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特集 眼内レンズ偏位・脱臼に対する手術—最新版
偏位・脱臼した眼内レンズの眼内固定術
Intra ocular re-fixation of posteriorly dislocated intraocular lens(IOLs)
塙本 宰
1
Tsukasa Hanemoto
1
1小沢眼科内科病院
pp.164-170
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213041
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はじめに
近年,チン小帯脆弱や断裂を伴ういわゆる難症例に対する白内障手術が,白内障手術器械の性能の向上,補助デバイスの充実,術者の技量の向上に伴って,一昔前であれば眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の囊内固定まで至らなかった白内障手術が,囊内固定まで完遂できる確率が高まっている。術直後に良好な結果が得られて喜ばしい反面,術後の経過中にIOLが偏位・脱臼する症例が増えている1)。その状況には,硝子体トリプル手術の普及や硝子体注射治療件数の増加などもさらに追い打ちをかけており,したがってわれわれは確実に偏位・脱臼したIOLに遭遇する頻度が増えている2,3)。
白内障手術後のIOL偏位・脱臼には,軽微な偏位レベルから完全に硝子体中に落下している重度のものまである。3か月以内に早期に発生するものと,それ以降に分けて考えると,早期は後囊破損やチン小帯断裂によるものが多く,晩期ではチン小帯脆弱化が慢性に進行して断裂に至るものが多く,偽落屑症候群,外傷,硝子体術後眼,マルファン症候群に代表される全身結合組織異常などが背景にある例が多い。近年,広く用いられているアクリルワンピースIOLが脱臼した場合は,IOLを摘出して別のIOLを縫着や強膜内固定することになるが,条件が合えば使用中のIOLを眼内で再利用する眼内固定を行うことができる。IOLを取り出さずに眼内固定を行うと,惹起乱視が少なくてQOV(quality of vision)が保てる可能性が高くなる4)。本稿では,どのような症例で眼内2次固定が可能であるか,その手技について述べる。
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