臨床眼科 73巻1号 (2019年1月)

特集 今が旬! アレルギー性結膜炎

企画にあたって 稲谷 大
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 アレルギー性結膜炎は,よほど重症な症例か,アレルギー性結膜炎を専門とされている高名な先生がおられる施設でないと,大学病院へ紹介されるケースはほとんどないと思います。しかし,アレルギー性結膜炎は大変多い疾患で,しかも主症状の「痒み」に関しては,罹患している患者にとっては深刻な問題です。

 しかし,これまでの『臨床眼科』の特集を振り返ってみると,どうしても編集委員の研究分野で特集を組むことが多いため,アレルギー性結膜炎についての特集が組まれたことはありませんでした。

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はじめに

 アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis:AC),アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,喘息,食物アレルギーなどのさまざまなアレルギー疾患は,わが国のみならず全世界的に増加している。居住する地域に生息する樹木や植物などの違いによって感作される抗原は患者により異なるが,わが国では国民病と呼ばれるスギ花粉症が最も多く,国民の1/3以上が罹患していると推定される。

 本稿では,花粉性結膜炎を含むACの定義・病型分類を概説する。

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はじめに

 アレルギー性結膜炎を正確に診断するためには,視診や細隙灯顕微鏡検査により得られる臨床所見に加えて,アレルギーに関連する臨床検査が必要である。アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)1)では,アレルギー性結膜疾患の診断を,臨床診断,準確定診断および確定診断の3つに分類している。臨床診断は臨床所見のみで診断した場合,準確定診断はアレルギー素因と臨床所見とで診断した場合,そして確定診断は眼局所のアレルギー反応の証明と臨床所見とで診断した場合とされている。ここでは,アレルギー性結膜疾患の診断に必要な臨床所見と臨床検査について解説する。

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はじめに

 アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis:AC)は疾患頻度が高いので,日常診療で多く遭遇する疾患であり,患者数も多い。臨床医の診断や治療医における経験値も高いことに加え,しっかりとした診断ガイドライン1,2)が確立されており,診断に苦慮する機会は少ないと思われる。ただ,患者の“目が痒い”という訴えのみを信じて,抗アレルギー薬を投与したり,症状が緩和されない症例に対してステロイド点眼を漫然と処方したりすることが,ときどき見受けられる。ACに関する定義・検査・病態メカニズム・治療に関しては他稿に譲ることとして,本稿では,日常診療で陥りがちな,一見ACのように見えるが,実は別の病態が隠れている症例や全く別の病態を呈している症例の呈示により,AC診療において気をつけなければならないピットフォール(落とし穴)について概説する。

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はじめに

 アレルギー性結膜疾患は,「Ⅰ型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患で何らかの自他覚症状を伴うもの」と定義されている1)。アレルギー性結膜疾患に対する薬物治療において,花粉症などを代表とするアレルギー性結膜炎と重症アレルギー性結膜疾患である春季カタルでは,それぞれの病態を考え,治療薬を選択する必要がある。

 本稿では,現在処方可能な点眼薬を中心に,それぞれの薬剤の特徴と使用法について述べる。

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はじめに

 スギ花粉結膜炎はスギ花粉に対するアレルギー性結膜炎であり,非増殖型の季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)に分類される1)。日本眼科アレルギー学会の調査では有病率が37%と報告される2)など,患者数の増加が社会問題となっている。その治療の基本は抗原回避である。イネ科やヨモギ(キク科)などの雑草花粉は数十mしか飛散しないのに対して,スギやヒノキなど樹木系花粉は風に巻き上げられて数十km以上飛散して都市部に降り注ぐ。このような飛散形態の特徴を考慮した抗原回避方法が推奨される。そのうえでメディカルケアを行う。痒み,充血,浮腫などの急性炎症が治療のターゲットである。

 治療薬として,メディエーター遊離抑制点眼薬と抗ヒスタミン点眼薬があるが,「痒み」に対して「早く」効いてほしいという患者ニーズが高く3),抗ヒスタミン点眼薬が使用されることが多くなってきている。特に都市部で上から降り注ぐように飛散するスギ花粉に対しては,初期治療が有効である4)。インバースアゴニスト効果のある抗ヒスタミン点眼薬は,組織中のヒスタミン受容体を減少させることから,より効果的であると考えられる5)。また,免疫療法も継続的な医療機関での注射が必要なものや,患者が自宅でできる舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)が開発された6)。一方,眼科領域ではまだ実用化されていないため,今後の検討が期待される。

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はじめに

 重症アレルギー性結膜疾患は,一般的な花粉症などによるアレルギー性結膜炎と異なり,角膜に炎症や潰瘍を伴い,激しい疼痛や視力低下を伴う疾患である。本稿では,重症アレルギー性結膜疾患の概念と筆者が考える病因と臨床像を紹介したうえで,本疾患への治療法として免疫抑制薬点眼治療と手術治療を紹介する。

 免疫抑制薬点眼治療は重症疾患への第一選択と考えている。特にタクロリムス(FK-506;0.1%タリムス®点眼薬,千寿製薬)は非常に効果的で,ほぼ90%の重症疾患が本剤で軽快する。ただ,副作用として異物感や熱感があり,また高価な点眼であるので,患者とよく相談のうえ,処方する必要がある。一方,手術療法は非常に即効性があり,点眼などの保存療法で軽快しない症例にはぜひ勧めたい治療法の1つである。手術療法の後で免疫抑制薬点眼液を使用すれば,プロアクティブ療法として再発率も低くなり効果的である。

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はじめに

 アレルギー性結膜炎は眼科の疾患のなかで患者数が多い疾患の1つであり,さまざまな研究が行われているが,いまだに完治できる治療法は見つかっていない。1966年に石坂ら1)によりIgEが発見されてから50年以上が経ち,この間にアレルギーの研究は大きく発展した。Ⅰ型アレルギー,Th2細胞性炎症が解明され,最近ではバリア機能の破綻から生じる上皮細胞由来の炎症の概念からアレルギー疾患の大枠が理解されつつある。

 本稿では,Ⅰ型アレルギー,Th2細胞性炎症を解説した後,新たに判明したバリア機能の破綻から生じる上皮細胞由来のサイトカインと,そのサイトカインに反応してアレルギー反応を引き起こす新しい細胞の発見について述べる。

連載 今月の話題

やってみようiStent 新田 耕治
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 日本でも使用が可能になった白内障手術併用眼内ドレーンiStentによる眼圧下降効果やその安全性については熟知されていないのが現状である。そのため,これから導入を計画している施設はもちろんのこと,すでに導入されている施設の先生方にも役立つような情報を提供したい。

連載 症例から学ぶ 白内障手術の実践レクチャー・術中編12

FLACSの導入と手術の実際 眞野 富也
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Q ・フェムトセカンドレーザー支援白内障手術(femtosecond laser assisted cataract surgery:FLACS)を導入しようと考えていますが,どういう点に注意したらよいでしょうか?

・FLACSを始めたのですが,12時の位置の皮質吸引が非常にやりにくいのですが,何か良い方法はないでしょうか?

・前囊が完全に切れていないことが稀にあるのですが,そういう場合はどのように対処すればよいでしょうか?

連載 眼炎症外来の事件簿・Case5

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患者:66歳,男性

主訴:右眼眼痛,前房内白色塊

既往歴・家族歴:特記事項なし

現病歴:右眼痛を主訴に前医を受診し,右強膜炎と診断された。ベタメタゾン点眼を開始したが症状は改善せず,当科に紹介され受診した。結節性強膜炎の診断で,入院のうえプレドニゾロン40mg/日から内服を開始したが,改善が得られなかったためデカドロン結膜下注射を施行した。デカドロン結膜下注射を複数回施行したところ,強膜炎の改善が得られたため退院となった。

 退院後は,副腎皮質ステロイド内服を漸減し,症状・所見に応じてデカドロン結膜下注射を施行し,強膜炎のコントロールを図った。退院6か月後,眼痛・強膜充血の増悪を認めたため(図1),デカドロン結膜下注射を施行したが,症状の増悪を自覚し10日後に当科を再診した。

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要約 目的:タクロリムス点眼の使用中に角膜ヘルペスが生じた5例の記述と,その背景の報告。

対象と方法:2016年までの5年間に,タクロリムス点眼を使用し3か月以上経過観察ができた49例を対象とし,基礎疾患と角膜ヘルペスとの関連と危険因子などを検討した。

結果:49例中5例で角膜ヘルペスが生じた。5例の内訳は,男性4例,女性1例で,年齢は7〜42歳,中央値は40歳であった。角膜ヘルペスは3例で両眼に,2例で片眼に発症した。角膜ヘルペスは,タクロリムスの使用開始から14〜240日後,中央値36日後に生じた。5例中4例に角膜ヘルペスの既往があり,有意に多かった(p<0.05)。アシクロビルの点眼または内服で,角膜ヘルペスは治癒した。タクロリムス点眼を使用した49例は,男性32例,女性17例で,23例にアトピー性皮膚炎,37例に春季カタルなどアレルギー性角膜疾患,6例に角膜ヘルペスの既往があった。

結論:アトピー性皮膚炎または角膜ヘルペスの既往がある症例では,タクロリムスの点眼で,角膜ヘルペスが発症または再発しやすい。

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要約 目的:プロスタグランジン(PG)F2α関連薬の副作用である上眼瞼溝深化(DUES)の特徴の報告。

対象と方法:70歳未満で3か月以上のPG使用歴があり,眼瞼写真撮影を行った緑内障患者25例47眼を対象とした。開瞼時および閉瞼時の正面像を用いて3名の判定者のうち,DUESと判定した人数をDUESスコア(0〜3)とし,閉瞼時の側面像を用いて判定者とは別の3名の測定者が上眼瞼前面の陥入角度(DUES角度)を測定し,各DUESスコア群や使用中PGでのDUES角度の比較検定を行った。PGの片眼使用の3症例では,未使用眼との比較を行った。

結果:各DUESスコアの平均DUES角度は,スコア0で161.2±13.1°,スコア1で146.4±18.7°,スコア2で139.6±23.5°,スコア3で117.3±14.6°であり,スコア0とスコア2ではスコア2が,スコア2とスコア3においてはスコア3のほうが有意にDUES角度が小さかった。スコア1以上の36眼での使用中PG別の平均DUES角度は,ラタノプロスト群(16眼)で153.6±15.1°,ビマトプロスト群(12眼)で120.2±13.4°,その他のPG群(8眼)で135.9±25.8°であり,ビマトプロスト群はラタノプロスト群と比較し,有意にDUES角度が小さかった。PGの片眼使用症例では,使用眼のDUES角度は123.9±2.9°(DUESスコア3),126.9±2.7°(DUESスコア3),150.4±3.4°(DUESスコア2)であり,未使用眼のDUES角度は155.2±1.9°,158.5±3.8°,172.3±2.4°とDUES使用眼でいずれも有意に小さかった。

結論:DUES角度を測定することは,DUESにおける上眼瞼形状の特徴を捉え,DUES判定の一助になりうる。

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要約 目的:自覚症状から半盲が強く疑われたが,ハンフリー静的視野検査で顕著な異常がなく,アムスラーチャートでのみ軽度の所見がみられた後頭葉梗塞の1例の報告。

症例:68歳男性が2日前からの両眼の傍中心暗点を自覚して受診した。高血圧と高脂血症で加療中であった。

所見と経過:矯正視力は右0.8,左0.6であった。症状から同名半盲が強く疑われた。ハンフリー静的視野検査C30-2の所見は正常範囲内にあった。MRIで右の後頭葉に梗塞があり,脳神経外科で入院加療を開始した。ゴールドマン動的視野検査で半盲は検出されなかった。ハンフリー静的視野検査C10-2でも顕著な異常はなく,アムスラーチャートでのみ軽度の異常所見がみられた。3次元血管造影では,後頭側頭動脈と頭頂後頭動脈が比較的明瞭に描出されていた。

結論:本症例での後頭葉後極の梗塞は,通常の視野検査では異常が検出されにくく,アムスラーチャートが有用であった。

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要約 目的:乳幼児期の小児緑内障眼の角膜形状の特徴を明らかにすること。

対象と方法:2010年6月〜2015年12月の間に広島大学病院眼科において,全身麻酔下で精査した4歳未満の小児緑内障10例18眼(緑内障群),先天白内障12例15眼(白内障群)を対象とした。白内障群は,水晶体の混濁以外の異常がないものを選択して対照群とした。手持ち型オートレフラクトケラトメータを用いて平均角膜曲率半径を測定し,超音波画像診断装置を用いて前房深度と眼軸長をそれぞれ測定した。緑内障群と白内障群を対応のないt検定を用いて比較した。

結果:検査時月齢は緑内障群で9.9±11.1か月(0〜33か月),白内障群は14.6±9.0か月(2〜43か月)で有意差はなかった。眼圧は緑内障群28.0±11.8mmHg,白内障群10.5±5.0mmHgと緑内障群が有意に高かった(p=0.0012)。前房深度は緑内障群3.78±0.48mm,白内障群3.24±0.36mmで,緑内障群が有意に深かった(p=0.047)。眼軸長は緑内障群21.7±2.60mm,白内障群19.4±1.50mmで,緑内障群が有意に長かった(p=0.0083)。平均角膜曲率半径は緑内障群7.43±0.54mm,白内障群7.60±0.52mmと有意差はなかった(p=0.18)。

結論:乳幼児期の小児緑内障眼では,前房深度や眼軸長が伸長していた。しかし,平均角膜曲率半径は有意な変化がなかった。

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要約 目的:ABCC6遺伝子異常を伴うGrönblad-Strandberg症候群の1症例の報告。

症例:心筋梗塞の既往のある73歳男性が左眼視力低下を自覚し,網膜出血として紹介され受診した。

所見と経過:矯正視力は右0.9,左0.7であった。両眼に網膜色素線条と乳頭周囲の脱色素病変があり,左眼の黄斑乳頭間に1乳頭径大の網膜下出血を伴う脈絡膜新生血管があった。眼底自発蛍光で両眼に乳頭ドルーゼンが検出された。非特異的な視野狭窄があった。頸部皮膚に黄白色で扁平な丘疹が多発し,弾性線維性仮性黄色腫が疑われた。遺伝子検査でABCC6遺伝子異常(p.A910V)が検出され,Grönblad-Strandberg症候群と診断した。

結論:乳頭ドルーゼンが併発したGrönblad-Strandberg症候群の1症例で,ABCC6遺伝子異常(p.A910V)が検出された。

今月の表紙

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 症例は13歳,女性。右眼の視力低下を自覚し近医を受診したところ,角膜混濁を指摘され精査加療目的で当院へ紹介となった。初診時の右眼視力は指数弁,眼圧はアイケアにて7.2mmHgであった。前眼部所見では角膜の前方突出を伴う浮腫性混濁があり,前眼部光干渉断層計(OCT)にてデスメ膜の断裂を認めた。左眼には円錐角膜を疑う所見はなく,片眼性の円錐角膜に生じた急性水腫(acute hydrops)と考えられた。

 撮影には,RODENSTOCK社製のスリットランプRO5000とTOMEY社製の前眼部OCT CASIA2を使用した。左の写真は倍率×6としてカメラを180°方向に振り,背景光をオフにし,ディフューザーを用いた照明光を正面に置き,光量を調整して撮影した。右の写真はOCTラジアルスキャンを行い,病変部の形状がわかりやすい180°方向の2次元断層像を使用した。スリットランプの写真は正面からの撮影だと平面に写ってしまい,病変部の高さや立体感が不明瞭であったため,うまく描出できるよう180°方向からの撮影を行い一目でわかるようにした。また,病態がイメージしやすいように前眼部OCT画像も呈示した。

海外留学 不安とFUN・第37回

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言葉の壁を越えて—習うより慣れよ!

 言葉の壁について,少なくとも英語は大学受験科目に含まれていたはずで,流暢でなくても話すべき内容を英作文して覚えていけば重大な問題は起こりません。患者さんを診察・検査するときも,毎回話す内容はそう変わらないので,だんだん板についてきます。もちろんミーティングでの討論には相応の英会話力が必要で,英語力不足のせいで発言するタイミングを逃したりしますが,レベルアップの機会は何度でも周ってきます。

 なによりロンドンでは基本的にメールでは返事のレスポンスが十分でないことが多く,しゃべりが下手でも直接会いに行って話すことが最も肝心です。日本から内覧を予約していたアパートは渡航前日に一方的にキャンセルされ,その後メールのやりとりだけでは埒が明かず,しばらく安ホテル暮らしを余儀なくされました。その間に現地の他の不動産屋をいくつか飛び込みで回り,病院近くにキャンセルされた部屋とほぼ同条件の物件を見つけて契約できたときなどは,現場での直接対話の重要性を痛感しました。

Book Review

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 大都市の総合病院の救急外来はもちろんのこと,中小病院の外来さらには病棟での急変対応,また,郡部やへき地の診療所において遭遇する準救急的な健康問題など,われわれプライマリ・ケアに携わる医師は多様な健康問題に対し,病歴,身体診察,簡単な検査で対応する基礎体力を身につける必要がある。評者も,患者でごった返す総合病院の救急外来を一人でさばく経験,北海道の郡部で一人救急搬送される患者に対応する経験,訪問診療を行う在宅患者に想定外の急変があり慌てて往診する経験などを持ち,これまで数多くの救急に対応してきた。大事なのは,救急対応において一定のパターンを体得しつつ,例外的状況に対する鋭敏な感覚を養うことだと思う。そのために,経験ある指導医から学ぶことの価値は計り知れないが,そうした指導医が在籍する医療機関はそう多くないのが現実である。

 ショック,喀血,頭痛,陰囊痛,高Ca血症,創傷処置,皮膚疾患への外用,肘内障の整復……。多彩かつ素早く的確な対応が必要な病態が広く網羅されている本書を手に取ると,その簡潔ながらも要点をしっかり押さえた内容が印象的である。特に「はじめの5分でやることリスト」は,次から次へと受診するER外来でオリエンテーションをつけるための一助となり,「検査」「鑑別診断」と一歩深めた評価がわかりやすい図表で示される。そして,「Q & A」では「そう,そこがいつも悩ましいところだよな」と感じる論点が詳しく説明されており爽快さを覚える。音羽病院という北米型ERのメッカで培われた指導医の知識と技術がふんだんに網羅された本書をポケットに入れて診療に臨めば,診療に臨む不安のかなりが解消されるだろう。あたかも,すぐそばに熟練の指導医が付き添ってくれているような感を覚える。

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目次

欧文目次

ことば・ことば・ことば ナース
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 ときどき行く総合病院で,看護師の人がIVNと書いたバッジを胸の名札の横につけていました。訊いてみると,「静脈注射をする資格がある看護師」だそうです。講習だか実習があり,そのうえでこれがもらえるのだそうです。

 静脈注射は,下手な医者よりも上手なナースにしてほしいとだれもが思うでしょうが,以前は,「静注は医師がするもの」と決まっていたようです。考えが甘かったことを知りました。

べらどんな フックス先生
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 強度近視では,中心窩に黒色の色素斑ができることがある。白色だったり,出血を伴うこともあるが,色素斑そのものはフックス斑という。

 フックス(Ernst Fuchs,1851-1930)は,17歳でウィーン大学医学部に入学した。当時は生理学のBrücke教授がいて,強い影響を受けた。

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あとがき 井上 幸次
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 本号の特集はアレルギー性結膜炎だが,企画した稲谷先生が「今が旬」と銘打ったのは言い得て妙で,今やアレルギーは国民病といってよいくらい我々の生活に結びついている。かくいう私も花粉の季節になると少し眼がかゆくなる。ただ,医者ぎらい,薬ぎらいなので,そのまま放置しているので,本号の特集を書いた先生方には怒られそうだが。

 こと結膜炎に限らず,アレルギー疾患はすべてにわたって年々増えているが,なぜこんなに増えたかということについて,「好酸球手持ち無沙汰説(と私が勝手に名づけているのだが)」というのがある。昔は皆,寄生虫をもっていて,それに対応していたのが好酸球だったのだが,世の中が清潔になって,寄生虫がいなくなったので,仕事のなくなった好酸球がアレルギーに手を出すようになったという説である。この説の真偽は別にして,清潔になったこととアレルギー疾患の増加はやはり関係があると思われる。ただ油断ならないのは感染症で,そういう時代であっても,ゲリラ的に我々のスキをついてカムバックしてくる。重症アレルギーを治療するための切り札として登場したタクロリムスを使っていると,副作用として感染症を生じてしまうのもその1例である。アレルギー性結膜炎に関する特集が組まれた本号に「タクロリムス点眼使用開始後に角膜ヘルペスを生じた5例」の臨床報告が掲載されているのもまた,アレルギー疾患の隆盛を物語っているといえるのかもしれない。

基本情報

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臨床眼科
73巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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