特集 看護を変革する看護実践研究の可能性─英国のWork-based learning(WBL)/Work-based research(WBR)を含めて
扉
黒江 ゆり子
1
1岐阜県立看護大学大学院
pp.517
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201429
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看護学は,実践が基盤となる学問である。看護実践は専門性が高く,その実践は日々改善・改革を進め,質を発展的に向上させることが求められている。それは,保健医療福祉利用者1人ひとりに対する責任でもある。そのような実践の改善・改革を可能にするのが看護実践研究である。
岐阜県立看護大学は,看護実践研究を基盤とした教育研究を,看護学科および看護学研究科(博士前期課程・後期課程)の基本理念としていることから,看護実践研究に10年以上前から取り組んでいる。この研究法の構築のプロセスの中で,英国で医療全体の質改善に向けて体系的に取り組まれているWBL/WBR(Work-based learning/Work-based research)に出会い,2004年から国際交流を続けている。本特集では,まず看護実践研究の考え方と特徴,および大学院における実践研究のあり方について概説し,次に,看護実践研究と同じ志向性をもつWBL/WBRについて,英国の大学院教育におけるWBL/WBRに関する講演のために2016年に招聘したT. Moore先生とS. Cunningham先生(ともにMiddlesex University)に,WBL/WBRの考え方や,基盤となる理論などについて寄稿いただいている。その上で,看護実践研究の事例を紹介する。それぞれ大学院における3年以上にわたる研究活動であり,研究のプロセスと意義,実際が示されている。そこには,研究を進める上での困難を乗り越えながら現場の変容へと至る実践研究の醍醐味がある。
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