特集 看護を変革する看護実践研究の可能性─英国のWork-based learning(WBL)/Work-based research(WBR)を含めて
【看護実践研究の具体的取り組み】
退院後の療養生活の充実に向けた支援方法の開発
藤澤 まこと
1
1岐阜県立看護大学地域基礎看護学領域
キーワード:
看護実践研究
,
利用者ニーズ
,
退院支援
,
療養生活の充実
,
支援方法の開発
Keyword:
看護実践研究
,
利用者ニーズ
,
退院支援
,
療養生活の充実
,
支援方法の開発
pp.563-571
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201436
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はじめに
わが国では急速に少子高齢化が進み,「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向け,医療提供体制は医療機関完結型から地域完結型へと移行している。2014年度の診療報酬改定では,入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携,在宅医療等の充実への取り組み,医療提供体制の再構築,「地域包括ケアシステム」の構築が基本認識・重点課題として示され,医療機関では,①急性期後の受け入れ,②在宅復帰支援,③在宅からの緊急入院の受け入れの役割・機能を果たす「地域包括ケア病棟」が創設された(厚生労働省,2014)。
地域包括ケアシステムの中での医療サービス利用者のニーズは,自身の意思決定に沿った退院後の療養生活が保障されることであり,そのニーズに応えるには,医療機関における退院支援の質向上が責務となる。短期間の入院の中で,入院中の療養生活から在宅療養へとスムーズに移行するためには,入院時から退院後の生活を見据えた療養生活上の支援や,在宅で提供される医療・介護サービスとのスムーズな連携が強く望まれており,そこで重要となるのが,入院時からの退院支援である。
筆者は2004〜2012年度の9年間,A病院の看護職者と協働し,退院支援の質向上に向けた看護実践研究に取り組んだ。その中で,筆者の研究活動の基盤となった博士前期課程の研修生の立場での取り組み「退院後の療養生活の充実に向けた支援方法の開発」を紹介しつつ,看護実践研究の特徴とその重要性について考える。
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