特集 呼吸機能障害とチーム医療
慢性呼吸不全患者への訪問リハビリテーション
中田 隆文
1
Takafumi Nakata
1
1須藤内科クリニックリハビリテーション科
pp.483-489
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101682
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呼吸不全患者の在宅生活
1.訪問リハビリテーションの対象となる呼吸不全の病態
呼吸不全とは動脈血液ガスが異常な値を示し,そのために生体が正常な機能を営みえなくなった状態と定義される.呼吸不全の診断は血液ガス検査結果より,動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下の状態,または経皮的酸素飽和度(SpO2)が90%を下回る状態を言う.呼吸不全で,さらに動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)が45Torr以下をⅠ型呼吸不全,45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全と分類し,呼吸不全の状態が1か月持続するものを慢性呼吸不全と言う.また,平素は呼吸器症状を認めない患者でも,急性発症した種々の原因により急激に呼吸不全に陥る場合もあり,このような状態を急性呼吸不全と言う.一般的に,在宅で療養している呼吸不全の患者は安定した病態で慢性的な経過である場合が多く,患者の状態は一般に慢性呼吸不全であると考えられる.
呼吸不全を引き起こす代表的な疾患(表1)には慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などの呼吸器疾患が挙げられるが,呼吸器疾患以外にも循環器疾患や神経筋疾患なども呼吸不全を引き起こす場合がある.また,COPDに代表される慢性呼吸器疾患を有する患者は症状の安定した状態と,肺炎や喘息発作,心不全などにより増悪した状態とを繰り返すことが知られている.
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