臨床眼科 73巻8号 (2019年8月)

特集 第72回日本臨床眼科学会講演集[6]

原著

  • 文献概要を表示

要約 目的:交代プリズム遮閉試験(APCT)の1眼遮閉時間の違いによる融像除去眼位の変化を検討した。

対象と方法:対象は,間欠性外斜視24名。方法は,完全屈折矯正下でAPCTを1眼遮閉時間1秒・2秒・3秒・4秒にてそれぞれ行い,融像除去眼位を定量した。一連の検査時間は48秒間とし,検査距離は近見33cm,遠見5mとした。それぞれの1眼遮閉時間で測定した融像除去眼位を最大斜視角と比較するため,今回は最大斜視角の測定として,40分間のプリズム順応試験(PAT)および1時間の1眼遮閉後のAPCT(1時間遮閉)を実施した。

結果:融像除去眼位の平均は,近見では1眼遮閉時間1秒で21.9±10.6Δ,2秒で21.4±8.7Δ,3秒で21.2±9.5Δ,4秒で21.0±9.3Δ,PATで29.1±10.0Δ,1時間遮閉で28.4±10.2Δであった。1眼遮閉時間1秒・2秒・3秒・4秒の間に有意差はなかったが,すべての秒数でのAPCTとPAT,すべての秒数でのAPCTと1時間遮閉の間に有意差があった。遠見では1眼遮閉時間1秒で9.5±6.9Δ,2秒で9.4±7.1Δ,3秒で9.3±6.6Δ,4秒で9.4±6.4Δ,PATで14.3±8.3Δ,1時間遮閉で12.6±6.9Δであった。近見同様に1眼遮閉時間1秒・2秒・3秒・4秒の間に有意差はなかったが,すべての秒数でのAPCTとPAT,すべての秒数でのAPCTと1時間遮閉の間に有意差があった。遠見においては,PATと1時間遮閉の間にも有意差があった。

結論:今回の間欠性外斜視24名においては,近見・遠見ともに,APCTの1眼遮閉時間を1〜4秒の間で変化させても,得られる融像除去眼位に影響を与えなかった。しかし最大斜視角の検出には,PATや1時間遮閉を実施する必要があると考えられた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:眼内レンズ(IOL)挿入眼における自覚屈折と乱視量,裸眼視力の関係についての検討。

対象と方法:白内障手術にて単焦点IOLを挿入し,術後1週の時点で矯正視力1.0以上を獲得した102名198眼を対象とした。平均年齢71.4±11.3歳,平均自覚屈折値−1.09±1.27D(等価球面値)であった。遠方(5m)および近方(33cm)における術後屈折値と裸眼視力の分布について検討した。

結果:各屈折値において遠方および近方裸眼視力はばらつきがみられた。屈折値(x)と裸眼視力(logMAR)(y)は有意に相関し,近似直線は遠方裸眼視力y=−0.286x+0.04,近方裸眼視力y=0.199x+0.643となり,各屈折値における推定平均小数視力は遠方10−(−0.286x+0.04),近方10−(0.199x+0.643)で表すことができた。乱視量の程度により遠方裸眼視力は有意差があった(p<0.001)が,近方裸眼視力には有意差がなかった。

結論:IOL度数決定の際に目標屈折値に対する裸眼視力の分布および目安を把握しておくことは患者との術後の見え方のイメージの共有において有用であると考えられた。目標屈折によって術中の乱視矯正の必要性や矯正方法を検討する必要があると考えられた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:血管内皮増殖因子(VEGF)阻害療法が加齢黄斑変性(AMD)治療の主流となった今日における,光線力学療法(PDT)施行の実情調査の報告。

対象と方法:2013年以降に初回PDTを実施し,3か月以上経過観察した滲出型AMD 16例16眼が対象である。PDTの使用理由,追加治療の有無,視力予後につき診療録をもとに後ろ向きに調査した。

結果:PDT後の経過観察期間は3〜48か月(平均16.1±14.1)で,PDT施行の理由は,VEGF阻害薬に抵抗8眼,初回治療でVEGF阻害薬と併用4眼,硝子体術後4眼であった。滲出性変化はVEGF阻害薬に抵抗例の半数で消失,初回併用群や硝子体術後では再燃や無効例が多くみられた。追加治療はVEGF阻害療法15眼,PDTの追加1眼であった。平均視力はPDT前と後1,3,6,12か月で有意差はなかった。最終視力はlogMAR 0.3以上を変化ありとすると,改善12.5%,不変50%,悪化37.5%で,悪化の主な理由は線維血管性網膜色素上皮剝離や黄斑萎縮であった。

結論:VEGF阻害療法単独で治療困難な症例のなかには,PDT施行後に鎮静化が得られる症例が存在する。AMDに対するPDTの適応については,今後も検討を要する。

  • 文献概要を表示

要約 目的:家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)と考えられる新生児を治療し,それにより父親の網膜硝子体異常が発見された1例の報告。

症例:妊娠38週0日,2,567gで出生した女児。出生直後の呼吸不全により高濃度酸素を投与された。未熟児網膜症(ROP)スクリーニング目的で修正週数40週,体重2,455g時に眼底検査を施行した。網膜血管の蛇行・拡張や異常吻合,周辺部の無血管野が発見され,両眼に網膜光凝固術を施行した。家族の検索で,父親の網膜周辺部に網膜血管の形成不全と異常吻合が認められ,FEVRの家系と考えられた。

結論:ROP様の眼底所見を示した新生児ではFEVRの可能性も念頭に置き,その家族の眼底検査も施行されるべきである。

  • 文献概要を表示

要約 目的:網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)発症後の硝子体出血に対し硝子体手術を行った症例から,手術成績と網膜光凝固(PC)の必要性について検討した。

対象と方法:対象は2013年4月〜2018年3月に自治医科大学眼科でBRVO発症後に硝子体出血を生じた眼に対し硝子体手術を施行した46例46眼。術前PCの有無,術前・術後視力,術後視力と術前PCの有無,無血管野の部位と術後視力,術中・術後合併症について後ろ向きに検討した。

結果:硝子体手術前に31例(67%)でPCが施行されていた。術後視力1.0以上は29例(63%)で得られた。術前PCの有無と術後視力との間には関連はなく,網膜血管アーケード内に無血管野があるものでは術後視力が不良であった。術中・術後合併症は10例にみられた。

結論:術前にPCが施行された症例が多かったが,術後視力は良好であった。術前PCの有無は術後視力に影響はなかった。PCの必要性についてはさらに検討が必要と考えられた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:網膜色素変性症(RP)眼は進行性に網脈絡膜萎縮を起こすので,中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)を発症しにくいとされている。今回筆者らは,RPにCSCを併発した症例を経験したので報告する。

症例:症例は37歳,男性。健康診断で右眼の視力低下を指摘され近医を受診し,RPの診断で精査加療目的に当科を初診した。初診時視力は,右(0.5),左(1.5),眼圧は左右ともに15mmHgであった。両眼とも周辺赤道部に網膜血管の狭小化,骨小体様の色素沈着を伴う網脈絡膜萎縮を認めた。網膜電図にて錐体・杆体応答ともに振幅の低下を認めた。右眼黄斑部に漿液性網膜剝離(sRD)を認め,フルオレセイン蛍光眼底造影で蛍光漏出点を認めた。以上よりRPに併発するCSCと診断した。CSCに対しては,蛍光漏出点に網膜光凝固術を行った。いったんはsRDは改善したものの,再発を繰り返し,その後も複数回の網膜光凝固術を要した。

結論:RP患者でのCSC発症は稀であるが,いったん発症すると治療に苦慮する可能性がある。

  • 文献概要を表示

要約 目的:MPO-ANCA陽性高齢男性の片眼前部虚血性視神経症(AION)のみを呈し,他臓器に血管炎を認めず経過した1例を経験したため報告する。

症例:患者は80歳,男性。1か月前から前額〜側頭,側頸,腰背部に軽度の鈍痛が持続し,左眼視野の中心に暗点を自覚し前医を受診した。左眼の視力低下,水平半盲を認めAION疑いで当科を紹介され受診となった。左眼は矯正視力0.1,RAPD陽性,視神経乳頭発赤腫脹を認めた。血液検査での炎症反応高値から巨細胞性動脈炎によるAIONを疑ったが,後日MPO-ANCA陽性を示しMPO-ANCA関連血管炎によるAIONの診断となった。全身検査で他臓器に血管炎症状はなかった。ステロイド療法を開始し,左視力は0.4まで回復したが視野障害の改善はなかった。ステロイドを漸減し現在までにAIONの再発,他臓器の炎症所見およびMPO-ANCA値の上昇はない。

結論:AIONの診断および治療に際しては,巨細胞性動脈炎の有無だけではなく,MPO-ANCA血管炎の可能性にも留意し,検査および治療することが重要である。

  • 文献概要を表示

要約 症例:69歳,女性。1か月前からの視力低下を主訴に近医眼科を受診した。右眼ぶどう膜炎を疑われ当院に紹介受診となった。既往歴には化学療法中のS状結腸癌がある。

所見:初診時,右眼矯正視力0.06,右眼に前部ぶどう膜炎,硝子体混濁,網膜動脈炎,視神経萎縮を認めたため急性網膜壊死を疑ったが,網膜の滲出斑はなかった。前房水のポリメラーゼ連鎖反応で水痘・帯状疱疹ウイルスが検出された。外科との調整に時間がかかり,初診から約2週間後の入院となった。入院時には右眼視力は光覚弁まで低下し,網膜全剝離の状態であった。アシクロビル点滴加療を開始のうえ,右眼硝子体手術+水晶体再建術+輪状締結術+シリコーンオイルタンポナーデを施行した。術後,光干渉断層計で,進行性網膜外層壊死に特徴的である網膜外層の消失を認めた。

結論:本症例において,典型的な急性網膜壊死にしては比較的眼炎症所見が軽度であり,一部進行性網膜外層壊死の特徴もあった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:1年前の受傷が疑われる硝子体内鉄片異物の症例の報告。

症例:患者は14歳,男児。右眼視力低下を主訴に前医を受診し,右眼外傷性白内障の診断で当院に紹介され受診となった。初診時,右眼視力は手動弁で角膜穿孔痕と成熟白内障を認めた。1年前に金槌を扱っているときに右眼に異物が飛入したが,眼科を受診しなかった。Bモードエコーでは下方に網膜剝離が疑われ,CTで眼球下方に高吸収域を認め,硝子体内異物と診断した。網膜電図(ERG)ではb波の減弱(健眼の50%以上)や杆体・錐体応答ならびにフリッカ応答の異常を認め,眼球鉄症を発症していると考えられた。全身麻酔下に水晶体超音波乳化吸引術,硝子体手術と輪状締結術を行った。術中に鉄片異物と網膜裂孔,網膜下増殖組織を伴う増殖硝子体網膜症を認めたため,異物除去,硝子体切除後,シリコーンオイルタンポナーデを行った。3か月目にシリコーンオイル抜去と眼内レンズ挿入を行い,術後半年で右眼視力(1.2)を得た。

結論:受傷後1年以上経過した眼内異物の症例を経験した。硝子体内鉄片異物による眼球鉄症の視力予後予測にERGは重要であるが,増殖硝子体網膜症合併時にはERG所見が修飾されることがある。

  • 文献概要を表示

要約 目的:涙小管断裂の治療は涙道を再建する必要があるが,同定したにもかかわらず涙小管断端径が小さくシリコーンチューブの挿入が困難な症例が存在する。本症例ではピッグテールプローブと涙道内視鏡を用いて,シリコーンチューブの挿入が完遂できた症例を経験したので報告する。

症例:患者は71歳,男性。転倒し左眼周囲を受傷した。受傷3日後に左下涙小管断裂で当科に紹介され受診した。初診時,左鼻根部の眼瞼裂傷と左下涙小管断裂を認めた。受傷4日後に左下涙小管再建術を施行した。

所見:涙小管の中枢側断端を検索するも発見できず,ピッグテールプローブを上涙点から挿入し同定した。次に同定した中枢側涙小管にチューブ挿入を試みたが,断端組織の挫滅と収縮が強くチューブ先端が挿入できなかった。そこで,チューブの先端を切断しピッグテールプローブの先に連結したところ容易に上涙点より引き抜くことができた。さらに,上涙点から涙道内視鏡を用いて挿入したシースと連結して下鼻道へと引き抜くことで鼻腔まで安全に挿入できた。チューブ他端も上涙点から涙道内視鏡を使用してチューブを挿入した。術後の左眼通水性は良好であった。

結論:涙小管の中枢側断端に直接チューブを挿入できない場合,ピッグテールプローブにチューブを連結し,対側涙点より引き抜いてから挿入する方法は安全かつ有効であると考えられた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:角膜内リング(ICRS)挿入後の円錐角膜を伴う白内障手術時に術中波面収差解析装置(ORATM)を使用し,トーリック機能付き単焦点眼内レンズ(T-IOL)を挿入した1例の報告。

対象と方法:64歳の男性の両眼円錐角膜に対して,角膜形状を改善する目的で両眼にICRSを挿入した。その9か月後に両眼に白内障手術を施行した。白内障術中のORATM測定解析結果より,右眼+14.5D,左眼+16.0DのAcrySof® IQ TORIC SN6AT4(Alcon社)を,それぞれORATMが推奨する乱視軸(右眼107°,左眼78°)に挿入した。

結果:術後遠見視力は右1.2(1.5),左1.0(1.2),近見視力は右1.0(1.2),左1.2p(1.2)であった。患者満足度も良好であった。

結論:円錐角膜を伴う白内障手術で,ICRSにて角膜形状を整えたうえで,ORATMを併用したT-IOL度数および乱視軸決定を行い,良好な術後視力が得られた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:毛様体黒色細胞腫の続発緑内障に二期的手術を行った症例の報告。

症例:73歳,男性。眼圧降下薬を多剤併用するも左眼の眼圧コントロール不良のため当科を紹介され受診した。前房内に多量の黒色色素細胞を認め,5時方向の虹彩に隆起を認めた。前眼部光干渉断層計で5時方向の虹彩裏面に充実性腫瘤を認めた。毛様体黒色細胞腫による続発緑内障と臨床診断し,眼圧下降目的に初回手術として経強膜毛様体腫瘍摘出術を行った。病理検査結果は黒色細胞腫であった。術後も高眼圧が継続し,炎症の沈静した時期に,二期的手術として濾過手術を行い,無投薬で良好な眼圧コントロールを得た。

結論:毛様体黒色細胞腫の続発緑内障に対し,二期的に手術を計画することが有効な可能性がある。

連載 今月の話題

  • 文献概要を表示

 近視進行抑制治療の確立は世界的にも最重要かつ急務の課題の1つであり,将来的なquality of vision(QOV),quality of life(QOL)を守るという観点のみならず,医療経済的な観点からも社会へ及ぼす影響はきわめて大きく,研究者が総力を挙げて取り組むべきテーマである。本稿では近年の近視研究に関して臨床研究を中心としてレビューし,その潮流について解説する。

連載 症例から学ぶ 白内障手術の実践レクチャー・術後編19

眼内レンズ偏位・脱臼 西村 栄一
  • 文献概要を表示

Q 60歳男性が10年前に他院で白内障手術を受けました。突然の右眼の視力低下で近医を受診したところ,眼内レンズ(intraocular lens:IOL)がずれていると言われ,当院を紹介され受診しました(図1)。どのような術式を選択したらよいでしょうか?

連載 眼炎症外来の事件簿・Case12

  • 文献概要を表示

患者:66歳,男性

主訴:左視力低下

既往歴・家族歴:高血圧(10年前),その他の特記事項なし

現病歴:20XX年9月,両眼の視力低下を自覚したため近医眼科を受診したところ白内障を指摘された。左眼の視力がより悪かったので,翌年(20XX+1年)3月に近医で白内障手術を行った。術後経過は良好で,左矯正視力は1.5であった。手術時期と定年退職が重なり,視力が改善したことで趣味の園芸に集中できると喜んでいた。

 20XX+1年10月に左眼結膜下出血,軽度の虹彩毛様体炎を認めた。右眼は異常なし。近医でレボフロキサシン(クラビット®)4回/日,およびベタメタゾン(リンデロン®)4回/日点眼を開始し,2週間で炎症が軽快したために点眼は中止された。

 20XX+2年1月に,再度左充血と視力低下を自覚し近医を再診した。矯正視力は右1.5,左1.0,眼圧は右14mmHg,左45mmHgであった。左前房内炎症が増強し,後発白内障も認めた。近医からアセタゾラミド(ダイアモックス®)1回2錠・1日2回を処方され,翌日に九州大学病院眼科を初診した。

生活歴:喫煙10本/日(20年)。ペット飼育歴なし。海外はハワイ旅行のみ。出身地は福岡県であった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:内臓型トキソカラ症発症から5年後に眼トキソカラ症を発症した症例の報告。

症例:患者は46歳,女性。20日前から右眼霧視を自覚した。近医でぶどう膜炎と診断され加療を行っていたが改善なく当院を受診した。5年前に内臓型トキソカラ症の既往がある。

所見:矯正視力は右0.4で,右眼にわずかな前房炎症細胞と濃厚な網目状硝子体混濁を認めた。初診から10日後,網膜下方最周辺部に白色隆起性病巣,また耳側周辺部にも白色病巣が出現した。所見および既往歴から眼トキソカラ症と診断した。その後,硝子体の混濁および器質化が増強し網膜牽引を認めたため,硝子体手術を施行した。術中採取した硝子体液からは抗トキソカラ抗体ならびにトキソカラDNAが検出され確定診断を得た。初回手術後も増殖膜による牽引性網膜剝離が2度生じ,その都度硝子体手術を行い,最終矯正視力は0.4で病勢は鎮静化している。

結論:内臓型トキソカラ症の既往がある場合,長期間経過していても眼トキソカラ症を発症する可能性がある。

今月の表紙

  • 文献概要を表示

 患者は60歳,女性。ドライアイにてヒアルロン酸ナトリウム,およびレバミピド点眼を継続中に右眼の充血,眼脂,鼻汁もでるとの訴えで当院を再診した。下眼瞼結膜に濾胞を認め,角膜に混濁はなかった。ガチフロキサシン,フルオロメトロン点眼を処方し経過観察するも症状が軽快しないため再度受診し,その際,フルオレセイン染色下で角膜に典型的な樹枝状のヘルペス性角膜炎を認めた。アシクロビル眼軟膏に変更したところ1週間後には角膜炎は消失し,その後再発はない。

 撮影には3CMOSフルHDカメラMKC-700HD(池上通信機)を用いた。接眼部の視度調整を厳密にし,光量は最大に上げ,角膜反射が入らない角度で光を当てて,絞りを十分に絞り,フルオレセインは少量に抑え滲まぬうちに素早く撮影した。

海外留学 不安とFUN・第44回

  • 文献概要を表示

フランス・パリ

 私は2017年4月〜2019年3月までフランス・パリにあるラリボワジエール病院で勤務していました。パリ第7大学の主任教授であるRamin Tadayoni教授をはじめ,関連病院の眼科の皆様,Tadayoni教授をご紹介くださった名古屋市立大学の小椋祐一郎教授,国内外関係各位に心から感謝いたします。ラリボワジエール病院は北駅のすぐ隣にあり,ロンドンへ行こうと思えばユーロスターでたったの2時間半程度,ドイツへも近いところでは,3時間半程度で電車で行くことができ,とても交通の便の良い所にあります。

  • 文献概要を表示

 総合診療外来をしていると,患者さんから「先生は専門ではないかもしれないけれど……」と遠慮がちに目,耳,皮膚などに関するさまざまな訴えを聞くことがある。また,夜間の救急外来をしていると,「急に見えなくなった」「眼外傷」「眼異物」といったことを経験するが,これらは決して頻度が多いわけではなく,忘れた頃にやってくる。プライマリ・ケア医や救急医は眼科医とは違い,まれにしか経験できない眼疾患に,ほとんど道具を使うことなく判断することを迫られる。「正直,無理な話である」(心の声が叫びを上げる……)。それでも何とか道具を使いこなしたいと思い,眼科医に眼底鏡の使い方について相談してみると,「直像鏡はほとんど使わない」とあっさり退けられたりもする。ジェネラリストと眼科医では同じ眼診療を行う場合でも,まったく診療スタイルが違うのである。そんなとき,ジェネラリストと眼科医の架け橋となってくれるような書籍が登場した。本書『ジェネラリストのための眼科診療ハンドブック』である。非眼科医が困りそうなツボを熟知する眼科医が著した,ジェネラリストのための救世主のような一冊である。

 本書の構成は3部構成からなり,第1部では救急外来で遭遇しそうな眼疾患でも,専門医対応が必要な疾患・病態について,「急ぐべきか,翌日でもいいのか」という視点で述べられている。第2部では,総合診療外来で患者が眼科医ではなく,かかりつけの先生に訴えそうな眼症状について取り上げており,眼科医ではなくても対応可能な眼疾患についてのアドバイスがわかりやすく解説されている。そして第3部では,われわれプライマリ・ケア医も眼科医に質問してみたい,コンタクトレンズや市販の点眼薬に関する情報がまとめられており,読みながら「へ〜」「そうなんだぁ」とついついうなずいてしまう。そして,巻頭・巻末の見返しページでは「かんたん眼科メモ」として「眼の解剖生理」「患者の年代別に頻度の高い眼科疾患」などを掲載しており,限られた紙幅を有効に活用したい石岡みさき先生の熱い思いを感じさせる。

  • 文献概要を表示

 『プロメテウス解剖学 コア アトラス』は,21世紀に入り新たに作成された解剖学アトラス「プロメテウス解剖学アトラス」3分冊より,特に学生教育を意識して創られた。本シリーズは,当初より図版の美しさが話題となり,欧州で数々の賞を受賞し,今や独語から英語や日本語などにも翻訳され全世界に広まっている。

 まず第1の特徴である図版の完成度については,最新のコンピュータグラフィックスを駆使して作成される図版は,本書でも健在である。部位によるばらつきの少ない統一された仕上がりは,実物に近い質感を備えながら,かつ強調されるべき構造をきちんと伝え,より「リアル」が実現されている。従来の描き手の思いが伝わるデフォルメを最小限としたことで,かえって初学者は自然な形で人体の理解が進められる。

--------------------

目次

欧文目次

第37回眼科写真展 作品募集

ことば・ことば・ことば その他
  • 文献概要を表示

 日本でもほとんどの方が論文を書くときにはラテン語を使っています。

 文献を引用するときには,著者が3名までなら全員の名前を書き,4名以上なら「その他」とするのが通例です。日本人であれば,小松左京・筒井康隆・日高敏隆・他のようになりますが,外国人だと,Schubert F, Mozart W, Brahms J et alと,「その他」をet alにします。

べらどんな 戦争病
  • 文献概要を表示

 民族が移動すると,病気も一緒についてくることがある。

 その壮大な例が十字軍である。西暦11世紀から200年間,断続的にあったこの戦争では,聖地エルサレムの奪回はできなかったが,代わりに大変な「おみやげ」を貰ってきた。ヨーロッパに帰る船にネズミが乗り込んで,その後ペストが大流行するきっかけになったからである。

学会・研究会 ご案内

希望掲載欄

アンケート用紙

次号予告

あとがき 坂本 泰二
  • 文献概要を表示

 現在,梅雨の合間に見える青空を見ながら拙文をしたためておりますが,本号が皆様の眼に触れるのは,夏真っ盛りという頃かと思います。気象庁によると今年の夏の暑さは平年並みとのことですが,実際のところはいかがでしょうか。その暑さも落ち着くであろう9月には,東京医科歯科大学教授大野京子会長のもとで,国際近視学会が開催されます。世界中の近視研究者が一堂に会する学会になります。これを機会に,わが国でも近視についての理解が広く進むことを期待します。

 さて,本号の「今月の話題」は,平岡孝浩先生による「近視進行抑制について」です。現在の近視研究について,非常にわかりやすく解説されています。国際近視学会の開催時期に合わせたわけではないですが,時宜を得た企画ではないでしょうか。私が大学生であった1980年代には,近視は病気ではないという言説や,甚だしいものでは日本人は眼鏡をかけることを厭わないので,むしろ近視は生活に有利であるという説を聞かされることも少なくありませんでした。しかし,近視はわが国の中途失明原因の上位を占めるようになりましたし,世界中で近視の罹患率が急速に高まっていることを考えると,これからの30年は近視を克服することが,眼科に課せられた大きな課題だと考えます。眼科専門誌『RETINA』の編集長Bruker先生も同じ意見で,これからの大きな課題は近視であると言われたことを思い出します。

基本情報

03705579.73.8.jpg
臨床眼科
73巻8号 (2019年8月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

文献閲覧数ランキング(
7月27日~8月2日
)