連載 看護に恋した哲学者と読む ベナーがわかる! 腑に落ちる!・1【新連載】
哲学者とベナーを読む
榊原 哲也
1
1東京大学大学院人文社会系研究科
pp.398-403
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200984
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近くて遠いベナー
パトリシア・ベナー(Patricia Benner, 1943─)。おそらく読者のみなさん誰もがご存知の看護理論,看護教育理論の世界的権威です。多くの著作が日本語に翻訳され,読者の関心も高く,みなさんの多くは,おそらく書棚に『ベナー看護論』をはじめ何冊かの著作を備え,多少なりともその理論にふれておられることと思います。また,たびたび来日して講演会や講習会が開かれていますので,みなさんのなかには,書物を通じてだけでなく,講演会や講習会に参加してベナーの話に直接耳を傾けた方もおられるかもしれません。さらに,ベナーによる5段階の技能習得モデルがご自身の臨床現場で教育プログラムやキャリアラダーに採用されていて,とても身近だという方もいらっしゃるのではないかと察します。
このように,おそらくは,多くのみなさんがベナーに関心を持ったり,身近に感じたりしているにもかかわらず,他方では,実際にベナーの著作を読んでみると,難しい,そもそも理論はよくわからないという方も,決して少なくないと聞き及びます。
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