臨床実習サブノート 臨床実習に不可欠な基本的技能・3
運動療法の組み立て方(2)回復期脳卒中―高次脳機能障害ならびに麻痺が重度な場合
諸橋 勇
1
Isamu Morohashi
1
1いわてリハビリテーションセンター
pp.517-522
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101691
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はじめに
急性期の意識障害が軽快し,合併症がコントロールされ,症状や機能の回復段階に入った脳血管障害患者には,活動性の拡大のために質,量ともに積極的な理学療法を行うことが可能となる.最近では回復期リハビリテーション病棟が増え,理学療法士(以下,PT)も病棟に入り込んで「生活」をベースにした評価やアプローチを行うことが求められている.また入院期間の短縮や,病院から在宅へのスムーズな移行が求められており,チームアプローチを充実させることがますます重要となってきている.
そのようななかで,回復期の脳血管障害患者で高次脳機能障害を有する患者や,麻痺が重度な患者ではその対応に難渋することが少なくない.高次脳機能障害の場合は,症状が多彩なことや,その症状のためにボディイメージの再構築,運動学習が思うように進まないということがある.また,麻痺が重度の場合は日常的な活動が低下したままで介助量も多く,目に見える回復には時間を要する.
以上を踏まえて,高次脳機能障害ならびに重度麻痺の患者に対する回復期における運動療法の組み立て方の留意点に関して述べる.また,両者共に多様な臨床症状があるため,代表的な例を挙げてより具体的に述べたい.
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