鏡下咡語
沖縄県の補聴器の現状
野田 寛
1
1琉球大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.344-345
発行日 1996年4月20日
Published Date 1996/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901350
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- 文献概要
◆はじめに
補聴器に信用がない。「補聴器はガアガアうるさいばかりで,頭が痛くなり,言葉がわからないから,いらない」という人が殆どである。そして付けないでいると,徐々にコミュニケーションがとれなくなり,家族・社会より孤立,遊離して行き,お年寄りの場合には老化が,ボケが進んで行く。老人ホームなどを訪れると,このような人を多く見掛ける。そして,補聴器を良く聴こえるように調整してあげても,「この補聴器は良く聴こえるけれど,いらない!!」と云う。その人の生活状況をみると,もはや聴く必要のない人生になっているのがわかる。この人が聴こえが悪くなり始めた時に,良く適合した補聴器に巡り合っていたら,別の人生になっていたのではないかと残念に思うことが多い。
また,補聴器を付けていても,適合していないので言葉がよく理解出来ない人が多いのに気付く。
どうして,こんな状態になってしまったのか?補聴器は,そんなに駄目なものなのか?
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