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読者からの手紙
平林 京子
1
1長野県保健婦専門学院
pp.7
発行日 1957年1月10日
Published Date 1957/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201325
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しばらくごぶさたしました.信州はもう粉雪の季節になりました.この頃は忙しくて炬燵でよなべ仕事です.慢性疾患レポートを一句一句読んでいますとあちこちに頭を叩かれるような問題がでてきて,一筆走らせます.
6年前に高血圧症と分つていてこの5月に山羊の餌をつめた草籠をしよつたまま倒れた農家の主婦が「わたしや,若い時何の罪なこともせなんだのにこんな中風になつて,いつそ早く死にたい」といって右半身不随で滅入るような生活をしている.この家を訪問した学生Sが終りにこう書いているのです.……60年を人として立派に子も育て家の切りもりをした人をこんな風に扱つていいのだろうか。嫁は忙しすぎる.主人は田畑の手入れより他に関心はない.せめてお爺さんが便器を使う時の世話ぐらいしてくれればいいのだが……本人は悲んでいる.周囲はすべて諦めにまかせている.
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