耳鼻咽喉科・頭頸部外科 68巻4号 (1996年4月)

  • 文献概要を表示

 他臓器より頭頸部領域への転移性腫瘍は少ない。原発巣として腎癌,乳癌,胃癌,大腸癌,食道癌,膵癌,絨毛癌,精上皮腫などがあるが,肝細胞癌は比較的まれである。

 今回,原発性肝癌手術完治後,1年で下顎歯肉転移をきたした症例を呈示する(図1,2)。

Current Article

  • 文献概要を表示

 はじめに

 副鼻腔手術において特殊な点は,対象となる副鼻腔が解剖学的に複雑な構造を有し,かつバリエーション(個体間の差もあるが左右差もある)が多く,また直接見ることのできない死角が多く存在し,副鼻腔の周囲を重要な臓器が取り囲んでいることである。眼窩,前頭蓋,視神経とは薄い骨壁により隔てられているにすぎず,また節骨動脈や神経が副鼻腔内に強く隆起している例もあり,従来,額帯鏡の光と裸眼による暗い狭い視野で,死角の多い副鼻腔を手術し,副損傷を起こすことも稀ではなかった。しかし近年は内視鏡を利用した鼻内手術が行われるようになっており,すべての部位を明視下において,的確な操作ができるため合併症も少なくなり,現在では多くの施設で行われるようになっている。停滞気味であった鼻副鼻腔の手術が一躍脚光をあびるようになり,内視鏡下手術の導入が鼻科学の活性化に大いなる貢献をしているといっても過言ではない。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 鼻内経由の鼻副鼻腔手術(鼻内手術)には,従来からの額帯鏡を用いた裸眼手術法1)と最近よく行われる,内視鏡を用いての手術法2)があるが,いずれにしても,鼻副鼻腔という,三次元的に複雑な構造を有する器官の病態に対して,前鼻孔を経由して施行されるものである。この手術では,重大な手術合併症である視神経損傷,外眼筋損傷,あるいは頭蓋内損傷を確実に防止することが大切である。そのためには,術前に鼻鏡およびファイバースコープ下に鼻腔を視診し,さらに画像診断により,その鼻副鼻腔の構造について十分に理解することが要求され1,3),その上で,手術の手順や方法などが十分に検討されなければならない。

 われわれは,鼻内手術時に前鼻孔からとらえられる実際の術野を十分に理解するために,画像診断において術野の所見に類似したCT画像(OMline+40°CT)の作成を検討してきた4)。それをわれわれは,簡単に半軸位断CTと呼ぶことにした。

 今回,鼻内手術時における半軸位断CTの有用性を検討したので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 頭頸部腺様嚢胞癌は比較的まれであるが,原発巣や転移などに関して扁平上皮癌とは異なった臨床像を呈することが知られており,診断,治療にあたってはそのことを十分理解しておくことが重要と思われる。そこで1973年より1994年の22年間に当科で治療を行った頭頸部腺様嚢胞癌について検討を行ったので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 耳下腺腫瘍は頭頸部腫瘍のうち約2%を占め1),比較的よくみられる疾患であるが,その大部分は単発性である。多発性の耳下腺腫瘍としてはワルチン腫瘍が最も多く,その他には,良性腫瘍の悪性転化例や転移性の耳下腺腫瘍などが報告されている。しかし,同一耳下腺内に同時に2種類の良性腫瘍が認められたという報告はまれで,そのなかでも良性多形腺腫とワルチン腫瘍が混在した症例は,筆者らが渉猟しえた範囲では20例の報告がみられるのみである。

 今回われわれは,同一耳下腺の浅葉に良性多形腺腫が,深葉にワルチン腫瘍が同時に存在し,耳下腺腫瘍摘出術により両腫瘍とも摘出した症例を経験したので報告する。

  • 文献概要を表示

 緒言

 骨肉腫は骨原発悪性腫瘍のなかでは骨髄腫に次いで多いものの,顎骨における発生は全体の1割に満たず比較的まれである1〜7)。一般に極めて悪性度の高い疾患であるが,好発部位である長管骨原発骨肉腫に比べ,顎骨原発骨肉腫は好発年齢が高いこと,遠隔転移率が低いことなどの点で異なった臨床病態を呈する2〜8)。今回,われわれは左上顎骨に発生した骨肉腫症例に対し,外科的治療単独の局所制御により良好な経過を得ているので,考察を加え報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 耳鼻咽喉科の救急患者の疾患として鼻出血はかなり大きな割合を占めるが,内頸動脈瘤破裂による鼻出血は極めてまれである。しかし生命の危険を伴う鼻出血であり,常に念頭に置くべき疾患である。今回われわれは,上顎癌全摘出術をうけ,17年後に上顎摘出部よりの大量の出血にて発症した内頸動脈瘤症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 線維性組織球腫(Fibrous histiocytoma:FH)は,組織球および線維芽細胞の増殖を主体とする腫瘍性病変である。この腫瘍は,軟部良性腫瘍全体の15%を占め1),通常四肢あるいは躯幹の軟部組織に好発するといわれており2),頭頸部領域の発生の報告は少ない。今回われわれは中咽頭に発生した線維性組織球腫の1例を経験したので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 頸部腫瘤が悪性の場合,頭頸部領域原発の悪性腫瘍の頸部リンパ節転移である可能性が高い。しかし,原発部位が肝であったという報告は非常に少なく,また肝細胞癌が頸部リンパ節に転移を示す例も非常に少ない。今回われわれは,前頸部腫瘤が主訴となった肝細胞癌のまれな1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 舌の悪性腫瘍は圧倒的に癌腫が多く,他の組織型の悪性腫瘍は極めて少数である。今回われわれは,骨・軟骨形成を伴う舌の悪性腫瘍で病理組織学的に“いわゆる癌肉腫”と診断した1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 近年,抗癌剤を用いて動脈塞栓療法,ミサイル療法,温熱療法などの各種局所療法が開発され,臨床応用も行われ注目を集めているが,一般的には癌は全身疾患と考えられ,抗癌剤は全身投与されるのが主流である。しかし,全身投与では骨髄機能低下や腎機能低下のある症例では投与量も制限され,その治療効果も減少する。

 そこで,抗癌剤をフィブリノーゲン-トロンビンとともに腫瘍局所に注入することにより局所滞留を促し,腫瘍の縮小および全身的副作用の軽減を目的とした治療法を考案し,骨髄機能低下,腎機能低下のある症例に対して副作用が出現することなく臨床的奏効を認めたので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 系統的に,同一対象群の経時的変化を観察しながら鼻アレルギーの病態がどう変遷していくのか,検討した報告は少ない。

 今回われわれは,日本国外における系統的経時的変化観察のための調査の手始めとして,南京医科大学生に対し鼻アレルギーについての調査を行った。本稿では日本での中村1)やわれわれ2〜5)の報告と比較検討する目的で,HD・ダニ・スギに対するスクラッチテスト陽性率と鼻アレルギー有病率について報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 職業性アレルギーは,職業特有の物質に曝露され,それが抗原となって一定期間をおいて発症するアレルギー反応である。これまでに多くの動物性,植物性,化学性物質が検出されている1)。建貝職人などにみられる木材粉塵アレルギーは,これまで米スギ,ラワン,リョウブなどが原因として報告されてきた2)。シナノキ材はベニヤ材のほか割箸やアイスクリームのへらなど日常生活において広く繁用される木材である。最近われわれは,きわめてまれなシナノキ材による職業性アレルギー症例を経験したので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 急性喉頭蓋炎は,突然の気道閉塞により窒息死することのある重篤な疾患である。急性あるいは亜急性の気道閉塞疾患においてしばしば肺水腫を合併することが知られているが,急性喉頭蓋炎に肺水腫を合併したという報告は極めて少ない。今回われわれは肺水腫を合併した成人の急性喉頭蓋炎で,気管切開とPEEPを併用した呼吸管理を行い軽快した2症例を経験したので報告する。

  • 文献概要を表示

 はじめに

 扁桃周囲炎は深頸部感染症のなかでは最も頻度が高く1,2),日常診療のなかでしばしば遭遇する疾患であるが,大部分の症例は抗生物質投与と外科的治療(切開排膿)により比較的速やかに治癒し,重篤な合併症を生じることは稀である。しかし今回われわれは,入院中に突然の気道閉塞を生じ,気管切開を余儀なくされた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鏡下咡語

沖縄県の補聴器の現状 野田 寛
  • 文献概要を表示

 ◆はじめに

 補聴器に信用がない。「補聴器はガアガアうるさいばかりで,頭が痛くなり,言葉がわからないから,いらない」という人が殆どである。そして付けないでいると,徐々にコミュニケーションがとれなくなり,家族・社会より孤立,遊離して行き,お年寄りの場合には老化が,ボケが進んで行く。老人ホームなどを訪れると,このような人を多く見掛ける。そして,補聴器を良く聴こえるように調整してあげても,「この補聴器は良く聴こえるけれど,いらない!!」と云う。その人の生活状況をみると,もはや聴く必要のない人生になっているのがわかる。この人が聴こえが悪くなり始めた時に,良く適合した補聴器に巡り合っていたら,別の人生になっていたのではないかと残念に思うことが多い。

 また,補聴器を付けていても,適合していないので言葉がよく理解出来ない人が多いのに気付く。

 どうして,こんな状態になってしまったのか?補聴器は,そんなに駄目なものなのか?

連載エッセイ 【Klein aber Mein】・21

  • 文献概要を表示

 弓を弾く姿勢に頸反射の基本を見る。かつて福田精君が大学院学生の頃,星野先生からMagnusのKörperstellungを頂いてこれを研究するんだと云うていた。彼は柔道マンだから運動についてKörperstel-lungをやるんだと云うていた。その成果が『運動の姿勢』という名著である。

 Körperstellungを追試すると,赤ん坊が仰臥位,両手両足freeの位置で頭を持って左方へ捻じると左上,下肢をのばし右上,下肢を屈曲する頸反射の定型的姿勢をとる。

基本情報

09143491.68.4.jpg
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
68巻4号 (1996年4月)
電子版ISSN:1882-1316 印刷版ISSN:0914-3491 医学書院

前身誌

文献閲覧数ランキング(
8月3日~8月9日
)