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本稿は,看護および保健医療分野におけるWBR(Work-based research)の実例に焦点を当てている。これらの実例は,筆者がスーパーバイザーまたはメンターとして直接経験したものであり,WBRのプロセスにおける実践活動を描き,かつ個人的・専門的環境の範囲や視野を示したものである。全体を網羅しているものではないが,説明に必要な概要を示している。Lester(2016)は,WBRまたは「研究としての実践practice-as-research」は,組織の変革と発展のために個別の研究活動および専門的技術に基づいていることから,高いレベルの高等教育における正統派的信念とは対立することがあるとしている。WBRでは,学際的立場をとる「実践研究者:worker-researcher」を,チェンジエージェント(変革者)として捉えており,これらの実例は,この点を十分に説明するであろう。ここでの実例は,主に大学院の修士課程および博士課程の業績に焦点を当てているが,学士(BSc)課程においてもまた見いだされる。プロジェクトの視野・範囲・複雑性を示しており,それらは学術的レベルに影響を与えるとともに,実践研究者の立場にも影響を与える。ここで示されていることは,WBRの研究者(看護職)がいかにして個々の研究プロジェクトにアプローチしたか,そしてどのようなサポートニーズとプロセスが用いられたかである。インサイダーリサーチャー(内部的研究者:insider-researcher)であることの論題は,組織的・個人的・専門的な向上心とともに記述されている。実例から全体として導き出されることは,インサイダーリサーチ(内部的研究:insider-research)の多くが,研究手法を一層広げるという動機をもって行なわれているということである。
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