臨床眼科 8巻8号 (1954年8月)

連載 眼科圖譜・3

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 眼瞼は角膜の上下両側に於ける外皮の延長によつて生ずる。内面は結膜となる。胎生7〜8ヵ月頃,上下眼瞼縁は接着する。此時眼瞼遊離縁では,上皮細胞の増殖が旺で,一時的に眼瞼裂の閉鎖を見るけれども,胎生末期になると,再び上下の瞼縁は隔離し,瞼裂を生ずる。

 潜在眼球の発生は,眼球を蔽つているMesoderm,Ectodermが角膜にならないで,皮膚化したもので,初めから眼瞼結膜の発生を見ないのである。皮下に眼球様嚢状のものがあつて,筋力によつて廻転するように思われるけれども,組織的に見て,嚢胞であつて,.稀に不完全水晶体,角膜の形態を整えるものがあると言う。従つて瞼裂部と思われる処を開いて,下に眼球を露出することは望まれない。然し眼瞼が完全に出来て,瞼縁の充分離解しないでいる潜在眼球も存在すると考えられるけれども,私には未だ経験はない。此場合は瞼裂を切開して完全眼球を露出することが出来るであろう。

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 虹彩炎は眼科領域の疾患の内でもかなりいやな予後の悪いものに属しております,併し,それに関する記載というものは比軟的少く,邦文の教科書をみても,白内障,緑内障等に比較して記述が簡単であります。この事は虹彩炎の処置というものが,眼科的にはAtropinというような特殊の療法により決定されて余り複雑さのない事,その他の処置は所謂眼科的な領域に属さないという様な為におこつた事でありましようか。

 欧米の教科書の内でも比較的に要領よく整理され書いてあるように思えたのはAxenfeldのL.B中のKruckmannの記述であります,彼は,余り確実ではないのですが,敗戦の混乱の中に流浪の境遇の下に最近死亡したという噂をきいておりますが,短い文章で内容が豊富でありますその他Gilbert (Kurz.H.B)もよく整理されてあります。

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 嚮に私はトラコーマ(以下「ト」と称する)め疫学的観察を行い其の第1報として眼科医療施設に就ての報告を行ったが,今回は学童に就ての疫学的観察を報告する。最近迄に行われた学童「ト」に就ての報告は第1報に述べた如く可成り行われて居るが,何れも一地区又は数校に関するもので,府県全体に関するものはないので,私は戦後大阪府下の全小,中,高等学校,幼稚園に就て調査を行つた。大阪府は面積1814平方km,人口3857047人,人口密度は1平方km当り2126名で,日本で第2位に当り,本州の中央部に位置し,河川,山脈,平野に富み,都市農山村多く,交通発達し,産業も種類に富む為かゝる環境における「ト」の疫学は興味あるものと思われる。大阪府下の学徒総数は711259名(昭和25年4月)で,此の全員の悉皆調査は短期間では不可能であるので,先ず文部省学徒身体検査規則により実施した検査成績を高等学校以下幼稚園迄調査し,此の中より「ト」の高率な学校を選び出し,専門医による検診と環境調査を行つた。大阪府教育委員会に報告された前記検査成績は悉皆調査としては昭和25年度が最終であり,以後は予算の関係上部分的な抽出報告であつたので,全般的な観察の必要上昭和25年の成績を取った。此の成績は一般学校医による検診である為幾分不確実になる嫌を免れないが,従来迄大阪府予防課で発表した「ト」淫浸地区の成績と対照した結果大体の傾向を観察し得る事を確めた。

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 1897年Battenは"対称性黄斑疾患の二兄弟"と題して始めて,本家族性進行性黄斑部変性症を公にした。1909年StargardtはHerdittire Pro-gressive Degeneration der Maculaなる名称の下に詳細なる観察を行い,統一的な報告をなした。後,Behr, Rotth, Oatman等が引続いて報告をなし,本邦に於ても増田氏(1915)に次で和田氏(1917)が報告し,現在までにかなりの報告をみている。

 然しながら本症の各報告例の臨床所見についてみるに共通なるものの存する反面,又多種多様なる所見を呈し,本症の本態に至つては現今全く不明である。私達は,最近本症と思われる2例に遭遇し観察する機会に恵まれ,尚興味ある視野変化を知り,些か本症に対して興味ある観察を為し得た如く考えるので追加報告する。

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 外傷に因つて種々の眼障害を来すが,外傷性脈絡膜網膜萎縮は比較的稀なものである。

 本邦では田川氏1)の1例以来石郷岡2),賀古3),河端4),平山5)諸氏の各1例,鈴木・土屋6)両氏の2例計7例がある。此の中詳細な記載のあるのは田川,平山両氏だけである。

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 フリクテン(以下フとす)は主として結核に基調を置くアレルギー性疾患とされて居る。実験的に結核菌以外の異種蛋白でもフの発生する事が久保木氏及び船石氏等に因り明かにされて居る。亦最近では生井氏及び九大眼科教室員により臨牀的に真性のフの見做されたものの組織細胞の超生体染色を施すと多核白血球を主とするものが混在して斯るものは仮性フであるとされている。併し此の方法は臨牀医にとつては患者に苦痛を与える事と亦,時間的にも困難である。此の臨牀的に結核性フと考えられる幾何の者が結核発病し,或は如何なる経過を取るかと云う事は結核予防上極めて重要である。夫は第Ⅰにフの発現は結核の感染後比較的早期に来る事が多い事,第Ⅱには比較的多い眼疾患である事,第Ⅲにはフは専門医以外の一般の人々にも判断が比較的出来易い事,此の3事項があるからである,

 フ患者の遠隔予後即ち他の臓器の結核発病を知る事は眼科医に取つて比較的困難であるため,其の重要性にも関らず其の報告は比較的少く只,断片的報告があるのみである。

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 戦後の諸種抗生物質の先陣を承るペニシリン(以下ペと略す)の効果は誠に偉大であつて,現在其使用範囲は極めて広いが,他方之が惹起する副作用が,諸家の体験より等閑視は出来ない事も周知の事実である。私は昭和25年表題の如き症例に遭遇し,京都眼科学会に於て発表もしたが,戦後の文献を徴しても斯る症例の報告がなく,後に実験例に於て記する様な網膜変化の原因をペ注射に直結したり,或は之を直ちにJarisch-Herxhei-mer氏反応(以下JHRと略す)と断定する事は,根拠に乏しく,早計の謗を免れ得ないものと考え,今日迄誌上発表を控えていた。最近,Leonhardtの症例報告に接し,之に類似性を持つ私の症例の原因及発病機転の考察に根拠を見出した。茲に追加症例として報告する次第である。

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 視力検査を行う際に用いる試視力表に就いては,諸氏により種々なものが作られている。この中,私達が小供の頃から親しんできたものは石原忍先生の作られた「万国式片仮名試視力表」であろう。コナルカロフニと配列されたその試視力表中の各行の視標は,視力検査に際して試視力表を見る度に殆んど暗んじている事が思い起される程であつた。この試視力表は視標の選択の正当性,字体の簡潔,そして半田屋の美しい印刷と相俟つて,最も広く用いられたものである。

 戦いが終つて,文部省が小学校一年生の教科書に平仮名を採用し,平仮名を片仮名に優先して教えると云う方針を取り始めて以来,片仮名の読める児童は急激に減小し,殊に低学年には極めて稀になつた。この様にして,平仮名試視力表が片仮名試視力表に代る時が来たのである。先ず第一に作られたのが,中村康教授の「万国式平仮名試視力表」である。続いて東大視力班の「ひらがな」視力(検査)表が公にされ,極めて最近に山森昭氏は「六六環平仮名視力表」を作られている。以上は何れも5.0m用であるが,検査距離を短くしたものに大島祐之氏の「3米用視力表」及び著者の「万国式2.5米用試視力表」がある。

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 網膜膠腫に関する報告は,既に多数の諸先輩により各方面より詳細に報告されているが,最近我我は極めて幼少時に発病した興味ある本症の1例に遭遇し得たので報告する。

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 翼状片の手術術式に就いては従来より枚挙に遑もない程報告されているが,諸法動もすれば再発を来すため,翼状片の手術療法亦難いかなの歎声は独り著者のみではないであろう。余は翼状片を剥離した創口に羊膜の移植を思いつき数例に之を試みたので之れを報告する。

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 著者は先に虹彩その他の単眼角膜顕微鏡写真撮影に就いて述べた(臨床眼科.第8巻28頁.1954)。この方法はそれ自体が,前眼部の所見を詳細に観察し記録する方法として,甚だ有用な方法であるが,これを更に改良して双眼(立体)角膜顕微鏡写真撮影を行つたところ,相当に満足すべき立体写真が得られて,位置の関係が極めて容易に判るようになつた。又焦点深度の浅い為に起る像の不明瞭さも立体視のために補われ,更に病変等の位置特にその深さの測定に就いて新しい応用面を知つたので,茲に発表して御批判を仰ぎたいと思う。

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緒言

 教室では曩にテラマイシン(以下TMと略す)及びオーレオマイシン(以下AMと略す)によるトラコーマの治療効果をプロワツエク氏小体(以下P氏小体と略す)の消長に関連して観察し報告したが,これ等TM及びAMの藥剤が登場してから既に数年経過した現在,何れの抗生物質でもそうである様にトラコーマ治療に際しても効果が漸次衰えて来てることは周知の事実であり,又誰でも経験して居る所である。今回吾々は新たにアクロマイシン(以下AcMと略す)に就て実験する機会を得,之をトラコーマの治療に試用した結果,出現頭初のTM或はAMの如き治療効果を挙げることが出来たので,その成績を以下に紹介することにした。

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 Young-Helmholtzの学説に依ると,赤緑色盲者は色覚健常者の有する三基本感覚の中の何れか一つを欠除した者と見做されている。故に赤緑色盲者の全ての色度は2種類の色感覚の適当な混合に依り表現されるわけである。而も此の混合比は略一定であるので,赤緑色盲者の色度は,色覚健常者の色度図上で,欠除点と呼ばれる点を通じて引かれる直線で表現される。其の結果として欠除点を通じて色度図上に引かれた直線上の色に赤緑色盲者の混同色を示しているのである。

 此のYoung-Helmholtzの学説を根拠づけるものとして,Pittは1935年Wrightの色度計を用いて赤緑色盲者の色度混同線(以下混同線と略す)を決定した。即ちPittに依れば赤緑色盲混同線は何れも一定点に集結される事を証明したのである。而して此の混同線は現今ではJuddに依りC.I.E.色度図に変換されている。今此の色度図上で無彩色を示す点Cを過ぎる混同線がスペクトル軌跡と交る点は,赤色盲では493mμ,緑色盲では497mμ附近である。此の点は周知の如く赤緑色盲者の中性点であり,赤緑色盲者に依れば此の線上の色が全て無彩色に見えるわけである。然らば此の無彩色混同線上の色の識別能,換言すれば感色能が色弱者にとつてどの様に表現されるかは,未だ充分に明らかにされていない。

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 コリマイシン(抗菌性物質基準名コリスチン)は1946年に小山・黒沢庇等1)により福島県掛田町の土壌から発見分離された一種の好気性芽胞桿菌の培養液から抽出される新しい抗生物質である。無色乃至微黄褐色の粉末で,化学的にポリペプチドである。

 コリマイシンの性質はポリミクシン-Bに非常によく似ており,グラム陰性菌に特異的に作用し,百日咳菌,緑膿菌,肺炎桿菌に著効を示す事は非常に興味深い所である。その効力は強力でその強い抗菌作用はBacterio-staticというよりBa-cterio-cidalであり,ストレプトマイシンの数倍の効果を示す。例えば試験管内で百日咳菌に対する最低抑制濃度はストレプトマイシンでは2.5γ/ccであるが,コリマイシンでは0.1γ/ccである。コリマイシンはこのように抗菌力が強力であるばかりでなく,耐性菌が出来難く,熱やpHに対する安定度が高いので臨床的に非常に使用し易いと思われる。水溶液はpH2-7の範囲で数日間放置しても効力に変化ない。

銀海餘滴

研医会眼科図書館案内
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 眼科医は何人でも,すべて無料で,閲覧する事が出来ます。文献等お調の時は御利用下さる事を歓迎致します。本邦発行の眼科書籍雑誌はすべてあります。外国眼科雑誌は只今の処,米2,英1,独1,瑞1,が毎月参つて居ります。詳細は本誌5月号を御覧下さい。又御藏書の御寄附をお願し,又は,御貸与をお願致します。御貸与の分は別に索引カードを具えて来館者の閲覧の便に供します。但しこれは多少の汚損は,御承知置き下さい。又御藏書を処分なさる御考えの方は目録御送り下さい。其上で価格等適当に御相談申上ます。

健保点数改正及新設29.7.1.実施
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点眼藥

 (1剤5g,5日間使用を標準として,コーチゾンの点眼藥は12点とし,クロルテトラサイクリン,オキンテトラサイクリン又は,クロラムフエニコールの点眼藥は6点とし,マインリンの点眼藥は4点とす)

〔上記の内コーチゾンのみは濃度の規定がある患者用は原液の20倍液である。軟膏は10倍又は5倍又は約3.5倍迄のものを用いることになつている〕

血圧の生理
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 普通高血圧症といわれる疾患の高血圧には心搏出量は関係していない。血液の粘稠度は赤血球増多症にその増加が認められるがその他の疾患では余り影響がない。大動脈に硬化が起りその弾性が減ずると血液が硬いゴム管の中に押し込まれる如き状態となる為に主として收縮期血圧が上昇する。一般に老人は動脈硬化症が多少ともあるので收縮期血圧が若い人より高い値を示す。血圧に最も強く影響するのは末梢血管の抵抗である。末梢血管の中でも細小動脈の收縮と呼ばれる毛細血管に分枝する直前の動脈の收縮,拡張が血圧に最も強い影響を与える。この部に收縮が起ると血液が末梢に流出し難くなる為に最低血圧が特に高くなる。一般に高血圧症といわれるのはこの状態であつて,最高血圧も勿論高くなるがそれよりも最低血圧が高くなることが重要な意義を有する。

バックナンバーのお知らせ
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 只今(7月15日調)下記の巻・号が在庫しています。御希望の方はどうぞ御申込み下さい。

3卷2号

てがみ 三井 幸彦
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臨床眼科誌御中

 御誌の記事を拝見し(本年6月号725頁)ナタフ博士来朝に関し疑問のある方がある様に思われますので説明いたし度いと存じます。ナタフ氏来朝の資格はWHOのFellowshipによるもので,日本に於ける正式の受入者は厚生大臣であり,スケヂユールは厚生大臣とナタフ氏との同意によつて正式にきまつたものであります。そして厚生省から日本眼科学会に植村理事を通じて援助が依頼され,又各都府県の衛生部へは厚生省から直接,大学研究所へは文部省を通じてスケヂユール実行に関する依頼状を送つたと聞いております。したがつてこの点に関しては厚生省の依頼により,日眼,大学研究所,都府県衞生部の三者が共同して主催する形式になつたわけです。なお氏はトラコーマに関する本来の仕事と同時に,日佛眼科の交驩という仕事を持つて来られ,これに対しては日眼が直接の受入れ者となつたわけであります。

放射能症
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"死の灰"による障碍

 3月1日ビキニ環礁でおこなわれた水爆実験の灰」をかぶつた福龍丸の漁夫たちが,顔に潰瘍ができたり,頭の髮の毛が抜けたり,体工合がわるくなつたりして帰つて来たので,しらべてみると灰のなかにある放射能のためとわかつた。

 この症状は,広島や長崎のときの"原爆"によるもの(原爆症)とは,ちがうので,これに"放射能症"という新しい名がつけられた。原爆症とともに原子時代が生んだ全く新しい病名である。

グラフ募集 中村 康
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 今後毎号「グラフ」耳を設けることに致します。原稿の募集をします。あまり一度に集ると,載せられなくなるので,一応其内容指示をした通信を戴きたいと思います。そして1〜2ヵ月位前に原稿を送つていただくことにします。其見本を,本誌巻頭にかかげました。其に做つて,御送り願います。又当方から御発表の論文について,御依頼するものもありましよう。眼で見る診断,治療で,臨床に主体を置き,1ヵ年分位を集めては,図譜とし単行本としたいと思います。掲載原稿には薄謝を呈します。

臨床講義

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 本日は,当科初診時の所見だけからすれば一見ありふれた病気の様に思えるにも拘わらず,その実,稀にみる症例であり,治療面からも興味があると思われるので,その患者について話してみたいと思う。

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1.梗塞(Infarctus)

 我々は日常外来で瞼板腺梗塞(Infarctus glandulaetarseae)という診断をよくつける。しかしこの様な診断は妥当であろうか。現在の病理学では梗塞は循環障碍に密接な関係があるとし,その成り立ちを加味して梗塞とは吻合枝をもたない小動脈,即ち終動脈が急に,しかも永久に閉塞した場合に,その流域下に属する組織に起る壊死であると定義している。この定義に従えば瞼板腺梗塞という名称が良くないことは明らかである。眼科領域では網膜中心動脈塞栓症**にみる網膜の状態こそこの病理学に於ける定義にかなつた梗塞であろう。すでに欧米の眼病理学書にはこのような意味で網膜梗塞という言葉を使用しているのである。

 それでは瞼板腺梗塞という呼び方は全くの誤りであろうか。これをはつきりするためにはInfarctusという言葉の語源にさかのぼつて歴史をたどつてみなければならないのであろうが,実は既に緒方先生の名著病理学総論に詳しい解説があり,私の疑問は氷解してしまつた感じである。緒方先生の解説を適宜にひろいあげて次に記そう。即ちInfarctusとはラテン語のinfarcio (詰め込む)に由来し古くから医語として使われていたが,この『詰め込む』という簡単な言葉の中にその時代の思想に従つて色々な意味が盛られた。液体病理学的の考えが支配していた昔は,この『詰め込む』という概念は単純で殆んど文字通りの意味をもつていた。

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 今回は手術治療の2,3に就て報告しましよう。

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昭和29年5月3,4,5の3日間,東北大学林雄造教授司会のもとに仙台市公会堂に於て開かれる第58回日本眼科学会総会に出席すべく,私が久留米を出発したのは4月30日早朝の事であつた。丁度その朝は霞が一面にかかつていた。途中迄送つて来た妻が「一句なかるべからず」といつたので,それではと

  故郷の水繩連山かすみおり  朝霞たなびく中を学会へと言えば,妻(ミツ)は  学会に朝もやの中夫送ると言つて別れた。

基本情報

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臨床眼科
8巻8号 (1954年8月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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