臨床眼科 73巻2号 (2019年2月)

特集 眼内レンズ偏位・脱臼に対する手術—最新版

企画にあたって 寺崎 浩子
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 眼内レンズの普及から時間が経ち,また高齢化に伴って,眼内レンズの位置異常や落下はしばしばみられるようになりました。落下した眼内レンズはおそらく摘出交換,あるいは眼内に置いたままで縫着または固定されることと思いますが,さほど偏位が大きくない場合には様子をみることもあります。比較的緊急手術で行われるため,日頃から必要な術前検査,選択術式などをパターン化しておかなくてはなりません。

 本特集では,いざ患者様に出会ったときルーティンとして選択できる方法をわかりやすく解説していただきました。

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はじめに

 高齢化社会に伴い,白内障のために手術を施行する数は年間120万件以上といわれている。眼内レンズ(intraocular lens:IOL)が挿入された偽水晶体眼の数も年々増加し,結果IOLが関連した術後合併症であるIOL偏位・脱臼も以前と比べて増加傾向にある。しかし,一般的な眼科外来ではそれほど多い症例ではなく,診断や手術の適応を判定することが難しい。本稿ではIOL偏位と脱臼の診断,手術の適応を判断する方法と実際に手術を行うために注意すべき所見を解説する。

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はじめに

 眼内レンズ(intoraocular lens:IOL)偏位や硝子体腔への落下はたびたび遭遇するようになった。IOLの落下や脱臼の原因はさまざまであるが,その程度により摘出方法は異なるものの,基本手技やちょっとした工夫により,その難易度は軽減できる。基幹病院の術者はそれらの手技を会得しておいたほうがよい。また,IOL摘出術時には特有のリスクもあり,摘出時に眼内組織への障害をいかに少なくし,術中合併症予防や術後の炎症軽減も念頭に置いて手技や術式を選択しなければならない。

2次挿入レンズの選択 秋元 正行
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はじめに

 眼内レンズ(intraocular lens:IOL)を入れ替える際,新しいIOLを囊内に再挿入することは通常困難である。2次的に挿入するIOLをどのように固定するか? 手術計画によって使用に適したIOLは変わってくる。2次挿入としては囊外固定,縫着固定,強膜内固定があるが,いずれにも共通することは,全長の長いレンズ,光学径の大きいレンズ,偏位に強いレンズが使いやすい。以下,術式に合わせて解説する。

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はじめに

 水晶体囊による支持がない場合の眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の固定を行う場合,近年では新たな術式として強膜内固定による症例が増えてきた1〜3)。しかし,従来型の縫着術も症例や術者によっては特に有用であると考えられ,今なお習得やアップデートが望ましい術式であると考えられる。本稿ではIOL縫着術の基本的な術式,特にab externo法を中心に解説する。

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はじめに

 近年,チン小帯脆弱や断裂を伴ういわゆる難症例に対する白内障手術が,白内障手術器械の性能の向上,補助デバイスの充実,術者の技量の向上に伴って,一昔前であれば眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の囊内固定まで至らなかった白内障手術が,囊内固定まで完遂できる確率が高まっている。術直後に良好な結果が得られて喜ばしい反面,術後の経過中にIOLが偏位・脱臼する症例が増えている1)。その状況には,硝子体トリプル手術の普及や硝子体注射治療件数の増加などもさらに追い打ちをかけており,したがってわれわれは確実に偏位・脱臼したIOLに遭遇する頻度が増えている2,3)

 白内障手術後のIOL偏位・脱臼には,軽微な偏位レベルから完全に硝子体中に落下している重度のものまである。3か月以内に早期に発生するものと,それ以降に分けて考えると,早期は後囊破損やチン小帯断裂によるものが多く,晩期ではチン小帯脆弱化が慢性に進行して断裂に至るものが多く,偽落屑症候群,外傷,硝子体術後眼,マルファン症候群に代表される全身結合組織異常などが背景にある例が多い。近年,広く用いられているアクリルワンピースIOLが脱臼した場合は,IOLを摘出して別のIOLを縫着や強膜内固定することになるが,条件が合えば使用中のIOLを眼内で再利用する眼内固定を行うことができる。IOLを取り出さずに眼内固定を行うと,惹起乱視が少なくてQOV(quality of vision)が保てる可能性が高くなる4)。本稿では,どのような症例で眼内2次固定が可能であるか,その手技について述べる。

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はじめに

 近年のわが国における白内障手術件数の増加により,チン小帯脆弱例など難症例に遭遇する機会が増えている。術中にチン小帯が広範囲に断裂した症例や,術後無水晶体眼に対しては,縫着や最近登場して注目を集めている強膜内固定1〜5)に代表される眼内レンズ(intraocular lens:IOL)2次挿入術が用いられる。さらに,最近の傾向として,術後数年経過してからIOL偏位や脱臼を認める症例が増加しており,IOL 2次挿入術の重要性は増すばかりである(図1)。

 本稿では,強膜内固定の鑷子法の1つであるT-fixation technique,IOL偏位・脱臼に対する新しいIOL摘出法であるL-ポケット切開法,T-fixation techniqueとL-ポケット切開法を併用した整復術,強膜内固定に適したIOLの選択,偏位・脱臼IOLの再利用の是非について述べる。

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はじめに

 眼内レンズ(intraocular lens:IOL)強膜内固定術は,縫合糸を用いずにIOLを強膜へ固定するため手術操作が少なく手術時間が短縮できること,縫合糸の加水分解や露出といった縫合糸関連の合併症がないことが利点として挙げられる。フランジ法はIOL強膜内固定術のなかでも最もシンプルで低侵襲であると同時に強固なIOL固定を得ることができる術式である1)。IOLの支持部を引き出すために,必要な最小限の強膜創しか作製しないため,出血や感染のリスクが軽減し,IOL支持部に作製するフランジが創閉鎖と支持部固定性の向上に貢献する。小切開を実現するためには,いくつかのコツが存在する。本稿では,フランジ法の基本的な流れと大切なポイントについて解説する。

連載 今月の話題

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 眼感染症は,眼表面に常在する微生物や,環境由来の微生物によって起こる。その的確な治療には,起炎微生物の同定が必要であり,起炎微生物を同定するためには生体組織を採取しなければならない。採取できる眼材料は微量であり,環境由来の微生物には難培養なものもある。分子生物学的手法は,そのような眼感染症診療の難点を解決するための有用な診断ツールとなりうる。しかし,手法によっては高感度ゆえに誤診につながる可能性もある。各手法の特徴を理解し,結果を正しく解釈するために,古典的診断法と併用することが望ましい。

連載 症例から学ぶ 白内障手術の実践レクチャー・術中編13

白内障術中合併症例 鈴木 久晴
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Q 超音波水晶体乳化吸引術(phacoemulsification and aspiration:PEA)中に,ある程度大きい核片を破砕吸引しようとしたときに,チップの前から逃げてしまい吸引できません(図1)。このとき何が起きていて,どのように対処すればよいのでしょうか?

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患者:68歳,男性

主訴:左視力低下

既往歴・家族歴:20歳時に事故で脾臓摘出

現病歴:1年前から左眼の視力低下の自覚があり前医を受診し,角膜後面沈着物を伴う前房内炎症,硝子体混濁を認めたため,ステロイドのテノン囊下投与を3回施行するも炎症の改善を認めなかった。悪性リンパ腫を疑い硝子体手術を施行したが,硝子体液中のインターロイキン(interleukin:IL)-6 181pg/ml,IL-10 10pg/ml,細胞診negativeであり,悪性リンパ腫は否定的であった。術後にステロイドの内服加療も追加したが,経過中に黄斑部に滲出斑が出現したため,当院眼炎症クリニックを紹介され受診となった。なお,当院紹介時にはプレドニゾロン20mg内服および0.1%ベタメタゾン点眼1日4回が処方されていた。

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緒言

 霰粒腫は瞼板のマイボーム腺に起こる慢性肉芽腫性炎症である。大きくなったものは,瞼に円形から楕円形の隆起として見えるが,初期のものは見てもわからず,触診すると皮下に小さな固い硬結として触れるが,無症状なので見逃すことも多い。

 今回,筆者らは超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicroscopy:UBM)と通常の超音波B-モードを用いて眼瞼皮膚の隆起性病変を検査し,霰粒腫と診断し摘出した。

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要約 目的:眼内レンズ(IOL)毛様溝縫着術後の瞳孔捕獲に対してTram-track suture法による治療を行い,視機能の変化および術後IOLの位置について評価する。

症例:67歳,男性。左眼IOL亜脱臼のため前医でIOL抜去+IOL縫着術を施行し,術後IOLの偏位を認め,再度IOL縫着(CZ70BD,Alcon社)を行った。術後3か月より左眼の充血,視力低下を自覚し,はなみずき眼科を受診した。左眼視力は0.6(0.8×−1.5D()cyl−2.25D 78°),左眼圧は26mmHg,左眼に毛様充血,IOLの瞳孔捕獲を認めた。散瞳下でIOL整復を行ったのち,縮瞳薬で治療するも瞳孔捕獲の再発を繰り返した。Tram-track suture法にて12時および6時方向に縫着用10-0プロリン糸をIOLと虹彩間に通糸し,IOLの脱出をブロックした。術後眼圧は正常化し,裸眼視力および乱視も改善した。OPD-Scan®Ⅲ(NIDEK社)によりコントラスト感度を波面収差から他覚的にシミュレーションした解析グラフのarea ratio値は,術前の14.3%から術後21.2%まで改善した。また,前眼部光干渉断層計(AS-OCT/CASIA2)によりIOL前面に2本平行したブロック糸が確認でき,IOLとの距離は左右均等,IOLの傾きと偏位は軽度で,術後観察2年間再発はなく経過良好であった。

結論:Tram-track suture法は縫着IOLの偏位,瞳孔捕獲の治療に有効で,CASIA2 AS-OCTはIOL偏位の評価に有用であった。

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要約 目的:眼内レンズ(IOL)(エタニティー®,参天製薬)の挿入後早期に,光学部に発生する霧状の混濁(steam-like clouding)の臨床的特徴の報告。

症例:“Steam-like clouding”を生じた白内障単独手術例3眼,硝子体とのトリプル手術5眼の計8症例である。

所見と経過:術後数日以内に,光学部の房水と接する前房側表面にのみ“steam-like clouding”が観察された。発症時点で視力障害を認める。混濁は数週で自然吸収する症例が多いが,混濁が残存し視力障害の改善のために吸引除去が必要な症例もあった。発生率は白内障単独手術では0.09%であり,硝子体トリプル手術では0.64%と推定される。

結論:“Steam-like clouding”は,エタニティー®に術後早期に発症する原因不明の特異な混濁現象であり,予後は良好である。

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要約 目的:抗癌薬TS-1®の投薬と休薬により角膜上皮障害の改善と悪化を繰り返した症例を報告する。

症例:64歳,女性。1999年に右乳癌に対し乳房切除術施行。2010年に骨盤および腰椎へ転移が認められたため抗癌薬治療を開始し,2011年よりTS-1®内服を開始した。2014年より右眼流涙,疼痛,視力低下が出現し,当院初診となった。視力は右(0.4),左(1.2)。両眼とも上方角膜輪部より角膜中央に向かって渦巻き状の角膜上皮不整を認めた。TS-1®を休薬したところ3か月後に上方角膜にクラック様の上皮不整が認められたが,両眼視力は(1.2)に改善した。TS-1®内服の再開により約3か月で角膜上皮の不整が瞳孔領まで進行し,再度視力が低下したため,TS-1®を休薬すると角膜上皮不整の改善と視力回復が得られた。

結論:本症例では,TS-1®内服により上方角膜幹細胞の増殖抑制が生じ,角膜上皮不整を生じたと考えられる。TS-1®を休薬することで角膜病変が改善した。さらに長期の投与により角膜上皮幹細胞の疲弊による不可逆的な障害を生じる可能性が推測される。TS-1®の長期投与による経時的な影響に関しても注意する必要がある。

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要約 目的:原発開放隅角緑内障(POAG)と落屑緑内障(XFG)におけるEX-PRESS® glaucoma filtration device併用濾過手術(EX-PRESS)の中間成績を報告する。

対象および方法:大阪医科大学眼科にてEX-PRESSを施行し,術後3年以上経過観察できた26例32眼。POAG群(14例18眼),XFG群(12例14眼)における術後3年までの成功率,眼圧,点眼および視野スコア,角膜内皮細胞数,強膜弁縫合数,レーザー切糸数を比較検討した。手術成功は,定義1を眼圧21mmHg以下,定義2を眼圧15mmHg以下とした。

結果:術後1年成功率はPOAG,XFG群それぞれ定義1(96%,95%),定義2(92%,83%),術後3年(78%,60%),(62%,33%)であった(定義1,p=0.41,定義2,p=0.01)。術後3,6か月,1,3年で眼圧,術後3年で点眼スコアがXFG群において有意に高かった。視野スコア,角膜内皮細胞数,強膜弁縫合数,レーザー切糸数は両群間に有意差はなかった。

結論:XFGに対するEX-PRESSの中間成績は,POAGと比較し劣る可能性がある。

今月の表紙

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 症例は64歳,男性。3か月前より左眼中心暗点を自覚し近医を受診し,精査目的にて当院を紹介され受診した。初診時視力は右0.15(1.2×−3.25D),左0.1(1.2×−2.75D()cyl-0.50 D90°),眼圧は左右ともに15mmHgであった。中間透光体には軽度白内障がみられ,既往歴は高血圧症。OCTでは左黄斑部に軽度の浮腫を認めた。

 眼底所見にて左眼黄斑近傍に毛細血管瘤および白鞘化血管が認められたため,フルオレセイン蛍光眼底造影検査を施行した。左眼のみではなく右眼にも黄斑部毛細血管に拡張や閉塞・毛細血管瘤が認められ,造影後期では拡張部に一致した部位に淡く蛍光漏出が観察されたため,傍黄斑血管拡張症と診断した。

海外留学 不安とFUN・第38回

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スタンフォード大学(ベイエリア)

 現在私は,米国カリフォルニア州スタンフォード大学眼科のMary M. and Sash A. Spencer Center for Vision Research, Jeffrey Goldberg研究室に所属して,緑内障の基礎研究を行っております。スタンフォード大学は,アメリカ西海岸サンフランシスコから車で約1時間南に行ったところにあり,世界で2番目に広いキャンパスは世界中から集まった学生で活気に満ちております。「自由の風が吹く」を校訓に,コンピュータ関連企業の創始者OBを多く輩出し,シリコンバレーの中心となっています。

 シリコンバレーはイノベーションの聖地,天才たちがしのぎを削る場所といった印象で,近くには,アップル,フェイスブック,グーグル,マイクロソフト,インテル,ヤフーなどのIT企業の本社が並んでおり,私の研究室はプリンターなどで有名なヒューレット・パッカード社の隣にあります。周りの道路では,自動運転の電気自動車で有名なテスラが日常の足として多く見かけられ,さらにグーグル傘下のウェイモや,アップルが開発途中であるプロトタイプの車が自動運転のテスト走行をしており,すでに日常の光景となっていることに驚きます。そのような環境のなか,研究所ではGoldberg教授直属のプロジェクトチームに属し,緑内障に対する新たな治療法の開発を目指して勉強しております。

Book Review

国際頭痛分類 第3版 下畑 享良
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 頭痛はさまざまな診療科の医師がかかわるコモン・ディジーズである。脳神経内科,脳神経外科,内科,小児科医,総合診療医のみならず,耳鼻咽喉科や眼科,ペインクリニックなどにも患者が訪れる。また救急外来においても多くの頭痛患者が来院する。よってこれらの医師は頭痛診療をマスターする必要があるが,頭痛の診断や治療は必ずしも容易ではない。それは,頭痛は非常に多彩な原因があるため,正しい診断にたどり着かず,その結果,正しい治療が行われないことがあるためである。頭痛は患者のQOLに直結し,かつ生命にもかかわることがあるため,正しい診療がなされない場合,患者への影響は大きい。また医師の立場からすると,自らの診断や治療による頭痛の改善の有無が明瞭にわかるため,改善が乏しい患者を複数経験した結果,頭痛診療を苦手と感じてしまう。その一方で,正しく診断,治療し,患者から「頭痛が良くなった」という報告を聞くときは非常に嬉しく,やりがいを感じる。

 私は,病棟の若い医師に,頭痛の診断をする際には『国際頭痛分類 第3版』に則って診断をするように強く勧めている。分類を暗記する必要はなく,病棟や外来に一冊置いて,必要に応じてその都度,辞書のように使用する。初めは億劫で,内容も複雑に思えるかもしれないが,継続して丹念に頭痛を分類に当てはめることにより,徐々に頭痛診療において重要なポイントがわかってくる。明白な片頭痛や緊張型頭痛であればこの分類は必ずしも必要はないが,診断がはっきりしないときや,その他の特殊な頭痛が疑われる場合には非常に有用である。治療については併せて『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』を読み実践することで,頭痛診療の能力は飛躍的に向上する。そこまで到達したらぜひ日本頭痛学会の定める認定頭痛専門医にも挑戦していただきたい。

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 オックスフォード大名誉教授のロバート・トワイクロス先生を知らずして緩和ケアに携わっているメディカルスタッフはいないと言っても過言ではないほど,わが国をはじめ世界中でトワイクロス先生の書かれた著作は生きた教科書として使われている。

 私も緩和ケアにかかわりを持つようになって30年余り過ぎたが,自分の人生でハイライトとなったのが,2008年10月に開催した第2回日本緩和医療薬学会の年会長としてパシフィコ横浜にトワイクロス先生を招請できたことである。メインホールが通路まで聴衆で埋め尽くされ,感動的な講演会となった。その特別講演の座長の労をおとりいただいたのが武田文和先生であり,そもそも私を緩和ケアの道に誘ってくれたのが的場元弘先生である。

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目次

欧文目次

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 虹は7色ではなく,6色であると信じられている国が多いそうです。私たちは「赤に樺,黄色緑に青に藍,紫添えて虹の7色」と覚えたものですが,藍色が抜けると6色になるからです。

 いろいろの理由があるのでしょうが,大きいのが「藍は外国産」だからだと思うのです。

べらどんな RP
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 世界で最も古い職業の1つでありながら,病気を治すことだけが医師の仕事ではない。治せない病気がいくらでもあるからである。

 網膜色素変性がその1例である。これに有効とされている薬があることはあるが,もし暗順応が良くなっても,疾患そのものの予後に差が出るとはとても考えられないからである。

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あとがき 坂本 泰二
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 このあとがきを書いているのは,前年2018年の12月です。私事になりますが,2018年は学会などでアジア諸国を訪れることが多い年でした。わが国では,ベビーブーマー世代がすべて75歳以上になる2025年問題が取りざたされており,街中に白髪の人が溢れていることが普通に感じられます。しかし,アジア各国ではそのようなことはありません。インド,フィリピン,マレーシアなど,どこへ行っても,街中は若い人だらけで活気にあふれています。日本は,極めて特殊な社会になりつつあることを痛感しました。

 さて,本号の特集は,眼内レンズ偏位・脱臼に対する手術です。以前は,眼内レンズ脱臼症例に遭遇することが稀であり,本疾患に対する手術も特殊技術という位置づけでした。しかし,最近は本疾患に遭遇することは日常茶飯事になり,この手術は誰もが身に着けておくべき技術になりつつあります。1980年代から,白内障手術が大幅に発展し,わが国では眼内レンズがきわめて多数の人々に移植されました。それらの人々が時を経て高齢化するとともに,眼内レンズ脱臼を起こすようになりました。それが本疾患患者数増加の大きな原因ですが,広い意味ではこれも日本社会の高齢化を反映したものでしょう。医療は,病める人たちを救うことが一義的存在理由です。ですから,社会の変化に伴って対象疾患やそれに対する治療法が変化していくのは当然のことです。そう考えると,社会全体が若いアジア諸国で,眼内レンズ脱臼の新しい治療法が発展することは当面はないでしょう。眼疾患治療の歴史という視点でいえば,ある意味で日本の眼科の先進性を示す証左でしょうか。

基本情報

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臨床眼科
73巻2号 (2019年2月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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