銀海餘滴
血圧の生理
pp.866
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201954
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普通高血圧症といわれる疾患の高血圧には心搏出量は関係していない。血液の粘稠度は赤血球増多症にその増加が認められるがその他の疾患では余り影響がない。大動脈に硬化が起りその弾性が減ずると血液が硬いゴム管の中に押し込まれる如き状態となる為に主として收縮期血圧が上昇する。一般に老人は動脈硬化症が多少ともあるので收縮期血圧が若い人より高い値を示す。血圧に最も強く影響するのは末梢血管の抵抗である。末梢血管の中でも細小動脈の收縮と呼ばれる毛細血管に分枝する直前の動脈の收縮,拡張が血圧に最も強い影響を与える。この部に收縮が起ると血液が末梢に流出し難くなる為に最低血圧が特に高くなる。一般に高血圧症といわれるのはこの状態であつて,最高血圧も勿論高くなるがそれよりも最低血圧が高くなることが重要な意義を有する。
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