臨床整形外科 36巻1号 (2001年1月)

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 第74同日本整形外科学会学術集会を平成13年4月19日(木),20日(金),21日(土),22日(日)に幕張メッセ国際会議場および展示場,幕張プリンスホテル,ホテルニューオータニ幕張を使って開催させて頂く予定です.千葉大学医学部整形外科学教室の初代・鈴木次郎教授,2代日・井上駿一教授が成し得なかった大事業を主催することを思うと,まさに身の引き締まる思いです,

 各種疾患が克服されつつある中,骨と関節の疾患の克服こそが21世紀の人類に幸せをもたらすと考え,今学会が21世紀の初めの年であることでもあり,神戸の第73回学術集会で20世紀の総括をして頂いたので,今学会のスローガンを「整形外科 新たなる挑戦 21」としました.スローガンに則り,21世紀の船出に相応しいような学会にすべく教室,同門一丸となって準備を進めております.

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抄録: 小児の手足の骨欠損に対し,二次再建手術を施行するまでの待機手術として,シリコンブロックを一時的に用いる再建方法を筆者らは行っている.1988年以降,本法を行った16例の手術時年齢は8カ月~13歳(平均5.3歳)であった.原因疾患は,短合指症5例,裂足症3例、母指形成不全症1例,第4・5中手骨癒合症1例の合計10例の先天性疾患と,母指切断3例,多指切断1例,骨髄炎t例,血行障害による骨吸収1例の合計6例の外傷や後天性疾患であった.挿入部位は,手指6例,中手骨部3例,足趾4例,中足骨部3例であった.経過観察期間は4カ月~10年(平均4.8年)であった.16例中5例で,シリコン抜去後に関節移植術などの二次再建手術を施行した.4例で皮膚壊死やシリコンブロック転位などの合併症により抜去した.残りの7例は,現在二次再建術を待機中であり,疼痛や不安定性などは訴えておらず,特に問題はない.シリコンブロックを用いた手足の再建は,最終的な再建手術を施行するまでの小児の待機手術として有用な手段と考える.

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抄録: クリティカル・パス(CP)とは,入院患者への医療の質を低下させずに,特定の期間に,より効率的に,より効果を得ることを目的に作成されたアウトラインである.当院の病床利用率は平均97.2%,全科の平均在院日数15.5日という状態であり,CPの導入は有益であると考えられた.1999(平成11)年4月にCP推進委員会が設立され,各科の特色に合わせて必要な職種がメンバーに加わり,思案の作成がなされてきた.当科では比較的症例が多く,実施すべき治療,看護,理学療法のプロトコールがほとんど確立されているTKAのCPの作成にかかり,同年6月より施行を開始した.CPの導入によって,医療側ではインフォームド・コンセント,チーム医療の充実化,ケアの標準化,在院日数の短縮など有益な効果を認め,また,患者側にも入院中のスケジュールの把握や術後リハビリへの意欲の向上など,以前よりも治療に対する前向きな姿勢が認められた.

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抄録: 椎間不安定性を有する腰椎変性すべり症に対し後方除圧術と後側方固定術を行った47例の手術成績(平均経過観察期間3.3年)を調査し,L1 plumb lineであるL1軸仙椎間距離(LASD)を指標にした腰椎矢状面バランスとの関係を検討した.LASD 35mm以上の症例の改善率は平均44.9%で,35mm未満の症例の62.4%より低い傾向にあった.調査時の固定椎間の前弯角は改善率と正の相関を示した.LASD 35mm以上でin situ fusionの症例の改善率は28.4%と不良で,残存腰痛も高度であった.LASD35mm以上でも椎間すべりの整復が得られていた症例では改善率が63.7%で,固定椎間の前弯位も獲得され,LASD 35mm未満の症例と差はなかった.したがって,腰椎変性すべり症に対して後側方固定術を選択する場合には,LASD 35mm以上の症例では積極的な内固定併用による椎間すべりの整復が成績向上に有用である.

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抄録: 腰部脊柱管狭窄症の追跡調査における対象患者の病態の均一性について代表的4疾患を比較検討した.分離すべり群は変形性脊椎症,変性すべり症,combined stenosisの各群すべてに対し,画像所見では最狭窄部面積,外側陥凹距離,狭窄椎間数,最狭窄部の脊柱管形態などで有意に異なっていた.また,臨床所見では年齢が若く,術前の下肢痛・シビレ点数が高く,間欠跛行を呈する例が少なかった.とりわけ年齢は他の3群より約15歳若く,高齢者が多い腰部脊柱管狭窄症の追跡調査に入れるのは不適当と思われた.その他の3群ではcombined stenosis群に有意差のある項目が多く,JOA点数に影響を与える可能性が高かった.したがって,腰部脊柱管狭窄症の各治療成績の報告に際しては分離や分離すべりは対象から除外し,さらに全体的な評価に加え,対象を変形性脊椎症と変性すべり症の症例に限った成績も併記すべきである.

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抄録: 今回われわれは,当科で施行した従来法および小皮切法によるOsborne法の18症例について検討を加え報告する。赤堀の分類による術前病期は,病期1が2例,病期IIIが7例,病期IVが6例,病期Vが3例であった.術後追跡調査期間は2カ月~4年(平均11.2カ月)であった.生田らの臨床成績判定基準により4例が優,7例が良,6例が可,そして1例が不可と判定された.病期I~Vの全ての病期の症例において,術後症状の改善が見られていた.Osborne法は術前病期によらず,外反肘,内反肘,中等度以上の変形性肘関節症を除く症例に有効な術式と思われた.1.5cmの小皮切でも非鏡視下に従来法のOsborne法と同様の尺骨神経の剥離は可能であった.小皮切によるOsborne法を実施する時は,術前にInching法による尺骨神経障害のレベルを同定することが大切である.

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抄録:脊髄後根神経節(以下,DRGと略す)は,一次性知覚神経細胞を有し,腰痛や根性坐骨神経痛の発現に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究の目的は,椎間板ヘルニア・モデルにおけるDRGの内圧の変化と臨床での椎間板ヘルニアにおけるMRミエロでのDRGの変化を検討することにより,DRGでのコンパートメント症候群の発生を証明することである.実験的検討から,神経根上への髄核設置はDRGの内圧を上昇させることやDRG内に浮腫が惹起されることが判明した.また,臨床的検討からは,責任神経根のDRGは反対側や対照群に比して有意に高輝度を呈し,腫大していることが明らかとなった.以上の結果から、腰椎椎間板ヘルニアにおいては,責任神経根のDRGには浮腫に伴ってコンパートメント症候群が惹起されることが証明された.

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抄録: 解剖学的検討により,足関節鏡視下手術に際し,浅腓骨神経損傷の危険性が高いことを明らかにしてから,われわれは,足関節鏡視の際の前外側刺入では,距腿関節の最も外側から関節鏡を愛護的に刺入することにしてきた.この研究の目的は,足関節部の解剖学的検討を行う以前に施行した足関節鏡視下手術症例と、それ以降に行った症例の神経損傷の頻度について比較検討することである.対象を、解剖学的検討以前の症例16例16関節を前期群,解剖学的検討以降の症例60例60関節を後期群として2群に大別し,神経損傷合併を比較検討した.神経損傷の合併頻度は,前期群では16例中4例(25%)に,後期群で60例中1例(2%)の合計5例(7%)に認められ,前期群に有意に神経損傷の合併が多く,全例が浅腓骨神経障害であった(p<0.01).足関節周辺部の神経走行に関する特徴を念頭に置いて足関節鏡視を実施することにより,神経損傷を大幅に減少することができる.

整形外科philosophy

この頃思うこと 井村 慎一
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 最近,医療人の質,病院の危機管理のあり方を考えさせるような幾多の事件がマスコミを賑わせている.そこで私は,自らの軌跡を辿りながら,また経験を交えながら,医学部における教育,研究,医療について私見を述べたい.

 私達の世代は俗に言う戦中派である.小学校(当時国民学校)卒業後,旧制中学校に進学したが,間もなく敗戦になり,2年次より旧制中学校併設中学校へ新制高校では1年次男子校,次いで学区制導入で地域の高校(男女共学)へ進むことになった.高校の課程は普通科,商業科,家庭科に分かれていた.この高校は10年問存続したが,現在商業高校となっている.

 大学人試時,学力試験のほかに進学適性試験が課せられた.また,入学試験は1期,2期校に分かれて行われたが,この区別は大学の格差を生むとして,また進学適性試験は余り有効ではないとして廃止された.終戦後の混乱とはいえ,私達は学制改革の狭間の中に翻弄されていた.

最新基礎科学/知っておきたい

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 イオンチャネルは細胞膜に存在し,特定のイオンを選択的に通過させる機能蛋白質である.その概念は1950年代にイカ巨大軸索神経線維での活動電位成立のメカニズムとして初めて提唱された2).その後,膜電位に依存的な開閉のメカニズムや通過するイオンの選択的透過性に関する電気生理学的研究が進められてきた.1980年代に入り,分子生物学的手法が導入され,電気ウナギ電気器官の電位依存性ナトリウム(Na+)チャネルのcDNAがクローニングされた5).これを端緒にカルシウム,カリウム(K+)を含む多数のイオンチャネルの分子的実体が明らかにされてきた.

 これらの研究成果は生理的な膜興奮のメカニズムを分子レベルで説明することを可能にしたのみならず,多くの疾患の病態生理の理解にも寄与しつつある.例えば,神経損傷に伴う疼痛,神経伝導障害などもこれらのイオンチャネルの遺伝子発現と密接に関係しており,今後整形外科領域においても重要性を増してくることが予想される.

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症例:13歳,女性(図1)

 主訴:右膝痛

 現病歴:2週間前から誘因なく右膝痛が出現し,前医を受診した.右膝単純X線像で右脛骨に異常が認められたため,当科を紹介された.

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 2000年5月8日と9日に京都パークホテルにおいて第5回国際上肢先天異常シンポジウムInternationalSymposium on Congenital Differences of the Upper Limbを開催した.本会の歴史,今回のシンポジウムの内容と印象について報告する.

整形外科英語ア・ラ・カルト・95

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Stimson method (スティムソン)

 前号に書いた“Stimson maneuver”は,大腿頚部の脱臼のときの整復方法であったが,今回ここに述べる“Stimson method”は,肩関節の前方脱臼のときの整復法である.この方法は,まず患者を腹臥位に寝せ,ベッドの縁から脱臼側の腕を下に垂らし,手首に約4~6kgの重さを加重する。約5~10分後に肩関節の前方脱臼は整復される予定である.

 この簡便法は,普通のバケツに水を半分くらい入れて取っ手を患者に握らせて,繃帯で巻き付ける方法である.このとき,能動的にバケツを握らせると,上肢に力が入り整復しにくい.そのため,前腕と上腕の力を抜いても握らせた手が開かないように,受動的に取っ手を握った状態で,手と手首を繃帯で軽くぐるぐる巻きをすると良い.

ついである記・53

Stratford upon Avon 山室 隆夫
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 外国で客員教授の生活をしていると,日本での生活と違って公私ともに雑用が殆ど無いので,週末には大抵自由に小旅行に出かけることができる.私は英国でも,また,ハンガリーでもこのような気儘で楽しい生活を送らせてもらったが,今から振り返れば,私の人生のうちで異国の社会や文化を直接深く勉強することのできた得難い時間であったと思う.そのようなわけで,私は1976年から1977年にかけて英国に滞在している間に,ウェールズと中部イングランドとを殆ど隈無くと言ってよいほど歩き回った.どの町にも夫々に愛着があるが,その中でも自分の子供達が成人したらもう一度一緒に訪ねてみたいと強い想いが残った町が3つあった.それは、CambridgeとChesterと,そして,Stratford upon Avonであった.

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 抄録:15年前から疼痛があり,腫瘤発生から診断に至るまで約3年間を要した稀な尾骨発生の脊索腫を経験したので報告する.症例は49歳,女性.3年前から尾骨部腫瘤があり,婦人科検診にて超音波を行い仙尾骨部腫瘤を指摘された.生検術、MR像などより尾骨発生の脊索腫と診断し、切除術を行った.第3仙骨神経を温存でき,術後機能はおおむね良好であった.本例のような尾骨発生の脊索腫は稀であり,早期発見,診断には,尾骨を含めたMRI検査,直腸指診などが重要である.

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抄録: われわれは,34歳手術時までほぼ自然経過した脳性麻痺による尖凹足の1例を経験したので報告する.症例は痙性対麻痺の男性.10歳代より尖足が著明となるも,そのまま独歩を続けていた.33歳受診時、右足関節は最大底屈位,Chopart関節は90°底屈位,MTP関節は最大背屈位で独歩を行っていた.34歳時アキレス腱延長術,Chopart関節での矯正骨切り術を施行し,現在足底板を装着して独歩を行っている.本症例は脳性麻痺による前凹足で,著明な尖足を伴っていた.長期間矯正を行うことなく歩行したため,筋力不均衡による変形のみならず,体重負荷による足部への底屈力のため著明な凹足変形をきたしたと思われる.一般的に麻痺性凹足では内側縦アーチの挙上のみが顕著であるが,本症例では内外両側の縦アーチが挙上した,通常とは異なった凹足であった.

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抄録: 上腕骨滑車単独骨折の1例を経験し,ポリ乳酸ピンを用いて観血的治療を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳の女子中学生で,主訴は左肘関節痛.自転車走行中,左肘屈曲位で肘頭より転倒し受傷した.単純X線像,断層撮影,CT検査にて上腕骨滑車単独骨折と診断できたため観血的治療を行った.内側より進入すると,上腕骨滑車部はほぼ中央部で骨折しており,尺骨鉤状突起に乗る形で近位前方へ転位していた.骨片を整復後,ポリ乳酸ピン2本にて関節面より固定を行った.術後6カ月の現在,可動域制限は軽度で,単純X線像上骨癒合は良好、無腐性壊死の所見も見られていない.上腕骨顆部骨折のうち,上腕骨滑車単独骨折は非常に稀である.単純X線正面・側面像だけでは診断は困難で,関節造影やCTが必要であるとされているが,術前術後の骨折部の確認には単純X線上腕骨内旋位斜位像が有効であった.

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 抄録:Dupuytren拘縮に対する拡大手掌腱膜切除およびY-V形成法の治療成績を調査した.対象は12例13手,全例男性で,手術時平均年齢は59歳(48~70歳).手術適応はMP関節あるいはPIP関節の伸展制限が30°以上の症例とした.RSDの1例と伸筋腱のゆるみが原因と思われる1例で中等度の可動域制限を認めたが,手指全体としては全例で可動域の改善を認めた.合併症として血管損傷を3例に認めたが,手指の血行障害をきたした例はない.神経損傷はきたさなかったが術後一定の期間手指のしびれを生じたものが8例存在した.皮膚が閉鎖できずに植皮を要した例はなかった.これらの合併症はこの術式特有のものではないが,術前に患者に十分な説明を行っておく必要がある.拡大手掌腱膜切除およびY-V形成法はDupuytren拘縮に対する第1選択として考慮してよい有力な治療手段であると考える.

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 抄録:今回われわれは稀な小指深指屈筋腱皮下断裂を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は50歳の男性で冷凍魚を加工する作業に従事している.仕事中に右小指の屈曲ができないことに気づき受診した.右手掌尺側に腫脹,圧痛があり,右小指のDIP関節は屈曲不能,PIP関節は屈曲制限が認められた,術中所見では,屈筋腱腱鞘の著明な肥厚が認められ,小指深指屈筋腱は有鉤骨鉤付近で完全に断裂していた.腱の断端はささくれだっていたため腱縫合は不可能であり,また隣接腱の損傷も認めたため,腱移植術を行った.また,有鉤骨鉤の骨膜は剥離され,皮質骨面が一部露出しており,移植腱が再断裂する可能性を考えて有鉤骨鉤を切除した.術後8カ月の現在,経過良好で患者は現職に復帰している.本例では繰り返す小指の屈曲運動,有鉤骨鉤での腱の偏位,有鉤骨鉤への慢性的な外力により腱の摩耗と腱鞘炎が起こり,皮下断裂に至ったと考えられる.

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抄録: 長管骨の3次元的な変形に対して,これを一期的に矯正するoblique wedge osteotomyを2例の患者に対して行い,良好な成績を得た.症例1は27歳男性.左下腿の変形治癒骨折例で,𦙾骨近位骨幹部で15°の屈曲変形,15°の内反変形がみられた.変形部位で30°遠位に傾斜させた15°の前方を底辺としたoblique wedge osteotomyを行い,同時に15°遠位骨片を外反させて変形を同時に矯正した.症例2は26歳男性.左大腿骨の線維性骨異形成症で,骨幹部中央で15°の前方凸変形と22°の内反変形が認められた.近位に45°傾斜させた15°の前方wedgeの骨切りを行った後に,遠位骨片を22°外反させて変形を一期的に矯正し,同時に7mmの延長を追加した.Oblique wedge osteotomyは手技が極めて簡便で,一回の手術で長管骨の矢状面,冠状面の変形が同時に矯正でき,症例によっては骨の延長も可能である.骨切り面のfull contactが得られることから骨癒合も良好で,術中の矯正も可能である.

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抄録: Connらが1970年に,hypothenar hammer syndrome (以後HHS)の概念を提唱して以来1),職業が原因のHHSの報告は多いが,スポーツが原因とされるものはかなり稀である.症例は26歳男性.仕事中の手に対する外傷はない.頻回のバッティング練習後,右手小指球部の腫脹,環小指の冷感,疼痛を自覚し,母指等大の拍動性腫瘤も出現した.血管造影像上,尺骨動脈,浅掌動脈弓に動脈瘤があり,第3総掌動脈と小指尺側動脈が拡張,蛇行したらせん状陰影も認めた.病変部の動脈を切除し、静脈移植による血行再建を行った.組織学的には真性動脈瘤で内腔には新旧の血管形成を認めた.術後,手指の冷感,疼痛は消失し良好な結果が得られた.文献的考察を加えて報告する.

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抄録: Kienböck病に続発する指伸筋腱断裂は比較的稀であり,これに石黒法に準じたoverlap taping固定による超早期運動療法を施行し良好な成績を得たので報告する.

 患者は中環指の伸展障害を主訴に来院し,X線像よりLichtman分類Stage 4のKienböck病の診断のもと,これに続発した中環指伸筋腱皮下断裂に対し腱移行,腱移植術を施行した.2週間の指MP関節伸展位の固定後,示指へのoverlap tapingにて自動運動を開始した.術後9カ月の現在,約10°の伸展制限が残存するものの日常生活動作には支障はない.石黒が推奨している,患指を隣接指にoverlaptapingすることにより腱の減張位を保持したまま行う減張位早期運動療法は,縫合部に不必要な緊張がかからず,関節拘縮を引き起こしやすい高齢者にも特に有効な後療法と考えられた,

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抄録:人工真皮(テルダーミス®,テルモ社製)を用いて母指の再建を行い良好な結果が得られた症例を報告する.患者は53歳,女性.初診の15年前に右母指に外傷を受け,徐々に腫瘍を形成した.初診時,右母指の側爪郭,後爪郭部に大きさ約25×20mmの表面疣贅状の局面を認めた.病理組織診断は疣状癌(verrucous carcinoma)であった.腫瘍を末節骨上にて切除し,人工真皮にて被覆し,貼付後のべ6週間にて十分な肉芽形成および完全な上皮化が認められ,良好な母指の形態が得られた.

基本情報

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臨床整形外科
36巻1号 (2001年1月)
電子版ISSN:1882-1286 印刷版ISSN:0557-0433 医学書院

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