とは動脈血液ガスが異常な値を示し,そのために生体が正常な機能を営みえなくなった状態と定義される.呼吸不全の診断は血液ガス検査結果より,動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下の状態,または経皮的酸素飽和度(SpO2)が90%を下回る状態を言う.呼吸不全で,さらに動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)が45Torr以下をⅠ型呼吸不全,45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全と分類し,呼吸不全の状態が1か月持続するものを慢性呼吸不全と言う.また,平素は呼吸器症状を認めない患者でも,急性発症した種々の原因により急激に呼吸不全に陥る場合もあり,このような状態を急性呼吸不全と言う.一般的に,在宅で療養している呼吸不全の患者は安定した病態で慢性的な経過である場合が多く,患者の状態は一般に慢性呼吸不全であると考えられる.

 呼吸不全を引き起こす代表的な疾患(表1)には慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などの呼吸器疾患が挙げられるが,呼吸器疾患以外にも循環器疾患や神経筋疾患なども呼吸不全を引き起こす場合がある.また,COPDに代表される慢性呼吸器疾患を有する患者は症状の安定した状態と,肺炎や喘息発作,心不全などにより増悪した状態とを繰り返すことが知られている.

とびら

あこがれの伝染 三浦 利彦
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 これまで,たくさんのすばらしい先生方とお仕事をさせていただく機会に恵まれた.いろんな先生方にご指導を賜り,刺激を受け,「あこがれ」を抱くことで,これまで何とかやってこれたように思う.いつの間にか自分も中堅どころとなり,職場でも指導的な立場となってしまった.一緒に研究会を主宰してきたメンバーとは,そのさらなる発展と啓蒙,育成を目的に,地域での講習会を企画・運営するようにもなった.自分は教員ではないが,養成校の非常勤や講習会の講師,臨床実習生やスタッフの指導などにあたり,教育ということについても考え,悩むことがある.

 儒教の経典「大学」に登場する教えに,「修身,斉家,治国,平天下(しゅうしん,さいか,ちこく,へいてんか)」というのがある.「世界を平和(平天下)にしようとするならば,先ず自国を治めなければならない.自国を治め(治国)ようとするならば,先ず自分の家庭を整えることだ.自分の家庭を整え(斉家)ようとするならば,自己の修練をしなければならない.自己の修練(修身)をするためには,正しい心を持たねばならない」,というわけだ.「修身」は自らを律する内的規律で,他者との相対関係にあるような道徳とは少し違う.簡単に言えば,公に尽くす精神を持ちながら,「まず自分を鍛えよ」ということである.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

筋スパズム 山岸 茂則
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 筋スパズムは統一した定義がなされているとは言い難いが,神経学の分野では筋攣縮と呼ばれ,「断続的に生じる一定の持続時間をもった異常な筋収縮状態」とされる.理学療法の分野では「痛みなどに起因する局所的で持続的な筋緊張の亢進状態」を指すことが多い.

1ページ講座 医療に関連するトピックス

多剤耐性菌と治療 畠山 修司
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 病院感染症の原因となる多剤耐性菌は,多くが医療従事者の手指などを介して伝播するため,標準予防策および接触感染予防策などの感染予防策を講じることが重要である.単なる定着であれば抗菌薬の使用は控え,感染予防策を励行する.一方,感染症を生じた場合には,治療薬の選択肢は著しく限られるため,菌の特性を知ったうえで最適な抗菌薬を用いる.

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装具選択の難しさ

 杖や下肢装具をはじめとする歩行補助具の選択に悩むことは少なくない.とりわけ短下肢装具は,金属支柱型短下肢装具,プラスチック短下肢装具,継手付きプラスチック短下肢装具,簡易装具と種類が多いうえに,同じ装具でも継手の種類,角度,可撓度などの設定によってその特性が大きく変化する1~3).長下肢装具は立位や歩行時の膝や股関節の支持性が低下しており,歩行能力の低い症例に用いられるのに対し,短下肢装具の適応は,歩行能力の高い症例から低い症例まで幅が広い.また,適応となる歩行不安定の原因も足関節周囲に限局している例から膝関節の支持性が低下している例まで様々である.

入門講座 理学療法学教育とFD・3

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はじめに

 1991年の大学設置基準の改正以降,教育界は激動の時代に入った.この大学設置基準の改正によって,大綱化,規制緩和の代わりに,教育研究の質の確保に関して大学自身によって自己点検・評価をすることが求められるようになった.すなわち,事前規制から事後チェック(フォローアップ)の重要性が指摘され,平成の教育大革命とまで言われている.このようななかで,大学は急増している(表1).

 ファカルティ・ディベロップメント(faculty development:以下,FD)の実施は,1999年に各大学で努力義務として定められたが,2007年度から大学院,2008年度からは学部で義務化された.大学では大学設置基準の第25条の3,大学院は大学院設置基準の第14条の3にて規程されている(表2).

 本稿では,大学,大学院におけるFDの具体的な内容,組織および現状などについて述べる.

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はじめに

 表面筋電図(surface electromyography:以下,EMG)は,筋が収縮する際に発生する活動電位を電気的信号として記録したものであり,振幅,時間,周波数の情報を含んでいる.このEMGを様々な手法を用いて加工することにより,観察では得ることのできない筋活動パターンや筋活動のタイミング,筋活動の程度,運動単位の活動様式,運動前反応時間などの情報を得ることができる.EMG解析は大きく分けて,量的評価としての積分筋電図(integrated EMG)解析と質的評価としての周波数(パワースペクトル)解析(以下,周波数解析)に分けられる.

 本稿では,まずEMGの量的評価と質的評価について概説し,動作分析への応用とその問題点について述べる.

臨床実習サブノート 臨床実習に不可欠な基本的技能・3

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はじめに

 急性期の意識障害が軽快し,合併症がコントロールされ,症状や機能の回復段階に入った脳血管障害患者には,活動性の拡大のために質,量ともに積極的な理学療法を行うことが可能となる.最近では回復期リハビリテーション病棟が増え,理学療法士(以下,PT)も病棟に入り込んで「生活」をベースにした評価やアプローチを行うことが求められている.また入院期間の短縮や,病院から在宅へのスムーズな移行が求められており,チームアプローチを充実させることがますます重要となってきている.

 そのようななかで,回復期の脳血管障害患者で高次脳機能障害を有する患者や,麻痺が重度な患者ではその対応に難渋することが少なくない.高次脳機能障害の場合は,症状が多彩なことや,その症状のためにボディイメージの再構築,運動学習が思うように進まないということがある.また,麻痺が重度の場合は日常的な活動が低下したままで介助量も多く,目に見える回復には時間を要する.

 以上を踏まえて,高次脳機能障害ならびに重度麻痺の患者に対する回復期における運動療法の組み立て方の留意点に関して述べる.また,両者共に多様な臨床症状があるため,代表的な例を挙げてより具体的に述べたい.

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要旨:本研究の目的は,大腿骨近位部骨折術後患者の退院時における下肢筋力と股関節可動域を調べ,歩行速度との関連を検討することである.屋内歩行が可能となり,退院となった大腿骨近位部骨折術後患者19名を対象とした.19名の両側の股関節屈曲,外転,膝関節伸展の筋力と患健比,および股関節屈曲,伸展の関節可動域を測定し,最大歩行速度との関連を検討した.健側と比較し,測定したすべての患側筋力は有意に低く,患側股関節可動域は屈曲,伸展ともに有意に小さかった.患健比は,股屈曲,外転と比べ,膝伸展が有意に低かった.Stepwise重回帰分析により,最大歩行速度に影響を与える因子として健側股外転筋力が抽出された.以上より,大腿骨近位部骨折患者の患側下肢筋力,股関節可動域は,歩行が可能となり退院となっても健側の値まで回復しておらず,筋力では,特に膝伸展筋力が低いことが明らかとなった.また,術後の歩行速度には,主に健側股外転筋力が関連していることが示唆された.

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要旨:外固定後早期より体幹伸筋群の維持,強化を目的とした運動療法の実施が,脊椎圧迫骨折後の椎体の圧潰変形進行の抑止効果として有効であるか否かについて検討した.対象は骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折53例とし,外固定と運動療法を行った運動療法群26例と,外固定のみを行った非運動療法群27例に分類した.年齢,性別,骨密度慈恵医大分類,骨折形態は両群間に差はなかった.椎体の圧潰率は,受傷後3か月,6か月において運動療法群で有意に低い値であった.Th12,L1の胸腰椎移行部での椎体の圧潰率は,受傷後6か月において運動療法群で有意に低い値であった.脊椎圧迫骨折後の治療の原則は,早期診断,早期外固定により,椎体の圧潰変形の進行をできる限りくいとどめることである.体幹伸筋群の筋力低下は,その後の脊柱後彎変形を加速化させる要因となるため,外固定後早期から体幹伸筋群を維持,強化し,脊柱姿勢を維持しておくことが重要である.今回実施した体幹伸筋群の強化方法は,椎体の圧潰変形の進行を抑止する,有効な保存療法の手段と考えられた.

新人理学療法士へのメッセージ

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ゴール(目標)を設定しよう!!

 このメッセージが新人の皆さんに届く頃には,多くの方々が各分野で希望を胸にご活躍されていることと思います.皆さんは,就職にあたり何かゴールを持って臨みましたか?

 35年前になりますが,私は生涯のゴールと毎年目標を立て続けることを心に決めて就職しました.生まれ育った九州を出,勤務地である関西労災病院に「骨を埋める覚悟で就職します」と卒業生同志の寄せ書きに記載し,生涯のゴールとしたことをつい昨日のように思い出します.また,仕事に限らず,色々なことに対して「全力を尽くすこと」もゴールとしました.

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 Harden(1984)は,医学教育は暗記中心の教育から問題解決能力を重視する教育へと転換するべきとして,問題基盤型学習(problem-based learning:PBL)の重要性を強調した.一方,2008年に中教審答申が示した参考指針でも大学の学部教育(学士課程)でつけておくべき力,すなわち「学士力」として問題解決能力の重要性が取り挙げられている.この問題解決能力は,臨床現場で理学療法士に不可欠なスキルであるため,理学療法士教育における重要な到達目標のひとつでもある.本書では,著者が独自に作成した問題解決モデルが提示され,これが理学療法診断における思考過程をサポートする準拠枠となっている.これは理学療法の対象者が有する問題解決のヒントとなる多くの情報を分類・整理し,その問題解決策を講じるための思考を円滑に導くものである.

 理学療法士も医師と同様,治療に先立って問診,情報収集・検査・測定などを実施し,障害に関して推論・洞察が行われて,問題点,すなわち治療の根拠を得ることができるが,この問題解決の思考過程はまさに医師の行う診断プロセスと似ている.すなわち,理学療法診断学とは,理学療法士が妥当性のある理学療法を展開するための根拠を得るために,患者や障害者を取り巻く医学的,心理的,社会的側面から,患者や障害者個人を生活全体で総合評価し,リハビリテーション・ニーズに基づき問題点を明らかにする一連のプロセスといえる(和島英明:理学療法のための臨床問題解決法,協同医書出版,1997).

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 本書の帯のキャッチコピーに,「本当にこんなに薬が必要なの?」,「これって薬の副作用のせい?」,「どう他職種と関わればいい?」,「薬について聞かれたらどうしよう?」の言葉が踊る.これらのすべてが訪問リハビリテーションの現場でセラピストが直面している現実そのものといえる.つまり本書の著者は3人とも医師だが,在宅の現場で実際にセラピストとチームを組んで,共に汗をかいてきた人たちなのだということがよくわかる.

 ページを繰ると「総論にかえて」で3人の著者の鼎談が載せられているが,そこに明確に本書が単なる薬の紹介ではなく,在宅のチームワークを少しでも前進させたいという姿勢が伝わってくる.薬の知識というより「薬は(在宅支援スタッフの)コミュニケーションの軸の一つになり得る」という発想がきわめて新鮮であり,それこそが訪問セラピストが求めていたものだという感激に似た思いを新たにした.思わず「うん!うん!」と頷いている自分に気づかされた.

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 川崎医科大学リハビリテーション科の初代教授であり,母校の学院長でもあった故・明石謙先生は,私が理学療法士を目指した受験の日,面接官の1人でした.面接時,緊張の余り何を答えたかは覚えていませんが,「上手いこと言うね」と高笑いされて,なぜか「あぁ落ちた」と勝手に思い込み岡山から雪の降り積もった家路に辿り着いたことを覚えています.

 母校の卒業後,初めての社会人となった私の就職先の上司もやはり明石先生でした.生まれて初めて口にした白ワインと紹興酒を,勧めて下さったのも先生でした.

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文献抄録

編集後記 横田 一彦
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 私の勤めている職場の病棟から,工事中の東京スカイツリーが見えます.ついに東京タワーの高さを追い抜き,すでに350mを超えていると聞きました.ちょうどその位置には第1展望台が造られる予定だそうです.一番上に見えるクレーンの開き具合などを患者さんと眺めるのが日課になっており,時々刻々と変わるその姿に,現場の多くの方が取り組んでいるであろう地道で確実な作業と,費やされている時間に想いをはせています.

 今月の特集は「呼吸機能障害とチーム医療」です.折しも今年度の診療報酬改定で呼吸ケアチーム加算が新設され,理学療法士もその一員として明記されました.蝶名林論文では,医師の立場から代表的な疾患に対する治療と理学療法士の役割について具体的な事例を挙げて解説していただきました.そして,4名の理学療法士の方には,それぞれが取り組んでおられる医療機関や訪問事業での呼吸チーム医療について論じていただきました.鵜澤氏は,ご勤務されている施設でのチーム医療の変遷から呼吸ケアチームのあり方と理学療法士の役割に深い洞察を加えておられます.瀬崎氏は,入院から外来への包括的な呼吸リハビリテーションにおいて,多職種で協業して関わることの大切さと有効性を指摘されました.長谷川氏は,病病・病診,さらに訪問看護ステーションとの連携を,実践を通してわかりやすく解説しておられます.中田氏は,在宅での訪問呼吸リハビリテーションにおける多職種での取り組みと訪問事業に関わる理学療法士が知っておくべき知識を整理して下さいました.チーム医療発展の過程では,これで完成ということはなく,環境によって常に変化が生じうるものだと思います.しかし,いずれの論文を通しても,まず取り組む目的が明確であること,個々の職種の専門性が確立し認め合う関係であること,そしてその地道な取り組みを継続していくことがとても大切なのだと気づかされます.

基本情報

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理学療法ジャーナル
44巻6号 (2010年6月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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