臨床眼科 72巻10号 (2018年10月)

特集 第71回日本臨床眼科学会講演集[8]

原著

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要約 目的:黄斑前膜(ERM)に対し25Gシステムと27Gシステムを使用した場合の硝子体手術の比較。

対象と方法:順天堂大学医学部附属練馬病院でERMに対し初回硝子体手術を行った42例42眼(男性15眼,女性27眼,69.5±8.3歳)を対象とし診療記録をさかのぼった。16眼は2013年7月〜2015年3月に25G,26眼は2015年4月〜2017年3月に27Gを用いた。27G群では,26眼中5眼でTwin Duty Cycle Cutter(TDCカッター®)を用いた。25G群と27G群の間で,手術時間,術後合併症,術後眼圧,術後1か月の視力改善度を比較した。

結果:25G使用群14眼(白内障手術あり)と27G使用群24眼(白内障手術あり)の間で手術時間を比較した結果,27G使用群で有意に手術時間が長かった(p=0.04)。TDCカッター使用群5眼(白内障手術あり)の手術時間は,25G使用群14眼(白内障手術あり)との間に有意差はなかった(p=0.30)。術後一過性低眼圧や,術前日から術翌日にかけての眼圧変化に関して,両群の間に有意差はなかった。25G群と27G群の間で術前視力,術後視力にそれぞれ有意差はなく(p=0.32 p=0.81),視力改善度についても有意差はなかった(p=0.43)。

結論:ERMに対する硝子体手術において27Gは,25Gと比較して手術時間や合併症に差はなかったが,TDCカッター®を使用しない場合には有意に手術時間が長くなった。

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要約 目的:網膜色素変性(RP)の視野欠損について,上方と下方視野において狭窄の進行度に差異がみられるかどうか,ハンフリー視野検査(HFA)における平均偏差(MD)と下半と上半視野のトータル偏差(TD)を用いて統計学的分析を行った。

対象と方法:6例12眼にHFA(SITA30-2)を行い,得られた結果の統計学的分析には,従属変数をMD値やTD値,独立変数を年齢と判別係数〔(右眼を1,左眼を0),(下方視野を1,上方視野を0)〕とし,それぞれの要因につき重回帰分析を行った。

結果:年齢と有意性のある負の相関を示したのは,MD値では3例6眼,TD値では下半視野が3例4眼,上半視野が3例6眼であった。MD値について右眼が良好なのは1例,年齢と有意性のある正の相関を示したの1例,負の相関を示したのは2例であった。下半視野におけるTD値の低下が上半視野より不良であったのは3例5眼であり,下半視野が上半視野より年齢に従ってTD値が減少することについては2例3眼に有意性があった。

結論:網膜色素変性の視野所見および進行度には左右や上下にさまざまな差異がみられる。

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要約 目的:緑内障の早期発見を目的とし,富山市が行った緑内障検診の2012年から5年間の結果を報告する。

対象と方法:富山市に在住する45,50,55歳の検診対象者のうち希望者を対象とした。検診内容は,問診,細隙灯顕微鏡検査,眼圧,散瞳下立体的乳頭検査,眼底写真撮影を行った。撮影した写真を読影委員会で精密検査が必要か否かを判定した。精密検査は保険診療で行い,視力,隅角検査,視野検査,光干渉断層計検査を行い,緑内障専門医が加わった読影委員会で最終的に判定した。

結果:対象者数は5年間で30,277人,受診者数は2,813人(9.3%),要精密検診者数は646人(要精検率22.9%),精密検査受診者数584人(90.4%)であった。緑内障は5年間で105人(受診者の3.7%)に発見された。内訳は狭義の原発開放隅角緑内障は17%,正常眼圧緑内障は83%,その他の緑内障はなかった。45歳で2.6%,50歳で3.0%,55歳で5.4%に緑内障が発見された。

結論:早期発見を目的とし,45,50,55歳を対象とした富山市緑内障検診で,緑内障発見率は全体で受診者の3.7%で,45歳では2.6%であり,40歳台にも検診が必要と考えられた。本検診には緑内障専門医と富山市医師会の連携が必要であった。富山市と富山市医師会で最終病名を把握し,データの管理ができている検診と考えられた。

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要約 目的:国際的基準であるFunctional Vision Score(FVS)によると,わが国ではロービジョン者が身体障害者手帳を取得できず,盲である人でも5級にしか認定されない。視覚障害の認定基準に関する検討会の2016年8月の認定基準改訂案では,求心性視野障害の偏心に対する対応の項目で「Ⅰ/4eによるイソプタの一部が10°を超えていても,15°以内でありかつ残余面積が中心10°視野と同等かそれ以下であれば,10°以内として判定し,4,3,2級判定へ進めるようにした。」とあった。この案では5級であったものが,今回の改訂案(2017年7月)でⅠ/4eの8主経線の合計が80°以内であれば2〜4級判定に進める案が示された。

症例:73歳,男性.糖尿病歴20年。10年前に他医で増殖期糖尿病網膜症と黄斑症の治療を受けている。今回他科入院中に眼科に紹介された。補助具を用いても読書不能で音声から情報を得るのみであり,障害物に気づかず,転倒することもしばしばであった。視力は右(0.3),左 光覚弁。網膜は黄斑,周辺とも菲薄化し,視野は右眼Ⅰ/4eが耳17°,耳上8°,上7°,鼻上7°,鼻5°,鼻下5°,下7°,耳下13°と8主経線合わせて69°で,80°以内であった。左眼は測定不能であった。現行の規定および2016年の改訂案では5級であったが,2017年の改訂案によると,Ⅰ/2eの加重平均が1.5°となり,2級と認定されることが予測された。一方,Functional Field Scoreは50,Functional Acuity Scoreは59,FVSは30となり,AMA分類では3b極度視覚喪失(盲)と同様の結果となった。

結論:今回の改訂案により,実際の視野障害に見合った等級判定がされる可能性が示された。

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要約 目的:網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の黄斑浮腫に対して,抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体注射と低侵襲黄斑光凝固凝固を行った結果の報告。

対象と方法:過去70か月間に当科で治療したBRVO 150眼のうち,低侵襲黄斑光凝固凝固と抗VEGF薬の硝子体注射を行った30例30眼を対象とした。男性15例,女性15例で,平均年齢は66.9歳である。抗VEGF薬の硝子体注射を1回ないし3回行った後,黄斑浮腫のある部位に低侵襲黄斑光凝固凝固を行った。視力はlogMARで評価した。

結果:30眼に対する1年間の抗VEGF薬の硝子体注射の回数は,平均3.0±1.4回で,光凝固の回数は平均1.2±0.4回であった。平均視力は,治療前の0.43±0.35から,12か月後の0.16±0.27に有意に改善した(p<0.001)。光干渉断層計で測定した中心窩網膜厚の平均は,治療前の410.7±149.2μmから12か月後の290.4±76.0μmに有意に減少した(p=0.001)。

結論:BRVOの黄斑浮腫に対する抗VEGF薬の硝子体注射と低侵襲黄斑光凝固の併用により,視力が向上し,中心窩網膜厚が減少し,硝子体注射の回数を減らすことができた。

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要約 目的:白内障手術時に使用するスリットナイフの評価をした。

対象と方法:2.4mmスリットナイフ9種(シングルベベル6種,ダブルベベル3種)を対象とし,ナイフ先端部の最大幅,最大幅位置,先端角度,先端強化部角度,刃付角度,板厚を測定した。また豚眼強角膜片を人工前房装置に固定し,眼圧を一定にした状態で角膜1面切開創を作製する際の刺通抵抗値を測定した。作製した切開創はトリパンブルーで染色し,デジタル顕微鏡で撮影しその大きさを測定し比較した。

結果:最大幅は2.35〜2.49mm,最大幅位置は2.02〜3.58mm,先端角度は36〜60°,先端強化部角度は42〜67°,刃付角度は4〜20°,板厚は0.09〜0.18mmとナイフ先端部の形状はそれぞれ大きく異なっていた。刺通抵抗値は132.5〜387.9mNと差が生じ,切れ味の違いがあった。切開創の大きさは内側で2.40〜2.55mm,外側で2.22〜2.41mmと内側のほうが創口が大きく,ばらつきも異なった。

結論:市販されている2.4mmスリットナイフはそれぞれ異なる形状をし,切れ味と作製される切開創の大きさも異なる。白内障手術の小切開化に伴い,スリットナイフの特徴が術後成績に関連する可能性が考えられた。

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要約 目的:Vogt-小柳-原田病(VKH)における超広角走査型レーザー検眼鏡Optos® Californiaを用いたインドシアニングリーン蛍光眼底造影(IA)所見を検討する。

症例:VKHの診断でOptos® Californiaを用いて超広角IAを施行した3症例を対象とした。いずれも多発性の滲出性網膜剝離や視神経乳頭発赤がみられ,VKHと診断された。超広角IAでは,視神経乳頭周囲の脈絡膜血管は不明瞭であり,渦静脈も先端部が狭小化している所見があった。ステロイドパルス療法から1週間後,1か月後の超広角IAでは,発症時と比較して視神経乳頭周囲の脈絡膜血管や渦静脈の先端部で不明瞭だった血管を明瞭に確認することができた。

結論:Optos® CaliforniaはVKHの脈絡膜血管の治療前後の変化を観察するのに有用であった。発症時の血管が不明瞭であったのは,間質の炎症性変化が脈絡膜血管を機械的に圧排している可能性が推定された。

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要約 目的:学習の相談があった視覚障害者手帳に該当しない脈絡膜欠損の1例についてFunctional Vision Score(FVS)の評価を行ったので報告する。

対象と方法:患者は14歳の女性,脈絡膜欠損。FVSをゴールドマン視野(GP)と,ハンフリー視野(HF)のカスタムプログラムColenbranderテスト(CT)の結果で比較した。

結果:矯正視力は右0.2,左0.3。両眼の脈絡膜欠損は虹彩と眼底では乳頭と黄斑に及んでいた。GPとCTの2つの検査からそれぞれのFVSを算出し,American Medical Association(AMA)Classを用い判定すると,GPはFVS=61でCTはFVS=57でどちらもClass 2の中等度視覚喪失であった。

結論:手帳該当がない脈絡膜欠損の症例で,FVSでは患者の不自由さを実勢に即して評価することができた。GPとCTいずれの方法でもAMA Classでの判定は同じで,HFによるFVS判定の有効性が示された。

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要約 目的:川崎医科大学附属病院眼科での緑内障に対するリパスジルの使用状況とその効果の報告。

対象と方法:2016年7月までの18か月間にリパスジル点眼液を処方された54例82眼を対象とした。男性43眼,女性39眼で,年齢は27〜91歳,平均64.6±15.2歳であった。病型は原発開放隅角緑内障(POAG)29眼,正常眼圧緑内障(NTG)18眼,落屑緑内障10眼,ステロイド緑内障8眼,その他17眼であった。投与開始前の眼圧は9〜31mmHg,平均17.5±0.5mmHg,点眼スコアは3.5±1.0であった。10%以上の眼圧下降があった場合を有効と判定し,投与3か月後の効果の有無につき,患者背景を検討した。

結果:投与開始から3か月後の時点で67眼が継続投与中であり,38眼が有効,29眼が無効であった。有効群は無効群よりも有意に年齢が低かった(p=0.013)。病型別では,ステロイド緑内障とPOAGに有効例が多く,落屑緑内障に少なかった。6か月間投与を続けた56眼の平均眼圧は,投与前16.6mmHg,1か月後15.0mmHg,3か月後14.5mmHg,6か月後14.2mmHgと有意に下降した。副作用で12眼が治療を中断し,うち10眼が6か月後であった。

結論:多剤併用緑内障患者でもリパスジル点眼で眼圧が下降した。投与開始から6か月の間段階的に眼圧が下降した。副作用は6か月間の投与で多く生じた。

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要約 目的:治療抵抗性の緑内障に対して眼内毛様体光凝固術を施行した症例に関して,光凝固術式と眼圧下降効果について報告する。

対象と方法:眼圧コントロールが困難となり,硝子体手術併用眼内毛様体光凝固術を施行した緑内障11例11眼を対象とし,光凝固部位(毛様体扁平部,毛様体突起),術前の眼圧,術後1,3,6か月の眼圧の推移について調べた。

結果:11症例はすべて続発緑内障であり,血管新生緑内障10例,術後緑内障1例であった。毛様体扁平部と毛様体突起の両方を光凝固した症例は6例であり,うち4症例(66.7%)では良好な眼圧コントロールが得られた。毛様体扁平部のみを光凝固した症例は5例であり,うち4症例(80.0%)は良好な眼圧コントロールが得られた。術前平均眼圧は48.2±16.5mmHg,術後1,3,6か月の平均眼圧は15.7±6.3mmHg(p<0.01),15.5±7.0mmHg(p<0.01),16.1±6.3mmHg(p<0.01)であり,有意に低下した(対応のあるt検定,ボンフェローニ補正)。術後6か月では,毛様体扁平部照射群と,毛様体扁平部および毛様体突起照射群の眼圧下降率に有意差はなかった(t検定,p=0.42)。

結論:硝子体手術時に行う眼内毛様体光凝固術は,治療抵抗性緑内障における眼圧コントロールの手法として有効である。

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要約 目的:アーメド緑内障バルブ(AGV)を用いたチューブシャント手術後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染をきたした症例報告。

症例:66歳,男性。放射線網膜症から右眼血管新生緑内障(NVG)を発症,AGVによるチューブシャント手術を施行した。術後9日目に眼痛,眼脂,前房炎症の増加を認め,眼脂培養からMRSAを検出した。保存的加療は著効せず,術後30日目にAGV抜去を施行。炎症は軽快した。

結論:チューブシャント手術では人工物(GDD)の眼内留置を行うため,放射線治療の既往症例では創傷治癒不良からGDDへの術後感染をきたす可能性があり注意が必要である。

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要約 目的:下顎骨外傷に関連した咬合不全のある頭頸部外傷症候群8症例に咬合治療を行い,眼と全身症状が改善した報告。

症例:過去4年間に交通外傷によって咬合異常が生じた頭頸部外傷症候群8例を対象とした。男性2例,女性6例で年齢は29〜66歳,平均46.9歳であった。受傷時に全例がシートベルトを装着しており,5例が追突事故であった。

所見と経過:症状として,全身の倦怠疲労感,調節不全,輻輳不全,複視,眩暈などがあった。画像検査として,顎顔面頭蓋のパノラマX線撮影,MRIなどを行った。咬合治療として7例にはマウスピースなどの口腔内装置,1例には咬合調整を行った。3〜35か月間の経過を観察した。

結果:咬合試験は全例で症状または所見が改善した。6例で眼球運動,垂直眼位偏位量が改善し,融像域が拡大した。羞明は2例で軽減した。6例で頸部の軟組織の緊張が軽減した。

結論:咬合異常を伴う頭頸部外傷症候群8例に咬合治療を行い,6例で眼と全身症状が改善した。

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要約 目的:学習障害は,全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,書く,計算する,推論するなどの能力のうち,特定の項目に困難を示すものと定義される。児童では30人中に2人の学習障害児がいると推定されるが,必ずしも適切に同定され,指導を受けていない。

対象と方法:小学4年生91名を対象として,2つのテストをした。テストAでは5〜20%の違いがある円の大小や線分の長短を問い,テストBでは錯視のある8図を用い,錯視に騙されたものを正解とした。ABともに15点満点で評価した。どちらか一方のテストで6点を超えるか,合計10点を超える者を要注意とした。

結果:91名中7名が要注意と判定された。3名がテストAで明らかな低下を示し,4名がテストBで明らかな低下を示した。図形を正確に認知できなければ視覚性学習障害の可能性があり,錯視に騙されない者は周辺の視覚刺激を認識せず,自閉症である可能性がある。学習障害児は叱られ,自信を失い,学校を嫌うようになる。

結論:学習障害の正しいスクリーニングで2次的な傷害による無用な苦痛から救うことが可能である。適切なキットが開発されれば,眼科医がこれに寄与することができよう。

連載 今月の話題

オルソケラトロジー 宮本 裕子
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 わが国では,2009年にオルソケラトロジーレンズが角膜矯正用コンタクトレンズとして厚生労働省の承認を得ている。同時にオルソケラトロジー・ガイドライン第1版が作成され,2017年に第2版1)へ改訂された。そこで,近年の動向を含めて今一度,オルソケラトロジーについて再考しておきたい。

連載 症例から学ぶ 白内障手術の実践レクチャー・術中編9

手術顕微鏡の使い方 野田 徹
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Q 角膜混濁のある症例(図1)などの白内障手術を行う場合,良好な徹照と術野の視認性を得るために,手術顕微鏡の使い方にどのような注意が必要でしょうか? また,各社の手術顕微鏡ではどのような違いがあるでしょうか?

連載 眼炎症外来の事件簿・Case2

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患者:67歳,男性

主訴:両視力低下

既往歴・家族歴:前立腺癌(1年前に放射線治療済み)

現病歴:3週間前歯科治療中,歯茎の化膿および鼻汁が出現したため抗菌薬を内服したところ,症状は軽快した。1週間前に頭痛と38℃の発熱があり,同抗菌薬を内服し解熱は得られたが,3日前から頭重感,視野の一部のぼやけ,光視症を自覚し,救急病院で頭部CT検査を受けたが異常はなかった。眼科を受診したところ,視力低下〔右(0.2),左(0.15)〕および眼内炎症を認めたため,前医受診3日後に当院眼炎症クリニックを紹介され受診となった。

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要約 目的:眼科領域における通常の超音波Bモードと,ティッシュハーモニックイメージング(THI)とを比較検討する。

症例と方法:通常の超音波Bモードと,さらにそのTHIを6例の患者に施行した。2例は直接接触法で,残りの4例は水浸法で行った。得られた画像は3名の超音波専門医が評価した。

結果:通常の超音波BモードよりTHIのほうが,より鮮明な画像が得られた。3名の超音波専門医による評価の結果は,THIのほうが従来のBモードよりも組織深達度,画像の詳細および全体的な画像の質においてはるかに優れていた。水浸法で行った症例ではアーチファクトがかなり減少し,解像度向上の一因となった。

結論:THIは,通常の超音波Bモードよりも画質の点で優れていた。この方法は,全身の臓器の超音波と同様に眼科領域でも将来有望であり,特に水浸法を用いるとさらにその効果が大きいと思われた。

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要約 目的:糖尿病黄斑浮腫に対して抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内注射を行い,浮腫がいったん寛解した後に再発する因子の報告。

対象と方法:過去41か月間に糖尿病黄斑浮腫に対して抗VEGF薬の硝子体内注射を複数回行い,導入期終了から1年以上の経過が追え,治療に対する反応があった19例19眼を対象とした。男性9例,女性10例で,年齢は51〜82歳,平均65歳である。1年以上再発のなかった6眼と,1年以内に再発した13眼とを比較検討した。

結果:非再発群と再発群との間に,治療開始時の年齢,治療前のHbA1c,治療前の視力,中心網膜厚とその変化量について有意差はなかった。抗VEGF薬の硝子体内注射の導入期の回数は,非再発群が3.0±0.6回,再発群が1.8±0.8回であり,非再発群が有意に多かった(p=0.0026)。光干渉断層計でみた網膜の形態については,再発群よりも非再発群で囊胞様黄斑浮腫型が多かった。

結論:糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF薬の硝子体内注射では,非再発群では再発群よりも注射導入期の投与回数が多く,浮腫の形態が囊胞様黄斑浮腫型であった。

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 症例は42歳,男性。左眼の視力障害を自覚し近医を受診した。糖尿病による血管新生緑内障を指摘され,当科に紹介となった。初診時の左眼視力は(0.06)。瞳孔領と全周周辺虹彩に新生血管を認めた。インドシアニングリーン(ICG)蛍光造影撮影にて,新生血管のない僚眼の虹彩と比べて新生血管に一致して虹彩面に強い蛍光が確認された。

 特に耳側では,細隙灯顕微鏡で観察されるより広範囲に蛍光が確認された。また,輪部の結膜静脈血管も,僚眼と比べ強いICG蛍光が観察された。

海外留学 不安とFUN・第34回

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 2016年4月よりアメリカ合衆国の東海岸にあるマサチューセッツ州ボストンのスケペンス眼研究所に留学させていただいております。多くの留学されている先生方とは異なり,入局後の眼科研修(2年間)を終えた後にこの留学のチャンスを運よくいただけることとなりました。この留学記を執筆させていただくにあたり,留学を通して得た貴重な不安・トラブル・失敗・FUNなどをお伝えできたらと思います。

Book Review

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 『救急レジデントマニュアル』が5年ぶりに改訂されたのでご紹介したい。本書は,慶大病院救急部初代教授の相川直樹先生が初版を刊行され,堀進悟教授,そして佐々木淳一教授と,3代30年に及ぶ,慶大救急医学の,経験と英知が凝縮されたマニュアルである。日本の救急医学を臨床面のみでなく,研究面においてもリードしてきた,あの慶大救急医学の歴々が総力を挙げて執筆しているからこそ,エビデンスに基づいた格調高い教科書となっている。

 本書は,ポケットサイズでありながら550ページを超す情報量がある。内容は,全10章に分かれており,まずレジデントの諸君が救急診療を行う際の心構えと基本的な診察法に始まり,次にERでよく経験する症候や疾患について,「鑑別・診断の進め方」「重症度の判定」「救急処置」などが,表やイラストを多用してわかりやすく親切に解説される。また,慶大が得意としている「外傷・熱傷」「中毒」に関しては,新たに章を立てて詳述している。さらに,マイナー診療科を含む各科救急疾患についても網羅し,救急関連の処置や検査については,使用する器具,手順,ピットフォールまで丁寧に解説している。最終章では脳死や災害医療,医療安全,感染対策などにも触れてあり,もはやその射程はマニュアルを超えた広がりを持っている。

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 本書は視能学エキスパートシリーズの一冊として出版された,日本視能訓練士協会による視能訓練士のための実用書である。検査や光学・眼鏡に関する書籍は多数出版されているので,“視能訓練”にスポットを当てた本書はシリーズの最高峰として編集されたものに相違ない。

 小児眼科や弱視斜視を専門とする眼科医にとって,日々の診療に視能訓練士による詳細かつ的確な検査が不可欠である。われわれの施設では,一人ひとりの患児がよりよい視力と両眼視機能を獲得し維持していけるように,手術治療や訓練について医師同士,視能訓練士共に意見を交わして進めていくのが常である。しかし多くの眼科診療の場では,理想的な環境で診療に従事できる者は少なく,医師は外来や手術に,視能訓練士は新しいさまざまな検査に追われ,視能訓練について十分に検討できる時間を持てないのではないか。本書をひもとくことによって,視能訓練士のみならず眼科医も,初心に戻って視能訓練の分野を学び,実践的な知識を得ることが可能であると思う。もちろん,弱視斜視の指導者がいない施設の視能訓練士にとっては,検査や訓練の方法について症例を数多く挙げて具体的に解説している本書が大変に役立つことであろう。

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目次

欧文目次

ことば・ことば・ことば 膜
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 カタカナ英語というのがあります。野球のピッチャーやキャッチャーならよろしいのですが,バレーになると,バレーボールはvolleyballである一方,踊りのバレーはballetであり,フランス語に由来します。

 ジャッキとジョッキも区別する必要があります。「力によって比較的重いものを徐々に揚げる装置」がジャッキで,英語のjackが訛ったものです。これに対し,「ビールを飲むための,把手のついた平底の容器」がジョッキであり,英語のjugから来ているそうです。ただし,イギリスではビールを飲むのはbeer mugが一般名で,ガラス製のはbeer glass,陶器のはstein,そして蓋つきのはtankardと,それぞれ区別します。あの国では,よほどビールが生活に定着していることがうかがえます。

べらどんな シェーグレン症候群
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 シルマー法で有名なシルマー先生(Otto Schirmer, 1864〜1918)は,かなり偉かった方らしい。

 バルト海の海岸にある大学都市グライフスヴァルト(Greifswald)に生まれた。父親も眼科医で,そこの教授をしていた。本人も同じ大学に行ったが,当時の風習に従って,ミュンヘン,フライブルク,ケーニヒスベルクなどでも学んだ。

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次号予告

あとがき 稲谷 大
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 昨年の日本臨床眼科学会から1年が経過しました。読者の皆さんは,そろそろ今年の臨眼での発表直前で大忙しの方もいらっしゃるのではないかと思います。今月号で第71回日本臨床眼科学会講演集は終了となります。第72回の臨眼で発表された内容で,原著論文を編集室へ投稿していただければ幸いです。

 さて,「今月の話題」では,オルソケラトロジーについて宮本裕子先生にご執筆いただきました。実は,私も数年前にオルソケラトロジーを試してみたことがありました。朝,目覚めてオルソのコンタクトレンズを外すと,すっかり近視が治っていて,裸眼で車を運転して出勤することができました。夕方になるとだんだん近視に戻ってきて,帰りの運転はちょっと危ないなと思いました。数日続けていると,一晩オルソをつけるのを忘れても,1日中,裸眼で過ごせるようになりました。

基本情報

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臨床眼科
72巻10号 (2018年10月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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