連載 ニュースウォーク・52
「治療中止」どうしますか
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.620-621
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902651
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4月19日夜,仕事仲間と久しぶりに一杯やって,帰宅してからインターネットの新聞社サイトを開いた。長年の習慣である。PC画面に「川崎で“安楽死”事件」のニュース速報が流れていた。残っていた酔いも覚めてしまった。終末期医療のあり方にかかわる仕事をしているため,マスコミから取材を受ける立場になった。
3年前,川崎市の川崎協同病院で起きた「事件」はまだ事実関係が明らかでない。男性患者の死に何らかの違法性があったのではないか,と病院が指摘し,警察が捜査している段階である。新聞やテレビ報道には「安楽死」事件の文字が躍っている。一見わかりやすい表現のようだが,正確ではないと思う。いま呼べるのは「筋弛緩剤投与死」事件である。
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