看護学雑誌 73巻11号 (2009年11月)

特集 病棟で緩和ケア

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 短期入院や外来で化学療法が行われる今、一般病棟において緩和ケアの重要性が高まっています。そこで求められるのは鎮痛薬を用いた苦痛の緩和というよりも、病態生理や薬理学をはじめとした幅広い知識に基づいた総合的なケアの力。精神症状の見極め、輸液の管理、食事のくふうなど、日々のあたりまえのケアのなかにこそ、質の高い緩和ケアの可能性が眠っています。

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 “緩和ケア”は「終末期患者に提供される特別なケア」ではなく、日常生活援助の延長線上にあるものだ。思い込みを取り払い、病棟で質の高い緩和ケアを行うために必要なこととは何かを考えてみる。

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 がん患者は治療、症状緩和のためにたくさんの薬剤を使用しているため、有害事象の頻度も高い。高齢患者の35%が何らかの薬剤関連の有害事象を経験しているとの報告もある。見落としがちな薬剤性精神症状を知ろう。

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 経口摂取量が減ってきた終末期がん患者には、輸液をはじめとした人工的水分・栄養補給が行われるが、施設ごとにその施行率や内容に大きな差がある。いつからはじめるのか?どこまで続けるのか?その判断基準を探る。

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 口内炎、味覚障害、食欲不振など、がん治療中には食事にかかわる多くの有害事象があらわれる。食事量の減少が栄養状態不良につながることはもちろん、患者・家族が食事摂取量の減少を予後の悪化と結びつけ、不安を覚えることも多い。しかし、それらの有害事象に対しては、食事内容をくふうすることで対応できることも少なくない。

Lecture

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「からだのメソッド」で身体感覚を整える

 看護師の毎日は立ちっぱなし、歩きっぱなし。最近は看護記録入力のためにPCの前で座りっぱなしという方も少なくないでしょう。そこで皆さんの立ち方、歩き方、座り方を一度、見直してみましょう。気づかないうちに無理な姿勢、負担のかかる歩き方をしていることがよくあります。美しい立ち居振る舞いを身に付けると、疲れがたまりにくくなることはもちろん、その姿が、患者さんや同僚の気持ちも明るく変えてくれるかもしれません。

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 「コーダ」というのは、聞こえない親を持つ聞こえる人を意味する言葉である。本人は聞こえるけれど、聞こえない親の元で手話や視覚的なコミュニケーションを見て育ち、聞こえない人の文化である「ろう文化」に馴染んでいる。コーダのなかには、夢や寝言が手話の人や、手話で思考する人もいる。

連載 臨床の詩学 対話篇・1【新連載】

苦戦中 春日 武彦
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 たとえば、こんなケースはどうであろうか。

 29歳男性のN氏は統合失調症で、外来へ通院していた。一度だけ入院歴もある。ここ二年ばかりは安定しており、作業所にも通っていた。ところがいつの頃からか怠薬するようになった。次第に夜と昼の生活パターンが逆転し、引きごもりがちとなり、さらには怒りっぽくなった。ぶつぶつと独り言が出るようになり、ときには壁に向かって怒鳴っている。もちろん外来には通院しなくなった。明らかに症状が再燃している。

 家族も心配し、無理やりにN氏を外来へ連れて来た。担当医であるわたしは、外来レベルの対応では追いつかない状況と判断し、本人へ入院を勧めた。しかしN氏は入院を拒む。精神科病院に閉じ込められるなんてまっぴらだ、人権侵害だ、と声を荒げるのである。わたしとしては、できるならば本人自身に承諾してもらって穏便に入院させたい。外来およびその周辺には、たくさんの患者さんや家族が診察や書類や会計を待っている。そうした場所で、力づくの入院は避けたい。

連載 こんな方法もあるかもしれない―介護発,武術経由の身体論・23

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 腰痛予防には、筋力を鍛えたり、コルセットを巻くなどさまざまな方法があります。しかし、それらの方法は結局のところ、対症療法的なアプローチではないでしょうか。今回は根治療法的な腰痛予防のアプローチとして、腰に負担がかかりにくい姿勢を提案します。実は姿勢のわずかな違いによって、腰にかかる負担は大きく違ってくるのです。

連載 見逃さない!予測できる!高齢者のリスクアセスメントと急変対応・8

呼吸が苦しそうです 岩田 充永
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症例 Aさん(76歳、男性)

「ゼイゼイして呼吸が苦しそう」ということで家族につれられて救急外来を受診しました。「今日はどうされましたか?」と尋ねると、「看護師さん…今日は…急に…息が…苦しくて…」と確かに苦しそうで冷汗をかいています。パルスオキシメーターの値はSpO2 86%と低く、急いで処置室に案内したところ、I先生から「CO2ナルコーシスが心配だから酸素は少な目の量で1Lから開始してください」と指示がありました。

 

課題1 呼吸困難症例における初期対応ではどのようなことが大切でしょうか?

課題2 呼吸困難の原因にはどのようなものがありますか?

連載 誰も教えてくれない File No.7

承認の仕方

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 看護師の業務はますます増えていく傾向にあります。また、多職種間の連携における中心的な役割も求められています。すべての事柄に全力投球をしたいのはやまやまですが、いつの間にかパンク寸前になっていることも多いはず。

 この連載では、普段は意識しないような視点から看護師の働き方を見直してみます。

連載 混合病棟ナースはみた!・6

理不尽な会話に負けない 坂口 寿賀
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 理不尽としか表現できない会話は存在する。それが日常どのような頻度であらわれるかは人によると思われるが、現在の私の場合、日常茶飯事である。

 昨日も子ども2人を乗せた車を運転中の私に、下の子がこう聞いてきた。

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最期にあっても生を肯定できるホスピスケアのために

 

 死を前に人は何を思うのか。かつてホスピスの取材をしていたときに知りたかったことの一つは、病室のベッドに横たわり、天井をじっと見つめている人の胸の内だった。

 「やりたいことを言ってくださる患者さんはいいのです」──そのときホスピスナースから聞いた言葉が忘れられない。頻回な窓の開け閉めでも、遠い故郷の母に逢いたいという願いでも、たとえ大変なことだったとしても、何か言ってもらえたら、希望を伝えてもらえたら、スタッフは力の限りを尽くせるのだという。しかし、残りわずかな日々にあり、何も語らない人、あるいは何をしていいかわからない……とつぶやく人、そうした人のケアこそ本当の意味で難しい、と聞いた。

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編集後記 鳥居 , 吉田
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●『ハチはなぜ大量死したのか』(ローワン・ジェイコブセン著、文藝春秋、2009)を読みました。2007年に北半球に生息するミツバチの4分の1が消えた謎に、科学ジャーナリストがスリリングに迫っており、“2009年版『沈黙の春』”といった評価も聞こえてきています。ハチが消えるとなぜ問題なのか?果物や野菜を含むほとんどの植物は、昆虫などの花粉媒介者がいなければ実をつけません。私たちの「食」が、ハチに代表される昆虫に大きく依存して成り立っているという事実を知ったことだけでも、私には大きな収穫でした。また、本書が「ハチが消えた原因」について探求し、農薬、殺虫剤、農業の集約化・工業化の弊害などに迫りながらも、最終的な結論を控えていることにも好感をもちました。私たちの社会が直面する問題の多くが、シンプルな原因─結果型の思考では解決不可能となってきていることを、ハチは自らが「消える」ことで教えてくれているのかも。【鳥居】

基本情報

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看護学雑誌
73巻11号 (2009年11月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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