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私の勤めている職場の病棟から,工事中の東京スカイツリーが見えます.ついに東京タワーの高さを追い抜き,すでに350mを超えていると聞きました.ちょうどその位置には第1展望台が造られる予定だそうです.一番上に見えるクレーンの開き具合などを患者さんと眺めるのが日課になっており,時々刻々と変わるその姿に,現場の多くの方が取り組んでいるであろう地道で確実な作業と,費やされている時間に想いをはせています.
今月の特集は「呼吸機能障害とチーム医療」です.折しも今年度の診療報酬改定で呼吸ケアチーム加算が新設され,理学療法士もその一員として明記されました.蝶名林論文では,医師の立場から代表的な疾患に対する治療と理学療法士の役割について具体的な事例を挙げて解説していただきました.そして,4名の理学療法士の方には,それぞれが取り組んでおられる医療機関や訪問事業での呼吸チーム医療について論じていただきました.鵜澤氏は,ご勤務されている施設でのチーム医療の変遷から呼吸ケアチームのあり方と理学療法士の役割に深い洞察を加えておられます.瀬崎氏は,入院から外来への包括的な呼吸リハビリテーションにおいて,多職種で協業して関わることの大切さと有効性を指摘されました.長谷川氏は,病病・病診,さらに訪問看護ステーションとの連携を,実践を通してわかりやすく解説しておられます.中田氏は,在宅での訪問呼吸リハビリテーションにおける多職種での取り組みと訪問事業に関わる理学療法士が知っておくべき知識を整理して下さいました.チーム医療発展の過程では,これで完成ということはなく,環境によって常に変化が生じうるものだと思います.しかし,いずれの論文を通しても,まず取り組む目的が明確であること,個々の職種の専門性が確立し認め合う関係であること,そしてその地道な取り組みを継続していくことがとても大切なのだと気づかされます.
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