保健婦雑誌 58巻7号 (2002年7月)

特集 職場マネジメントの技術―ヒト・モノ・カネの使い方

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 山田 今日は,ベテランのお2人にお越しいただき,「地域活動における看護管理」をテーマに話していただきます。管理にはさまざまな機能がありますが,現在の職場の問題に沿って話を進めたいと思います。自己紹介をかねて,これまでの経験や現在の立場についてお話しください。

 竹澤 私はこの4月から社会福祉協議会へ派遣されていますが,今年の3月までの2年間は,住民福祉部長として,課長級の職員を中心に,事務職と専門職が一緒になった,正規職員だけで100名近くの職場で人事管理を行っていました。保健師以外の職種の人事管理は初めてで途惑いましたが,私がやりとおしたのはコミュニケーションをとり,徹底した議論を重ねるということでした。課長たちは,「部長と話が始まると家に帰れない」と覚悟していたようです(笑)。

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 保健師職のもつ管理機能

 行政管理における管理事項として,ひと(人事・労務・業務管理)・もの(環境・物品などの管理)・金(経営・財政・費用対効果などの管理)・情報(個人情報・情報収集・地域診断・コンピュータなどの管理)があげられる。一方,自治体の保健師が行う看護管理としては,地域住民に対するよりよい看護サービスを提供するための活動のなかで,地域診断機能,計画・評価機能,相談・支援機能,教育・普及啓発機能,調整・ネットワーク機能,システム化。施策化機能などを挙げることができる1)。こうした看護管理事項は,行政管理における管理事項と関連させて管理されるべきものと考えている。

 行政において管理機能を発揮するためには,保健師の枠のなかだけで考えることから脱皮し,それぞれの機能が独立したものではなく,総合的に関連を持ちながら機能していることを受け止め,「何のために」を重視した管理をする意識改革が必要であると考えている。

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 岐阜県においては,平成12年4月,保健所を含めた現地機関(出先機関)が再編され,同時に保健所内の組織も改編された。また,各種法律の改正による県と市町村の役割の変化,地方分権(住民主体)の推進,情報技術の進歩など保健師をとりまく環境は激変している。

 このような状況のなかで,保健所の保健師から,「目先の仕事に追われ多忙で働きがいがない」「辞めたい」「新任者の教育がうまくいかない」などの声が聞こえてきた。そこで,職場環境や仕事のやりがいなどについて把握し,保健師としての仕事ができる環境づくりを支援するために,保健所に勤務する保健師に電子メールによるアンケート調査を行い,対応策を検討した。まだ関係者間で十分な協議を行っていないが,現段階での私見を述べたい。

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 派遣までの経緯概略

 昭和53年の厚生省公衆衛生局長通知「市町村における健康づくり実施体制の整備等について」「市町村における保健婦活動について」により,市町村保健師の設置に向けて市町村の指導を実施してきた。しかし,その効果も少ないまま,昭和58年,老人保健法の施行となった。保健師未設置町村の老人保健事業の実施に対しては,保健所受託により支援してきたが,保健事業実施に対してのみの支援には限界もあり,町村の健康課題を明らかにした保健事業の計画的展開に向け,県保健師の派遣が強く求められた。それを受け,平成元年より派遣に関する具体的な検討を開始したが,細部について県,保健所,町村,保健所保健師らとの合意形成に至らず,派遣にはつながらなかった。

 その後,平成4年度老人保健福祉計画にもとづき市町村保健師の必要数が提示されたこと,および平成6年の地域保健法制定を前に保健師確保が一層緊急の課題となり,平成5年度に,再度派遣について未設置町村と検討を開始した。

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 平成12年4月に地方自治法をはじめ多くの法令が改正され,地方分権が大きく進みました。財源確保に課題を残すものの都道府県においてはほぼ完全に,市区町村においては都道府県との関係を除き分権の実現を見ました。自治体が自己の判断と責任で地域の問題をとらえ,地域的特色を反映しながら解決策を定めて実施する,自治体政策形成による問題解決が制度的に保証されました。

 現在,各自治体は「健康日本21」の策定,介護保険法運用の本格化などの状況下で健康増進や介護予防を目標に据えた独自の健康政策の形成を進めていると思います。保健師も所属する立場の違いはあれ,今後ますます独自の政策形成と効率的執行の重要性と専門性の効果的反映の必要性を感じていると思います。

連載 金丸弘美の食をめぐる旅・7

自然の恵み「ハチミツ」
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 なにげなく食べているハチミツ。どうやって蜜はできるのか。

 蜜蜂たちの働きをのぞいてみると,不思議なことばかりである。私たちが普段食べているハチミツは,蜜蜂たちが集めてきた蜜である。蜜を取るために,巣箱で蜂を飼育し,それを花の多い畑や野山に設置するが,蜜作りはまったくの自然まかせで,蜂たちの働きのたまものだ。

連載 感染症 Up to Date・70

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 疥癬とはヒゼンダニ(写真1)が皮膚の角質層に寄生し,人から人へうつる感染症である。病型には,普通の疥癬とノルウェー疥癬(角化型疥癬)の2つがある。

 現在,全国各地の老人病院や老健施設などで,高齢者を中心に集団発症が続いている。発症年齢は,流行初期では男女とも35歳以下がほとんどであったが,最近では高齢者とその主な介護者である中年以降の女性に発症が多い。

連載 病とともに紡ぐ援助論・4

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 1クール4週間かかる化学療法を4回,その間に放射線療法を33回受け,原発巣がもとの大きさの40%に縮小した時点で,いったん退院することになった。冬に枯れ木であったあたりが,豊かに葉を繁らせた林になっている。外に出ると,初夏の眩しい陽光が,目に滲みる。病との向き合いが終わるわけではないが,病棟での暮らしからの解放は,私に束の間の休息を与えてくれるようであった。

 入院当初は,私自身が精神的,社会的,スピリチュアルな健康を損なわないためにも,あえて他者との関係を求め,見舞客の来訪を歓迎していた。とりわけ,同僚たちの見舞いは,現場の情報を伝えてくれる機会にもなっていたので,意識のうえではまだ職業人であることを確認できた。携わっていた事業の実践報告的なものを,協力者の大幅な手助けを得て病室にいる間に書いてみた。このように何らかの形で社会的存在たり得ていると認識できることは,精神の健康を保つうえで重要なことである。

連載 ニュースウォーク・52

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 4月19日夜,仕事仲間と久しぶりに一杯やって,帰宅してからインターネットの新聞社サイトを開いた。長年の習慣である。PC画面に「川崎で“安楽死”事件」のニュース速報が流れていた。残っていた酔いも覚めてしまった。終末期医療のあり方にかかわる仕事をしているため,マスコミから取材を受ける立場になった。

 3年前,川崎市の川崎協同病院で起きた「事件」はまだ事実関係が明らかでない。男性患者の死に何らかの違法性があったのではないか,と病院が指摘し,警察が捜査している段階である。新聞やテレビ報道には「安楽死」事件の文字が躍っている。一見わかりやすい表現のようだが,正確ではないと思う。いま呼べるのは「筋弛緩剤投与死」事件である。

連載 立川らく朝のヘルシートークウラ噺・7

とらとら出ましたね
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「回転寿司って,ご存知ですか。ベルトコンベヤーみたいな台の上にお寿司の皿が乗って,ぐるぐる回って来るのを皆で食べるでしょ。カウンターに座ってる時は気が付かないけど、食べてる人を外から見ると,あれ、ほとんど養鶏場のブロイラー。そう思うと嫌だけど,でも安いもんだから,またすぐに食べに行っちゃう」

 これ何の話だと思います。ラジオのディスクジョッキーではありません。じつは,れっきとした健康セミナーの一コマなのです。健康セミナーとはいっても,「立川らく朝のヘルシートーク」。糖尿病とはどんな病気かというトークのま最中なのです。

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 藤山直美がヒロインを演じる音楽喜劇「大阪から来た女」が,大阪と東京で行われた。ロングラン公演だったので,ご覧になった方もおられるかもしれない。舞台は戦後,東京にある港町。大阪から来た1人の女性が地域の人たちを巻き込んで繰り広げる,涙あり,笑いありの物語だ。演劇・音楽がもともと好きなせいもあるが,自然と舞台に引き込まれてしまった。音楽のもつ力に改めて心を動かされた。

 小生は45歳の内科医。糖尿病など生活習慣病を専門としているが,音楽療法に関心をもち,現在は日本音楽療法学会評議員として,音楽療法の普及に力を注いでいる。

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 本論は,保健師の新任研修において,事例検討をプログラムに取り入れることの効果を明らかにし,今後の研修課題を考察するものである。

 研修参加者には,事前に各自の困難事例を検討材料として提出してもらった。その結果,精神障害者の事例が最も多く,新任保健師は精神障害者の事例の展開に困難をきたしやすいことがわかった。また,それらの事例は,子育て,単身生活,家族関係というキーワードにより3つのグループに分けられた。対象区分別・内容別のグループで事例検討を行った結果,研修生は,事例についての課題と援助の方向性を見出し,援助方法を検討し,グループワークの効果を実感し,職場でも事例を相談する意義について学んでいたことが明らかにされた。

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 旭川医科大学医学部看護学科では,地域保健看護学および関連科目は2年次から開講し,学年の進行に合わせて授業内容を調整し,統合を図ってきた。とくに実習は,旭川保健所と連携・協働して保健所実習の目標・方法などを設定し,2年次の見学実習から段階的に学習する実習システムを構築した。

 実習のシステム化に際しては,大学と保健所とで頻回に協議を行った。大学からは,保健所実習の目標・方法など教育意図を明示し,保健所は実習の計画段階から学生に何を学んで欲しいのかを提示することで,共通認識を持って実習を組み立てることができた。

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 小規模作業所などに通所する精神障害者が,生涯学習に対してどのような意識を持っているのか,あるいは「学習」というものをどのようにとらえているのかを調査分析することを目的とし,質問紙による調査分析を行った。

 その結果,地域で生活する精神障害者は,「生涯学習」に関心を持ち,「病気についての知識」「健康・体力づくり」について学びたいとのニーズは高く,その学び方は専門家からのみでなく,経験者から個人的に,あるいはセルフヘルプ・グループのなかで学びたい傾向にあった。また,「暮らしの知識・情報」「地域づくり」など地域生活に根ざした学習テーマについても学びたいとのニーズは高く,その学び方は,セルフヘルプ・グループや地域の人々とともに学びたいと考えていることが明らかになった。

基本情報

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保健婦雑誌
58巻7号 (2002年7月)
電子版ISSN:2185-4041 印刷版ISSN:0047-1844 医学書院

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