とびら
あこがれの伝染
三浦 利彦
1
1独立行政法人国立病院機構八雲病院
pp.447
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101676
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これまで,たくさんのすばらしい先生方とお仕事をさせていただく機会に恵まれた.いろんな先生方にご指導を賜り,刺激を受け,「あこがれ」を抱くことで,これまで何とかやってこれたように思う.いつの間にか自分も中堅どころとなり,職場でも指導的な立場となってしまった.一緒に研究会を主宰してきたメンバーとは,そのさらなる発展と啓蒙,育成を目的に,地域での講習会を企画・運営するようにもなった.自分は教員ではないが,養成校の非常勤や講習会の講師,臨床実習生やスタッフの指導などにあたり,教育ということについても考え,悩むことがある.
儒教の経典「大学」に登場する教えに,「修身,斉家,治国,平天下(しゅうしん,さいか,ちこく,へいてんか)」というのがある.「世界を平和(平天下)にしようとするならば,先ず自国を治めなければならない.自国を治め(治国)ようとするならば,先ず自分の家庭を整えることだ.自分の家庭を整え(斉家)ようとするならば,自己の修練をしなければならない.自己の修練(修身)をするためには,正しい心を持たねばならない」,というわけだ.「修身」は自らを律する内的規律で,他者との相対関係にあるような道徳とは少し違う.簡単に言えば,公に尽くす精神を持ちながら,「まず自分を鍛えよ」ということである.
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