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編集後記
鳥居
,
吉田
pp.92
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101541
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●『ハチはなぜ大量死したのか』(ローワン・ジェイコブセン著、文藝春秋、2009)を読みました。2007年に北半球に生息するミツバチの4分の1が消えた謎に、科学ジャーナリストがスリリングに迫っており、“2009年版『沈黙の春』”といった評価も聞こえてきています。ハチが消えるとなぜ問題なのか?果物や野菜を含むほとんどの植物は、昆虫などの花粉媒介者がいなければ実をつけません。私たちの「食」が、ハチに代表される昆虫に大きく依存して成り立っているという事実を知ったことだけでも、私には大きな収穫でした。また、本書が「ハチが消えた原因」について探求し、農薬、殺虫剤、農業の集約化・工業化の弊害などに迫りながらも、最終的な結論を控えていることにも好感をもちました。私たちの社会が直面する問題の多くが、シンプルな原因─結果型の思考では解決不可能となってきていることを、ハチは自らが「消える」ことで教えてくれているのかも。【鳥居】
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