看護研究 50巻6号 (2017年10月)

特集 看護を変革する看護実践研究の可能性─英国のWork-based learning(WBL)/Work-based research(WBR)を含めて

黒江 ゆり子
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 看護学は,実践が基盤となる学問である。看護実践は専門性が高く,その実践は日々改善・改革を進め,質を発展的に向上させることが求められている。それは,保健医療福祉利用者1人ひとりに対する責任でもある。そのような実践の改善・改革を可能にするのが看護実践研究である。

 岐阜県立看護大学は,看護実践研究を基盤とした教育研究を,看護学科および看護学研究科(博士前期課程・後期課程)の基本理念としていることから,看護実践研究に10年以上前から取り組んでいる。この研究法の構築のプロセスの中で,英国で医療全体の質改善に向けて体系的に取り組まれているWBL/WBR(Work-based learning/Work-based research)に出会い,2004年から国際交流を続けている。本特集では,まず看護実践研究の考え方と特徴,および大学院における実践研究のあり方について概説し,次に,看護実践研究と同じ志向性をもつWBL/WBRについて,英国の大学院教育におけるWBL/WBRに関する講演のために2016年に招聘したT. Moore先生とS. Cunningham先生(ともにMiddlesex University)に,WBL/WBRの考え方や,基盤となる理論などについて寄稿いただいている。その上で,看護実践研究の事例を紹介する。それぞれ大学院における3年以上にわたる研究活動であり,研究のプロセスと意義,実際が示されている。そこには,研究を進める上での困難を乗り越えながら現場の変容へと至る実践研究の醍醐味がある。

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はじめに

 看護学においては,量的研究や質的研究,あるいは混合型研究などの多様な研究が可能である。看護実践の質向上が第一義的であるときは,実践改革の視点をもった看護実践研究を進めることができる。看護実践研究に重要なのは,保健医療福祉利用者中心の視点で看護実践を考え,その研究的取り組みを継続できる組織体制の変革という方向性と,看護実践の改革者としての認識をもった人材育成という方向性を同時に有していることである。

 実践研究および実践型研究については,臨床心理学領域(下山,1997;下山,能智編,2015),教育学領域(広瀬,尾関,鄭,市嶋,2009;西之園,生田,小柳編著,2012),およびソーシャルワーク(社会福祉学)領域(宮嶋,2013;日本社会福祉士会,2013)等において,1990年代後半より,その必要性・意義と考え方が時間をかけて検討されてきた。臨床心理学領域においては,実践を通して研究する実践型研究は,データ収集の場が「実践」となる研究であり,まさに実践活動そのものが研究プロセスの一部となるため,こうしたタイプの研究は自然科学のパラダイムには収まらないと指摘され(下山,1997),また2000年代初期には,教育学領域において,実践=研究の立場に立つ実践研究では,実践の中から理論を構築するために,それにふさわしい方法論の獲得が求められると指摘されている(広瀬,尾関,鄭,市嶋,2009)。これらの指摘は,実践活動を基盤とする看護学においても貴重な示唆となる。私たちは,看護学における実践研究をどのように捉え,「看護実践研究」として推進していくことができるのか,深い時間をかけて検討する必要がある。

 筆者が所属する大学は,看護実践の改善・改革に向けて活動できる人材育成をめざしている。これは看護学科・看護学研究科に共通する理念であり,教育研究内容に広く深く反映されている。10年以上にわたり,看護実践に基盤を置く研究を追究し実施し,その成果の確認を積み重ねてきたことを基盤に,こうした方向性をもつ研究の重要性と看護学における意義を認識するに至っている。こうした特質を踏まえ本稿では,地域基礎看護学領域における筆者らの経験に基づき,看護実践に基盤を置く看護実践研究の基本的な考え方と方法を確認するとともに,その意義と今後の課題について検討したい。

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はじめに

 岐阜県立看護大学は,2000年4月に看護学の単科大学として開学した。2004年4月には大学院看護学研究科修士課程を開設し,2006年4月には博士後期課程を設置,すでに卒業者は1100名余りに達しており,修了者を約130名輩出している。看護学の学士課程および大学院博士前期・後期課程においては,一貫して看護実践研究を中核に位置づけて教育を展開してきている。

 本稿では,その看護実践研究を本学ではどのように教えているのか,本学の理念との関係,および教育課程における位置づけを確認しながら,看護実践研究に関する教育の実際について概説する。

【英国のWBL/WBRとは】

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 Traditional approaches to Higher Education (HE) does not truly capture meaningful organisational and personal learning, as it does not easily identify knowledge required for and generated from practice. Work-based learning (WBL) works with organisations, the University and the learner in order to create new learning opportunities in the work place.

 Middlesex University (MU) has pioneered the development of WBL at HE level within the United Kingdom since the early 1990's and provides educational provision from foundation degrees through to Professional Doctorate level.

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 高等教育(Higher Education; HE)におけるこれまでのアプローチは,組織としての学び,および個人としての学びの意味を捉えているとはいいがたく,また,実践のために実践から導き出された知識を明らかにしているともいいがたい。WBL(Work-based learning;実践活動を基盤にした学び)訳註1は,組織・大学・学習者がともに機能しながら,実践活動の場において新たな学びの機会を創生する。

 1990年初頭から,英国のMiddlesex Universityは,高等教育レベルにおけるWBLの発展を推進し,基礎的学位から専門的な博士の学位までの教育を積み重ねてきた。

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 This article provides a ‘lens’ to focus on some examples of work-based research in action within nursing and healthcare. The examples used are compiled from first-hand experience of the author as supervisor and mentor of students during this process to illustrate the range and scope of the work and the personal and professional environments in which it has been undertaken. This is not exhaustive but simply illustrative. Lester (2016) asserts work-based research or ‘practice-as-research’ pulls against academic orthodoxy of higher level awards since it is based on discrete research activity and harnesses expertise in organisations for change and development. Uniquely it embraces transdisciplinarity positioning the ‘worker-researcher’ as the change agent. These examples amply reinforce this. These examples mainly focus around postgraduate projects from masters to doctoral level work as these are the main ones encountered but many are also found at BSc level. In the main the level also dictates the scope, extent and complexity of the project reflective of the academic level but also the position and influence of the worker-researcher. These illustrated examples present how the work-based (nurse) researchers approached their individual research projects and the support needs and processes which were utilised. The issues of being an insider-researcher will also be addressed as well as the organisational and students' personal and professional aspirations with this. It is evident overall from the examples drawn upon that there is a wide array of insider-research being engaged with equally broad motivations to undertake research drawing on an increasing breadth of research methods.

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 本稿は,看護および保健医療分野におけるWBR(Work-based research)の実例に焦点を当てている。これらの実例は,筆者がスーパーバイザーまたはメンターとして直接経験したものであり,WBRのプロセスにおける実践活動を描き,かつ個人的・専門的環境の範囲や視野を示したものである。全体を網羅しているものではないが,説明に必要な概要を示している。Lester(2016)は,WBRまたは「研究としての実践practice-as-research」は,組織の変革と発展のために個別の研究活動および専門的技術に基づいていることから,高いレベルの高等教育における正統派的信念とは対立することがあるとしている。WBRでは,学際的立場をとる「実践研究者:worker-researcher」を,チェンジエージェント(変革者)として捉えており,これらの実例は,この点を十分に説明するであろう。ここでの実例は,主に大学院の修士課程および博士課程の業績に焦点を当てているが,学士(BSc)課程においてもまた見いだされる。プロジェクトの視野・範囲・複雑性を示しており,それらは学術的レベルに影響を与えるとともに,実践研究者の立場にも影響を与える。ここで示されていることは,WBRの研究者(看護職)がいかにして個々の研究プロジェクトにアプローチしたか,そしてどのようなサポートニーズとプロセスが用いられたかである。インサイダーリサーチャー(内部的研究者:insider-researcher)であることの論題は,組織的・個人的・専門的な向上心とともに記述されている。実例から全体として導き出されることは,インサイダーリサーチ(内部的研究:insider-research)の多くが,研究手法を一層広げるという動機をもって行なわれているということである。

【看護実践研究の具体的取り組み】

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はじめに

 わが国では急速に少子高齢化が進み,「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向け,医療提供体制は医療機関完結型から地域完結型へと移行している。2014年度の診療報酬改定では,入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携,在宅医療等の充実への取り組み,医療提供体制の再構築,「地域包括ケアシステム」の構築が基本認識・重点課題として示され,医療機関では,①急性期後の受け入れ,②在宅復帰支援,③在宅からの緊急入院の受け入れの役割・機能を果たす「地域包括ケア病棟」が創設された(厚生労働省,2014)。

 地域包括ケアシステムの中での医療サービス利用者のニーズは,自身の意思決定に沿った退院後の療養生活が保障されることであり,そのニーズに応えるには,医療機関における退院支援の質向上が責務となる。短期間の入院の中で,入院中の療養生活から在宅療養へとスムーズに移行するためには,入院時から退院後の生活を見据えた療養生活上の支援や,在宅で提供される医療・介護サービスとのスムーズな連携が強く望まれており,そこで重要となるのが,入院時からの退院支援である。

 筆者は2004〜2012年度の9年間,A病院の看護職者と協働し,退院支援の質向上に向けた看護実践研究に取り組んだ。その中で,筆者の研究活動の基盤となった博士前期課程の研修生の立場での取り組み「退院後の療養生活の充実に向けた支援方法の開発」を紹介しつつ,看護実践研究の特徴とその重要性について考える。

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はじめに

 突然の受傷により遷延性意識障害となった患者は,これまでに習得した能力や生活,そして思い描いていた未来への希望を一気に失う。自らの感情表出や活動が困難となり,常に他人の援助を必要とする生活となる。一方,家族の毎日は,時に深い悲しみや絶望感,怒り,受け止められない現実を伴ったまま過ぎていく。このような患者や家族に対して,看護職は役に立ちたいと感じながらも,患者を前にすると生活援助や合併症予防の援助にとどまり,家族を前にすると家族からの期待にプレッシャーを感じ,踏み込んだ援助を実践できない状況にある。

 筆者がこれまで病棟でかかわり,意識障害から脱却した患者は,「ボクハイッショウコノオリ(ベッド)ノナカデイキテイク」(筆談),「(意識がないと思われている時期の医療職者の声掛けに対し)大人として扱ってほしかった」(筆談)といった患者の耐えがたい悲しみや思いを表出していた。先行研究において,患者の思いを基盤に意識障害看護の特質を明らかにした報告はほとんどない。病棟看護師の立場からは,佐々木,佐々木(2014)が「意識障害看護を20年経験した看護師でさえ,患者に行う行為が,本当に患者が望んでいるのかと悩んだり,変化のない患者に対して虚しさを感じる」など,患者とのかかわりにおいて看護職が直面する困難な状況を指摘している。

 一方,家族は筆者に,リハビリテーション(以下,リハビリ)に対する期待や,「病院で死なせてあげたほうが本人は楽だったのかな」「障害者手帳の申請にどうしても踏み切れない」など,意識障害が遷延する患者と向き合う苦しみや障害受容への葛藤について話していた。このような家族の苦悩に関し,石田(2008)は,家族が「子どもの状態に対し“受け入れの気持ち”と“否認”の気持ちの間で揺れていること」「子どもの体調や,周囲の環境によって容易に揺らぎやすい状態にあること」等を明らかにしている。

 本稿で紹介する筆者の研究は,遷延性意識障害者の家族の“気がかり”にアプローチし,入院経験を通して今後の生活に家族が希望を見つけ,患者本人とともに,よりいきいきと生きていくために,入院期間註1に,看護としてどのような援助ができるのかを明らかにすることを目的に,3年間取り組んだものである。

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はじめに

 近年,出産体験と産後1年以内の抑うつや虐待との関連が報告されている。女性がより豊かな出産体験をすることは,母親役割の受容について肯定的になるとともに,児に対する攻撃衝動性を抑制することが明らかにされており(竹原,野口,嶋根,三砂,2009),妊娠・出産への支援は重要な課題といえる。また,妊産婦自らが主体的に行動することが肯定的な出産体験や育児への自信につながる(三砂,竹原2009;松島,2003)といわれており,助産師は女性が,自らの産み育てる力を十分に発揮し,出産・育児に取り組めるように妊娠期から支援を行なっていく必要がある。

 筆者が博士前期課程の学生であった2010年当時,全国的に妊娠期における助産師のかかわりは希薄であると報告されており(斎藤,2010),岐阜県内においても,産科集約化による分娩施設の減少,助産師の就業場所の偏在など,妊娠期の助産師のかかわりは希薄であるといわざるを得ない状況であった。

 筆者は,大学教員として研究・教育に携わる中で,助産師による妊娠期からの継続支援の必要性を感じていた。さらに,地域で活動する助産師(以下,地域助産師)の複数が,産後の育児相談に対応する中で,「産後からのかかわりでは遅い。妊娠中から助産師がかかわる必要がある!」といった同様の課題意識をもっていると把握していたことから,博士前期課程において,「主体的な出産・育児に向けて地域助産師が行なう妊娠期の支援」に関する看護実践研究に取り組み,筆者自身も地域助産師の1人として,地域助産師らとともに「女性の主体性を引き出す妊娠期の支援プログラム」を考案し,プログラムの実践,効果の評価を行なった。本稿では,看護実践研究のプロセス,および看護実践研究としての本研究の意義と今後の展望について述べる。

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はじめに

 介護老人保健施設(以下,老健)では,中間施設という本来の役割とともに,医療を必要とする高齢者の医学的管理,看取りケア,重度認知症高齢者へのケアなど,多様なニーズに合わせた多機能なサービスの提供が求められている。看護職と介護職が協働する老健では,看護職には介護職に対して医療的な知識を提供するとともに,疾患の病態をふまえた具体的なケアの助言を行なう役割がある。医療的ニーズが高まるなかで,職員は高齢者とその家族の要望に応えるべく専門性を集結し,高齢者の生活を支えることに日々向き合っているが,一方で多様なニーズに対応しなければならないことによる困難さがあることも事実である。

 筆頭筆者が看護師として勤めるA老健の所属フロアでは,高齢者の個別ケアをチームで継続的に話し合う習慣がなく,カンファレンスを効果的に活用できていない状況であった。また,筆頭筆者が職員を対象に倫理的課題に関するアンケート調査を行ない(石原ら,2012),実践を振り返り,内省の機会をつくったことにより,組織的な倫理教育を行なう必要性が明らかになった。さらに,倫理的課題に気づいても,職員同士の関係を優先させるため,カンファレンスなどで意見を言語化しにくい職場風土があることも把握された。このように,継続したケア検討の場を設けることでケアの周知・統一を図るとともに,職員の倫理的感性を養うという質の向上が,所属フロアの課題であった。

 そこで本研究では,ケアプランを見直し,個別ケアの立案・周知を図るカンファレンス(以下,ケアカンファレンス)における継続的なケアの検討を通して,高齢者ケア施設における倫理に適った質の高いケアの実践を確実に行なう方法を明らかにすることを目的とする。

 なお,本研究においては,質の高いケアを「包括的アセスメントから,その人らしさを尊重したケアプランを立案・実施・評価していくこと」とする。

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はじめに

 本研究では,筆頭筆者の勤務する地域周産期母子医療センターにおいて,出生前診断によって胎児の予後不良が予想された家族へのバースプランを開発し,それに基づいたケアの効果を検討することを目的とした。

 本研究に取り組む背景として,自施設は県内唯一,婦人科診療のない母体胎児を専門とした診療科を有しており,出生前診断で予後不良を予想される胎児と母,家族のケアにあたることが多い。このような対象へのケアは,助産師5〜6名で構成された4つのグループで1事例ずつプライマリナーシングを行なっている。その際用いられていたグリーフケアプランは,家族の意思決定支援のためのものであるが,運用方法やケアに対する指針が明文化されておらず,出生前から児が亡くなる前提のように立案されていたり,チェックリスト化されていたりするという問題点があった。そのため,意思決定支援という本来の目的を見失い,妊婦と家族の思いや児への受容過程が置き去りであった。また経験3年目以下のスタッフは,予後不良の児と家族へのかかわりに不安を抱き,一方で経験を重ねたスタッフは,それぞれ自分の経験に基づいたかかわりを行ない,そのかかわりの意図やアセスメントを後輩に伝達していく機会も少ない現状があり,グループや病棟全体でケアが検討されることは少なかった。

 大山(1997)は,「予後不良児とその家族に接する際にはより“看護とは”を考え,チームの中の看護婦としての役割を十分考えていくことが大切である」と述べているが,自施設でも,家族が自分たちの気持ちと向き合い,「看護とは?」を考えて出産方法や出産時のケア,および児の治療・ケアなどについて意思決定していく過程を支援できるケアプランが必要だと考えた。その家族らしく児を受容していけるような,家族と看護職がともにつくる家族主体のケアプランは,従来のグリーフケアプランではなく,産まれてくる命と向き合うバースプランとして位置づけられると考えた。

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 患者K(70代・男性)の病状はよくなかった。主治医から,肺がんの治療は限界であり,緩和ケアを中心とした医療にしたいと告げられた。しかし,Kも妻も受け入れられずもがいていた。

 がん看護専門外来でCNSは2人と向き合った。妻は「この先,治療をどこに受けに行ったらいいのか困っています」と言う。その傍らでKは無言であった。CNSはKの腹部が"でっぷり"していることに着目した。Kの肩に触れ,腹部に触れて,Kが語らなかった「痛み」に言及した。すると,Kはからだの状態を説明し始めた。

連載 理論構築を学ぶ─看護現象から知を生むために・5

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はじめに

 概念は理論を組み立てるレンガであり(Hardy, 1974),このレンガを生み出す概念の構築は,理論構築において鍵となる重要なステップである。概念構築のプロセスには,①概念探究(Concept Exploration)(Norris, 1985),②概念の明確化(Concept Clarification)(Norris, 1982;Kramer, 1993),③概念分析(Concept Analysis)(方法の詳細は後述)(Wilson, 1963/1969;Schwartz-Barcott, & Kim, 2000),そしてMeleis(2012)が提唱している概念構築に至る経緯や,その後の吟味も含めた④概念構築の統合的アプローチ(Integrated Approach to Concept Development)の4つの主要な戦略がある。Meleisは,同僚や学生とともに,長年にわたって概念構築のための統合的アプローチを用い,概念,ナラティブや理論的命題を開発してきた。既存の方法では,①文脈を捉えることに限界があり,医療が組み込まれている社会構造に存在する偏見(性差別,政治主義,人種差別)を抑制できないこと,②臨床実践の視点や臨床実践家の経験から概念を構築するガイドラインとして限界があること,③概念構築の過程を一連の構成要素,手順,段階に帰着させるようなアプローチをとること,という3つの理由から,Meleisは新たな方法として,統合的なアプローチを開発した。そこで本連載第5回は,Meleisの概念構築の統合的アプローチを参考に,理論構築に向けた概念構築のステップ(表1)について概説していく。理解を深めるために,Meleisの開発した統合的アプローチの方法に基づいて,医療資源の不足するアフリカでフィールドワークを行ない,「Village Health Worlker(VHW)」という概念を構築したBenskin(2012)の論文「A concept development of the village health worlker」を例に,概念構築のプロセスを,適宜図や囲みの中で引用もまじえて示しながら,それぞれのステップをみていこうと思う。

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基本情報

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看護研究
50巻6号 (2017年10月)
電子版ISSN:1882-1405 印刷版ISSN:0022-8370 医学書院

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