看護教育 58巻2号 (2017年2月)

特集 キャリアを支援する赤十字看護専門学校教員ラダー

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 病院などで,看護実践能力や管理能力のラダー,コンピテンシーの明示が広がりつつある一方で,教員の教育実践能力を評価し,成長段階でとらえようとする教育機関はほとんどありません。確かに,教育能力を正確に測る,ということは実現が難しいですが,参考となるラダーやコンピテンシーがあれば,自身の教育実践能力を客観的にとらえられ,また他者から教育実践能力を評価され,ポジティブなフィードバックを受けることで,キャリアアップにつながることが期待できます。

 日本赤十字社が構築した「看護教員のキャリア開発ラダー」は,すでに導入から3年がたち,所属する多くの教員が認定を受けており,組織全体の取り組みとして,すべてのレベルで認定が進んでいます。また,より良いラダーのための見直しも行っています。

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赤十字施設におけるキャリア開発ラダー導入の経緯

 日本赤十字社医療事業推進本部看護部(以下,本部看護部)は,赤十字の看護の質の向上を図るため,2004(平成16)年に継続教育システムとして全国92の赤十字病院にキャリア開発ラダー(以下ラダー)の導入を決定した。ラダーの全体構想は,①看護実践者,②看護管理者,③看護教員,④国際活動要員の4領域について能力開発をめざすもので,現在,赤十字組織で就業する看護職は,4つのキャリア開発の道を有機的に連動させてさらなるキャリア開発を行っているところである。

 2004年から検討を開始し,2006(平成18)年度に導入した「看護実践能力向上のためのキャリア開発ラダー(以下,実践者ラダー)」を皮切りに,2010(平成22)年度より「看護管理実践能力向上のためのキャリア開発ラダー(以下,管理者ラダー)」,平成23年度より「国際活動における看護職の実践能力向上のためのキャリア開発ラダー(以下,国際ラダー)」を導入してきた。

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レベルⅠ

日々の積み重ねとしてのラダー

岩村直美 大津赤十字看護専門学校 専任教師

自己紹介とラダー申請のきっかけ

 臨床経験は病棟14年,外来2年,居宅介護支援事業所と訪問看護ステーションで5年経験し,2011(平成23)年より専任教員になりました。

 「地域の人々の健康を守る仕事がしたい」と思い看護師になり,専任教員としては,地域で活動できる看護師が育つことをめざしています。担当は在宅看護論で,自らの地域での学びを理論と合わせ学生に教授できるように努力しています。

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レベルⅠ・Ⅱ 評価者として

「評価会」を中心に

満間信江 富山赤十字看護専門学校

キャリア開発ラダーとのかかわり

 私は10年間富山赤十字病院で勤務し,その後専任教師として母校の富山赤十字看護専門学校(以下,学校)で看護基礎教育に携わることになった。看護師として生意気盛りの時期に学校に異動し学生とじっくりかかわることによって,学生が育つ楽しみを味わうことができた。また人を育む責任や重要性を実感するとともに,看護を基礎に立ち返って学び,視野を拡げることもできた。そうして自分なりに成長を感じながら10年が過ぎた2001(平成13)年,再び病院に戻った。久しぶりの臨床実践現場で支えとなったのは,頼もしく成長している教え子達であった。

 2006(平成18)年に全国の赤十字病院に「看護実践能力向上のためのキャリア開発ラダー」が導入され,病棟師長をしていた私は,自病院での普及を図る役割を任された。申請が進むなかで,特に実践者ラダーのレベルⅠ・Ⅱは,就職して3年以内の申請者数が最も多く,師長としても,毎年若い看護師の成長を感じることができ,評価会に参加することが楽しみであり喜びであった。

連載 学生なら誰でも知っている 看護コトバのダイバーシティ・2

傾聴 木村 映里
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 こんにちは。学生のときに教わった言葉と臨床でのギャップについての連載,2回目のテーマは「傾聴」です。

 私の病院は看護記録の様式にフォーカスチャーティングを採用しており,「不安の訴えあり」あるいは「治療に関する感情表出あり」とFocusのついた看護記録がよくあります。1年目に読んで不思議に思ったことが,Dataには患者さんのお話を,ご本人の表情を交えながら綿密に書いているにもかかわらず,Actionに関しては「傾聴する」の一言でおしまい,という看護記録の多さです。「患者さんが不安を訴えてきたら,『そうなんですね』『お辛いですね』と,相手の話を否定することなく傾聴しなさい」と学生のときに教わったものの,実際現場に入り,患者さんのお話を「そうなんですね」と聴いているだけでコミュニケーションが成り立つわけも当然なく,先輩方が患者さんの不安にどう対応しているのかをいちばん知りたいときにガツガツと読んだ看護記録での先輩方の対応が,「傾聴する」の一言でしたので,これじゃわからん……と溜息をついたことをよく覚えています。

連載 優れた“わざ”をどう伝えるか 技術の「背後にある意味」を教える・2

流れる動き 寝衣交換 阿保 順子
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 看護技術の教え方って,なぜかぶつ切り。「必要物品はこれこれです。患者さんに説明します。必要な場合は同意書をとります。実施する順序はこうです。終わったら評価をします。おしまい」こんな按配です。

 急に入院した。何がなんだかわからないほどしんどい。身の置き所がない。ナースコールを押す。「背中が痛いんですか?」「背中も,どこもかしこも苦しいんです」「そうですか,体,横にしますね。どうです?大丈夫ですか?」「あ〜,はあ〜」「それじゃあ,何かあったら呼んでください」。仰向けの体を横にし背中に枕を入れて看護師は去っていく。「背中でもさすって,もうちょっと楽にして〜」。お片づけじゃあるまいし,縦のものを横にするだけ?これが体位変換?

連載 「配慮が必要な学生」の学びにつなげる対応 臨地実習における教育上の調整を考える・2

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 前回は,臨地実習において配慮が必要な学生と,教員や臨床指導者が抱く困難感について概説しました。今回は,具体的にどのような支援をするのかについて検討したいと思います。この検討において,2016年4月から施行された「障害者差別解消法」による合理的配慮の見解をふまえる必要があると考えます。

 本稿では,まず,この法律による合理的配慮の見解を紹介し,その後,臨地実習における教育上の調整の内容について検討します。

連載 だから私はこう書いた 系看著者のフィロソフィー・6

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書籍を貫く哲学

「子どもと家族が中心」とは?

─奈良間先生が,系統看護学講座「小児看護学概論/小児臨床看護総論」「小児臨床看護各論」を編集されていく際の,柱とされたお考えからお話いただけますか。

奈良間 私たちがこの本をつくっていく際,「子どもと家族が中心の看護」を根幹としました。

 「中心」とは,子どもと家族が主体である,という意味です。どの領域の医療でも,看護の対象となる方は命や健康など,人間の中核部分の問題を抱えている方が多いです。そうすると,疾患や障害以上に,その方の尊厳や,主体であるということが損なわれやすい状況が起こります。これを防ぐためには,医療職がどうしたいか,ではなく,その方が現状をどうとらえて,どのように在りたいか,という視点に立つ必要がありますし,子どもや家族と身近に接する看護師にこそ,この姿勢は求められると思います。

連載 グループワークの“達人”への道・8【最終回】

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 前回までは,どのようにしたら,学生たちが楽しく,そして意義深いグループワークを展開することができるかを考えてきました。グループメンバー間のコミュニケーションはもちろんのこと,加えてグループ間の交流を図ることなど,クラス全体の運営も視野に入れてきました。今回は,学生と教員の意思疎通や情報共有のための仕掛け,ならびにグループワークにさらなる刺激を与えるための工夫について提案します。最後に教員の新しい役割について考えていきたいと思います。

連載 東西南北! 学生募集旅日誌・8

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 すっかり季節はずれではありますが,今回は昨(2016)年の福岡の夏旅をご紹介します。

 第1回の旅日記で綴ったように,本校は奈良県にある学校ですが,入学試験では福岡市の天神を受験会場の1つにしています。ですので,九州地方の受験生はほとんどの方が福岡会場で受験をしています。今年の推薦・社会人専願入試も,出願者の約3割が福岡での受験生でした。

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緒言

 看護系の教育課程では,学生に一定の看護実践能力を備えさせることと,その看護実践能力を生涯にわたって向上させるような基礎能力を身につけさせることが期待される1)。近年,インターネット技術を用いた学習形態であるe-learning教材の活用が注目され,次第に広まりつつある2-4)。オンライン学習に関する研究をシステマティックレビューした結果では,e-learningと対面式教育方法の併用は学生に対して高い学習効果をもたらす可能性があるが,実証的研究自体が少なく,さらなる研究が必要であることを報告している5)

 看護系大学では,1年生を対象にして基礎看護学を開講することが多い。低学年のうちに,看護実践能力を主体的に学ぶための基盤が築かれることは,その後の大学生活の学び全体に影響する。本稿では,基礎看護学教育において対面式教育とe-learningを併用して,学生の主体的な学習を促すための取り組みを行ったので報告する。なお,ここでの学生の主体的な学習とは,学生の自発的な予習・復習への取り組みを指す。

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看護に必要な解剖学実習を求めて

 近年,看護師には高い判断能力が求められ,看護基礎教育においてフィジカルアセスメントの強化が必要とされるようになった。変化する病状や生活を理解して看護を行うために,臓器の正常な形状と位置関係や機能を学ぶ解剖生理学は基礎となるものであり,重要である。

 指定規則に示された「人体の構造と機能」においては,「人体を系統立てて理解し,健康・疾病・障害に関する観察力,判断力を強化するため」の科目として解剖生理学が位置づけられ,「臨床で活用可能なものとして学ぶ内容とする。演習を強化する内容とする」1)とされている。また,看護における解剖生理学に関する研究内容の分析から,「看護学教育という視点からの教育内容の検討」「解剖学の教育内容や方法を洗練するための研究」および「講義内容を構造化するための研究」2)の必要性が指摘されている。

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INFORMATION

新刊紹介

基本情報

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看護教育
58巻2号 (2017年2月)
電子版ISSN:1882-1391 印刷版ISSN:0047-1895 医学書院

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