BOOKS in Review
天使に見守られて―癌と向きあった女性の闘病記録
土本 亜理子
pp.56-57
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101540
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最期にあっても生を肯定できるホスピスケアのために
死を前に人は何を思うのか。かつてホスピスの取材をしていたときに知りたかったことの一つは、病室のベッドに横たわり、天井をじっと見つめている人の胸の内だった。
「やりたいことを言ってくださる患者さんはいいのです」──そのときホスピスナースから聞いた言葉が忘れられない。頻回な窓の開け閉めでも、遠い故郷の母に逢いたいという願いでも、たとえ大変なことだったとしても、何か言ってもらえたら、希望を伝えてもらえたら、スタッフは力の限りを尽くせるのだという。しかし、残りわずかな日々にあり、何も語らない人、あるいは何をしていいかわからない……とつぶやく人、そうした人のケアこそ本当の意味で難しい、と聞いた。
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