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臨床実験
先天性赤緑色覚異常者の無彩色色度混同線上に於ける感色能に就て
Congenital Hue Discrimination of red-green Blind and redgreen-Week on a Confusionline by the Test of the Point C.I.E. standard Illuminant C.
小尾 榮
1
1東京医科大学眼科教室
pp.867-870
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201955
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Young-Helmholtzの学説に依ると,赤緑色盲者は色覚健常者の有する三基本感覚の中の何れか一つを欠除した者と見做されている。故に赤緑色盲者の全ての色度は2種類の色感覚の適当な混合に依り表現されるわけである。而も此の混合比は略一定であるので,赤緑色盲者の色度は,色覚健常者の色度図上で,欠除点と呼ばれる点を通じて引かれる直線で表現される。其の結果として欠除点を通じて色度図上に引かれた直線上の色に赤緑色盲者の混同色を示しているのである。
此のYoung-Helmholtzの学説を根拠づけるものとして,Pittは1935年Wrightの色度計を用いて赤緑色盲者の色度混同線(以下混同線と略す)を決定した。即ちPittに依れば赤緑色盲混同線は何れも一定点に集結される事を証明したのである。而して此の混同線は現今ではJuddに依りC.I.E.色度図に変換されている。今此の色度図上で無彩色を示す点Cを過ぎる混同線がスペクトル軌跡と交る点は,赤色盲では493mμ,緑色盲では497mμ附近である。此の点は周知の如く赤緑色盲者の中性点であり,赤緑色盲者に依れば此の線上の色が全て無彩色に見えるわけである。然らば此の無彩色混同線上の色の識別能,換言すれば感色能が色弱者にとつてどの様に表現されるかは,未だ充分に明らかにされていない。
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